ITと絡めたシステム導入

長野県埴科郡の坂城町に本社を置く竹内製作所。
社員はおよそ560人。ショベルカーなどの建設機械の開発・製造をしている企業だ。
竹内製作所では、長時間労働や過労死などが問題視され始めた2013年ころから残業時間の削減などを進めてきたが、今回の働き方改革を受けて、さらに取り組みを強化している。

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人事課長:
ITと絡めて、勤怠システムを多機能の物を導入。それと働き方をリンクさせて、管理をしやすいようにということに取り組んでいる。

会社が新たに導入した勤怠システムは、月の残業時間が25時間・45時間を超えると「アラート」が出る仕組み。また、タイムカードと業務用パソコンを連動させ、「出社前」と「退勤後」はパソコンが使えないようにしている。
いずれも社員に「時間管理の徹底」を促すのが狙いだ。

開発部の社員:
自分の意識はすぐに変えた。労働時間が短くなっているというところで、集中して業務を行わないと今までと同じ成果が出せないので。

こう話すのは入社5年目、エンジンの設計などを担当している男性社員。
「時間管理の徹底」に向けてきょう中にやらなければいけない仕事、明日以降でも良い仕事、と、1週間・1ヶ月単位で優先度を見つめ直したという。その結果…

開発部の社員:
一番多かったときで比べると、残業が20時間は減っている。時間の余裕が出来て、子どもと会える時間が増えた。

これには上司のサポートも不可欠だ。仕事に偏りが生じないよう「割り振り」には注意を払っていると言う。

開発部社員の上司:
業務をなるべく細分化出来るところは細分化して、割り振りを考えて。業務が集中していれば分散させるように配慮しながら。綿密な計画作りや個人のスケジュール管理が重要になってくる。

子育て世代へも配慮

時間管理の徹底を促す一方で「子育て世代」の社員には配慮も…。
総務部で働くこちらの女性は、2児の母。今、2回目の「時短勤務」を利用している。

子供を持つ女性社員:
私の場合は、9時から4時まで前後1時間、時間短縮勤務にしている。帰りも早く帰れるので子どもとの時間も取れています。

通常、時短勤務は、子どもが3才までだが、独自に「小学校入学」まで期間を延長。これまでに20人ほどが、制度を利用している。

子供を持つ女性社員:
女性が活躍する時代が来るかと思うんですけど、私の後に続いて産休、育休と制度を利用して、時短勤務を利用して長く働ける環境がいい。

非正規・契約・派遣社員に正社員登用チャレンジを提供

時間管理の他にもうひとつ、竹内製作所が力を入れていることがある。

人事課長:

在籍が1年以上になる非正規社員、契約社員や派遣社員を対象に試験を行っている。

働き方改革では、労働時間の見直しだけでなく「処遇改善」も重視されている。竹内製作所の処遇改善は、契約や派遣の社員が「何度でも挑戦できる」正社員登用試験の導入だ。

正社員登用された女性:
社員になるという一つの目標に向かって頑張れることはとてもいいことだと思います。

2015年に非正規社員として働き始め、翌年に試験を受けたが、不合格。去年4月、再挑戦して念願の正社員になった。

正社員登用された女性:
不合格になる事は勿論悔しいが、自分を見つめなおすきっかけにもなるし、次も頑張ろうという気持ちになる。会社にとってなくてはならない存在になりたいという気持ちが一層強くなった。

2015年以降、延べ146人が受験し、29人が正社員になったということです。これは人材の発掘や確保にもつながっている。

正社員登用された女性の上司:
非正規雇用の方が目標を持って働ける。人材確保が困難な時期なので、いい人材を確保したいという会社のニーズとwinwinの関係になっていると思う。

竹内製作所の「働き方改革」は、長く働いてもらうことや人材確保につながる取り組みとなっている。担当課長は法律ができたからではなく、今後も企業の質を上げる為に進めたいと話す。

人事課長:
働き方改革は、単純に「早く帰る」「休みをいっぱい取る」ではなく、生産性の向上と絡めて考えれば、非常に企業にとっていいことだと思う。企業が筋肉質になるというか、企業の能力が高まるきっかけになる。

(長野放送)

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