アニメ制作会社京都アニメーションのスタジオで33人が死亡した火災。

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事件から一夜明け、現場には花を手向ける人の姿が見られた。

献花に訪れた人:
若いクリエーターの人達がこれだけ亡くなられて、他の人達もみんな重軽傷って、本当に昨日の一瞬で…考えられない

らせん階段が煙突の役割を

警察は19日、身柄を確保した男を青葉真司容疑者(41)と発表。

19日、新たに火を放った際の状況が明らかになった。現場となった京都アニメーション第一スタジオは3階建てでらせん階段による吹き抜け構造。

犯行を目撃した人によると、スタジオの玄関から侵入してきた男は、らせん階段を過ぎた辺りで火をつけたという。

その火が、なぜ瞬く間に広がったのかというと、1つは男がまいたガソリンによって火が一気に燃え広がったこと。更に専門家はらせん階段が煙突の役割を果たす いわゆる煙突効果があったのではないかと指摘している。

元東京消防庁麻布消防署署長 坂口隆夫さん:
(各階の)フロアの中心近くにらせん階段が設置されていたと言うことで、煙、熱気、炎が早い段階でらせん階段を伝わって2階3階に拡散してしまった。

煙突効果とは、暖かい空気は冷たい空気と比べると軽いため煙突を通じて熱気が一気に上昇するというもの。これがスタジオの内部でも起きたというのだ。

元東京消防庁麻布消防署署長 坂口隆夫さん:
気がついたときには逃げられない状態だったのかなと。かなり早い段階で煙が2階、3階に拡散しているから、かなり早い段階で有毒なガスを含んだ煙を吸っていると思う

33人の死者のうち半数以上の19人が、3階から屋上に至る階段で折り重なるように倒れた状態で発見された。更に2階では11人、2階から3階の階段で1人、1階では2人が犠牲となった。

また、警察は19日、今回の犯行を現住建造物放火及び殺人事件と断定し、捜査本部を設置したことを明らかにした。

京都府警 西山亮二捜査第1課長:
発生直後、放火したとみられる男を確保しましたが、全身にやけどを負っており、病院に収容され治療中です。放火殺人事件捜査本部を設置して、被害者やご遺族の支援を進めながら、全容解明を図ることとします

「小説を盗んだから放火した」

青葉容疑者は玄関から入った直後に「死ね」と叫びながら、らせん階段を過ぎた辺りに火をつけ、確保された際には「小説を盗んだから放火した」という趣旨の発言をしていたことが分かった。

青葉容疑者は3年ほど前から、さいたま市内のアパート1階の部屋で1人で暮らしていた。青葉容疑者が住んでいるとみられる部屋の郵便受けには、チラシなどが入ったままとなっていた。

地元の警察によると去年の8月以降、近隣住民との間でたびたび騒音トラブルが起きていたという。

同じアパートの住人は「ドアをバンバンたたいたり、ガチャガチャやったりしていた。本当にやめてくださいと言おうとしたけど、胸ぐらをつかまれて、髪を引っ張られて『お前殺すぞ。うるせーんだよ。関係ねえんだよ』と言われた」と話す。

事件があったスタジオで働く孫が安否不明だという男性は…

――京都アニメーションに憧れがあって入った?

岡田和夫さん(21歳の孫が安否不明):
そうです。それだけです。絵が好きで。(京都アニメーションを)受けて就職したんです

岡田和夫さんの孫の大野萌さんは2年前に京都アニメーションに入社し、スタジオの3階でイラストを描いていたという。

岡田和夫さん(21歳の孫が安否不明):
私は大工をやっているから、絵を描くのに台を作った。行方不明の中に名前が載っている。(警察からの)報告があるまで待機していないと…

一方、京都アニメーションの社長が19日午後、改めて報道陣の取材に応じた。

京都アニメーション 八田英明社長:
本当に青天の霹靂でした。九州からお見えになっている方もいらっしゃいますので、できる限りホテルも用意して、今遺体のご確認で行っている方もいらっしゃいますので、何とかケアが出来るようにしたいと考えています

(Live News it! 7月19日放送分)