患者と提供者を繋ぐ骨髄バンク
7月、新潟市の献血ルームで開かれていたのは骨髄バンクの説明会。
ボランティアスタッフ:
あらかじめ健康な方に白血球の型を登録しておいてもらって
もし患者と一致したら提供して頂くという仕組みが骨髄バンク
ボランティアスタッフが献血と合わせて、骨髄バンクへのドナー登録に協力を呼びかけた。
現在も全国で2000人以上の患者が待っている骨髄移植。骨髄バンクはそうした「移植希望患者」と「骨髄を提供するドナー」を繋ぐ役割を担う。
そもそも骨髄とは骨の中にある新しい血液を造る組織のこと。
白血病などの血液の病気にかかると、自分で新しく血液が造れなくなり、健康な人の骨髄提供が必要となる場合がある。
アルビレックス新潟 早川史哉選手:
ビッグスワンのピッチに約2年ぶりに戻って来られて幸せ
2016年に急性白血病を発症したサッカーアルビレックス新潟の早川史哉選手。骨髄移植を受けたことでチームへの復帰を果たしている。
さらに今年2月には競泳の池江璃花子選手が白血病を公表。日本競泳界を牽引する選手の闘病は多くの人の心を動かし、たくさんの応援メッセージが寄せられている。
こうした影響で新潟県内でも骨髄バンクのドナー登録数に変化が見られた。日本骨髄バンクによると、2018年度、新潟県内で新たにドナー登録した人の数は626人で前年度と比べ7割近くも増えた。
にいがた骨髄バンク応援団 鈴木咲緒さん:
知って頂くことから始まる事なので、知って頂くっていうことももちろん嬉しいですし、ドナー登録にいたって頂く方も感謝しかないですね
こう話すのはNPO法人にいがた骨髄バンク応援団の鈴木咲緒さん(27)。
ドナー登録を呼びかける鈴木さん自身再生不良性貧血という血液の病気を患い、6年前に骨髄移植を受けた。名前も知らないドナーに言葉では表せない感謝の思いを持ち続けているという。
にいがた骨髄バンク応援団 鈴木咲緒さん:
生きているのはその方のおかげなので本当に感謝しかない。いろんな辛い経験をされている方は沢山いると思うが、そういう方の一人でも多くの方が救われるといい
自分と同じような救える命を救うため増えてほしいと話すドナー登録。
しかし、そのドナー登録を巡り議論が巻き起こっている。
提供意思がないならドナー解除を
SNS上で広がるのはドナーの解除を求める声…
自分に適合するドナーが見つかったにも関わらず、いざ提供に至る前に断られてしまい、ショックを受けた患者が今月「本当に提供する意志がないならドナー登録を解除してほしい」と投稿し、賛否様々な意見が寄せられている。
ドナー適合の通知を受けた人のうち、実際に骨髄提供した人の割合はわずか2.7%と少ないのが現状だ。
そこには本人の意志以外にも理由が…
新潟市秋葉区に住む長瀬拓弥さん。ドナー登録をしてから11年が経った去年、ドナー適合の通知を受け骨髄を提供した。
長瀬拓弥さん:
麻酔点滴してすぐ眠りについて1時間半くらいの手術で目が覚めたら、自分の部屋のベッドにいてちょっとおぼろげな感じで
全身麻酔により手術自体は痛みもなく終わったという長瀬さん。今では何の違和感もなく骨髄提供前と変わらぬ生活を送っている。
ーー骨髄提供して良かった?
長瀬拓弥さん:
非常に良かった。自分のちょっとの負担で喜んでくれる人がいるんだと、そういうことができたという喜びが非常に強い
こう振り返る長瀬さんだが、一方で骨髄提供者を増やすために課題があることも感じていた。
長瀬拓弥さん:
手術の日の2泊3日もそうですし、それが検査のたびに5回くらい病院に行って検査とか採血したので結構時間が取られた
骨髄提供には手術や検査のために入院・通院をする時間を確保しなければならない。
保険代理店の自営業である長瀬さんは自ら調整ができたが…
長瀬拓弥さん:
(会社が)「そんな何回も会社抜け出していかれて困る」と言うのであれば、骨髄提供の候補に選ばれても断ってしまうんですね
いざ適合の通知を受けた後に仕事の都合や周囲の理解を得られないなどの理由から、提供を断ってしまうケースが多い。
こうした中、地道に理解を広げるための取り組みも。
正しい理解を広げる取り組み
上越市の高田高校の文化祭の一角で行われていたのは模擬ドナー登録会。
若いうちから骨髄バンクについての理解を深めてもらおうと、ボランティア団体と学校が協力して取り組んでいる。
骨髄バンクサポート新潟 齋木秀雄理事:
骨髄移植というと「痛いんでしょ」とか恐怖感とかそういったものが少なからずあると思うんですよね。しっかり理解した中で正しい知識を得て頂きたい
ドナー登録やその後の骨髄提供の流れなどについて学んだ生徒は…
男子生徒:
全然しらなかったです。今日のような活動で知識を深めることができた
女子生徒:
他の生徒にも知ってもらって自分も1年後、2年後できるんだって知って、骨髄バンクを意識してもらいたい
求められるのは骨髄提供の重要性から負担までを含めた正しい理解を広げること。
にいがた骨髄バンク応援団 鈴木咲緒さん:
無理に「絶対登録してください」というのは言いませんし、しっかり理解していただいてから、登録するのが大事なので、「何か人のためにできたらいいな」という人に登録してほしい
(新潟総合テレビ)