今回の選挙で問われたことは

いよいよ令和初となる国政選挙、参議院選挙の投開票日を迎えた。
今回の選挙は盛り上がりに欠けていると指摘され投票率の低下も懸念されているものの、新時代の日本の行方を左右する大事な選挙だ。

大きなくくりでは、発足から6年半が経過した第2次安倍政権に対する評価が問われる選挙となっている。与党は経済政策や外交面などでの政権の実績を様々な形で強調し、野党はこの6年半で国民の暮らしはよくなっておらず、外交でも具体的実績は上がっていないと政権を批判している。

そして個別の課題では、老後資金2000万円問題や年金などの社会保障、消費税率引き上げ、憲法改正の是非などについて、与野党が論戦を繰り広げてきた。こうした令和の課題にどう向き合っていくかも問われている。

FNNが投開票日の夜に放送する特番の取材に対し、将来を嘱望されるある議員は「日本というのは政治がすべてを決めるのではなく国民がつくる国だ」と国民の政治意識が重要だと強調し、石原慎太郎氏は「国民が奮い立つような新しい発想・提言をしてもらいたい」と政治家の奮起を促している。

期日前投票の意義の一方で、当日投票のメリットも

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こうした中できょうの投票日を迎えたが、昨今は投票日より前に一票を投じられる「期日前投票」を行う人の割合が急増し、2年前の衆院選では投票した有権者の3人に1人が期日前投票を行った。
今回の参院選でも、期日前投票の投票率は、2日前の19日の時点で13.30%となっていて、前回3年前の同じ時期の12.43%より増えている。

それ自体は投票率の上昇につながりいいことなのだが、一方で、期日前投票のデメリット、言い換えれば投開票当日に投票するメリットもある。

それは、期日前投票だと、選挙戦中の政党幹部や候補者の主張、関連した報道を十分に受け止める時間がなかったり、選挙戦中に候補者の発言や訴える政策が変わったりした時に、対応できないことだ。

過去にも、選挙戦中の党首クラスの発言がきっかけで、選挙結果が一変した例が複数ある。1998年の橋本龍太郎首相の恒久減税に関する発言、2000年の森喜朗首相の「無党派層は寝ていてくれれば」発言、2010年の菅首相の消費税増税に関連する発言などがそれだ。
投開票日の投票であれば、こうした発言や動向などを最後まで見極めて投票できるわけだ。


政党で選ぶか?政策で選ぶか?候補者で選ぶか?

それだけに、貴重な一票を投じる際には慎重を期したいところだが、投票する候補者を選ぶ基準は人によって千差万別だろう。所属する政党で選ぶ人、候補者が掲げる政策で選ぶ人、候補者の人柄で選ぶ人など様々だ。

しかし、その投票基準を、投票所に行ってから探しても、実はそこにはほとんど何もない。
投票の記載台には、選挙区だったら候補者の名前と所属政党しか書いていない。投票所の前には通常は、ポスター掲示板があるが、そこには詳しい政策はあまり書かれておらず、顔写真と、耳に聞こえのよいスローガンだけが並んでいる例が多い。


投票所で困ったら切り札は「選挙公報」

投票所まで来たけれど、誰に投票していいかわからず困った…そんな場合、「選挙公報」という切り札がある。選挙公報とは、平等なスペースに、各候補者が経歴や政策などを自由に記した新聞のようなもので、宅配の新聞に折り込まれるなどの手段で家庭に配布されている。

しかし、投票所に行っても、選挙公報は一見どこにもない。その理由は、選挙公報の各候補者に関する掲載のスペースはくじで決められるのだが、表面と裏面など、スペースによって目につきやすさの格差がでてしまうため、投票所の目につく場所には置いていないのだという。

そんな時には、投票用紙が交付される受付で「選挙公報をみせてください」と言えば、公報を渡してくれ、その内容を確認することができる。また、近年にはインターネット掲載もされているので、スマホ等で閲覧することも可能だ。

もっとも、政策本位の選挙を推し進めるならば、投票所に掲示できるように、何らかの手段を検討してもいいのではないかと思うが。


令和初選挙の夜は開票速報を見ながら政治を考えるのも一興

そして大切に投じた一票は、その日のうちに各自治体で開票され、当選者が決定される。夜は、自分が一票を投じた候補者がどうなったか、そして他の有権者はどんな選択をしたのか、テレビ番組やネットの開票速報などで見ながら、政治の今後や日本の未来について考えたり、誰かと話したりするのも、1つの過ごし方だ。

テレビ各局やネットサイトなども、様々な趣向を照らして、選挙結果と政治について、様々な角度から伝えている。ちなみにFNNは「Live選挙サンデー 令和の大問題追跡SP」と題して、宮根誠司と加藤綾子両キャスターを中心に特別番組を放送する。
午後8時ちょうどの議席予測と開票速報はもちろん、令和の時代を担う政治家の見たことない素顔、令和の時代に日本が向き合う様々な課題について、石原良純や古市憲寿らの取材も交えお伝えする。

また選挙期間中は公平性の観点から報じられなかったような選挙に関する衝撃映像や騒動なども、投票が終わった後の番組であれば放送できるため、そうした映像を一挙に大放出する。

「Live選挙サンデー」の当初版CMの冒頭には、国会議事堂の正面が令和の「令」の字に、投票する人と投票箱の絵が「和」の字に変わるというCGを使用した。スタッフが令和という漢字を眺めたときに、瞬間的に国会議事堂と人が投票するイメージに重なったことがきっかけだった。

人が投票箱に一票を投じ、それによって国会の構成が決まるという当たり前の行為だが、令和初の投票には、同じ一票とはいえ、気持ちの面で違った意義があるのではないだろうか。

選挙という手段を活用した民主主義は、明治・大正から昭和を経て、先人たちが築き上げてきた貴重な財産だ。令和の時代が少しでも、国民の政治への関心が高まるような政治の議論が行われ、選挙という貴重な手段が有効に機能する時代になって欲しいと願いつつ、開票の瞬間を迎えたい。


(フジテレビ 「Live選挙サンデー 令和の大問題追跡SP」 制作チーム

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7月21日の投開票日の夜は、【Live選挙サンデー 令和の大問題追跡SP(よる7時56分~)】
MCの宮根誠司・加藤綾子が、古市憲寿・石原良純ら手加減なしの痛快ゲスト陣と共に令和の主役たちの素顔や、私たちに身近な新時代の大問題を徹底取材。怒濤の開票速報を展開しながら、各党首や候補者に「今聞きたいこと」を本音生直撃する。プライムオンラインでも、開票や全国の候補の当落の最新情報をリアルタイムでお伝えする。




プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。