京都アニメーションで放火による大規模火災…被害はなぜ拡大したのか専門家と検証する

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  • 京都アニメーションのスタジオが放火され大規模火災
  • 41歳男性がガソリン?まき「死ね」と叫びながら放火
  • 多数の死者・安否不明者…なぜ被害は拡大したのか?

京都アニメーションで大規模火災

41歳の男はなぜ犯行におよんだのだろうか?

京都の有名アニメーションスタジオに7月18日ガソリンのようなものがまかれ、30人以上の死者がでる大惨事となった。

発生場所は京都市伏見区にある京都アニメーション第1スタジオ。1階が事務所、2階・3階が制作スペースになっている。

18日午前10時33分に「煙が見えて助けてという声が聞こえる」と110番通報があり、当時、建物には従業員ら約70人の方がいたという。

41歳の男が1階部分にポリ容器に入っていたガソリンのような液体をまいて「死ね」と叫びながら火をつけたあと逃げて、駅から100m離れたところで警察が身柄を確保。この41歳の男は病院に運ばれたが意識不明の重体だという。

木村拓也アナウンサー:
燃える前の京都アニメーション第1スタジオの外観を確認すると、2階、3階とバルコニーがついています。また窓もかなり多いように感じます。

加藤綾子キャスター:
内観の様子もあります。作業をしているところですが椅子に座ってテーブルに向かって作業をしていて、パーテーションのような形で区切られています。

なぜ被害は拡大したのか?専門家と事件を検証

加藤綾子キャスター:
ここからは防災システム研究所所長の山村武彦さんと一緒に検証していきます。今回の事件ですが、まずなぜ被害がここまで拡大してしまったのでしょうか?

防災システム研究所 山村武彦氏:
今の段階では細かい精査が必要ではっきり分からないですけれど。昼間の火災で、ガソリン放火事件としてもあまりにも大勢の犠牲者で私もビックリしているところです。非常に短時間で火や煙が回って避難が非常に困難な状態でだったのではないかと思います。大変卑劣で痛ましい事件だと思います。

加藤綾子キャスター:
この火災の原因とされているのが男がまいた液体、これはガソリンと考えていいでしょうか?

防災システム研究所 山村武彦氏:
そう思いますね。ガソリンもしくは灯油など可燃性の液体だと思います。私はガソリンではないかと推定しています。

加藤綾子キャスター:
火の回りがものすごく早いという印象を受けたんですが…

防災システム研究所 山村武彦氏:
中に階段があったと思うんですが、その階段か階段に近いところにガソリンがまかれたのか、あるいはそれ以外にも可燃性の物質が室内にあったのか。いずれにしても非常に短時間で3階までに火が回り煙が回ってしまったのかなと思いますね。

木村拓也アナウンサー:
1階で男は放火をしたというような情報が入ってきていますが、屋上に逃げるという選択肢もあったように感じるんですが?

防災システム研究所 山村武彦氏:
そうですね。多分誘導灯とか、何か起こったときに避難経路というのは提示されてはいたと思うんですが、それが分かるような状態、あるいは屋上に逃げるという発想が混乱の中で得られたかどうかですね。

風間 晋解説委員:
写真で屋上を見るとベンチのようなものもありますし、比較的建物の中にいる人にとっては日常的に屋上に出るという機会もあったのかなと想像されるんですが…

防災システム研究所 山村武彦氏:
それだけ混乱していたということでしょうか。煙は上昇していきますから天井の方に充満していって、それから徐々に広がっていくのが普通なんですね。ですから、そういったとき上の方に逃げようという考え方になったのかどうか。あるいは避難経路として、例えば窓から避難脱出するとか他の選択肢もあったと思いますが、多くの方が犠牲になっているところを見るとそれも大変難しかったのかなと思います。

1階窓から2・3階に一気に燃え広がったか…

加藤綾子キャスター:
早稲田大学の長谷見雄二教授にもお話を伺いたいと思います。今回の事件で燃焼スピードがかなり速く全域に広がったなという印象なんですが、どうご覧になりましたか?

早稲田大学創造工学部建築学科 長谷見雄二教授:
出火原因が放火で油かガソリンと言われていますね。ですから最初から非常に大きな炎が立ち上がっていたと。
しかし2階・3階に燃え広がったのはガソリンとか油のせいではなくて、もともとあった可燃物が燃えたということになります。想像ですが燃え広がった経路は建物の中ではなくて、南側の窓を見ると1階から3階まで真っ黒になっていますよね。

早稲田大学創造工学部建築学科 長谷見雄二教授:
それは、1階の窓から炎が立ち上がって2階、3階の窓から延焼していった可能性が高いだろうと思います。そうしますと早い段階で延焼が起こってしまったということになります。最初の放火から1階が火の海になるまでかなり短い時間で広がって、そこからいきなり炎が2階にいってしまったということになると、2階から避難をする時間が稼げなかった可能性が高いと思います。

加藤綾子キャスター:
最初の映像は煙の色が黒い煙だったと思いますが、この色から何が燃えていると考えられますか?

早稲田大学創造工学部建築学科 長谷見雄二教授:
紙とか木材とかが燃えても真っ黒な煙が出ますので、どういうものが燃えたかまでは分かりません。ただ煙の量がすごいですから激しく燃えていたのが分かります。例えば部屋の中に紙だとかいろんなものがありますよね。たくさんあると表面積が大きいので非常に激しく燃えるんです。そういうことがあったのかもしれません。

建物の3階から屋上の間で十数名が心肺停止で見つかる

木村拓也アナウンサー:
ここで新しい情報が入ってきました。建物の3階から屋上の間に十数名の方が心肺停止の状態で見つかったということです。

加藤綾子キャスター:
間ということは屋上に逃げようとしてってことですかね。

風間解説委員:
逃げきれなかったんでしょうね。

加藤綾子キャスター:
山村さん、この辺りはどう感じられますか?

防災システム研究所 山村武彦氏:
ちょっと分かりませんが今の段階では。避難しようとして屋上の階段に向かったものと思われますね。

加藤綾子キャスター:
山村さんこの建物の防火耐性っていうのはどのように考えられますか?

防災システム研究所山村武彦氏:
3階以上の耐火構造の場合には、防火区画と言って階段などを火や煙が上がって広がらないように各フロアごとに防火戸とかで遮へいする仕組みがあるんですが、実際に扉が閉まったのかどうか。もう1つは火災報知機です。自動火災報知設備がついていたと思いますが、それが本当に鳴動したのかどうか。そうすれば早い段階で皆さん気がついて避難行動に移れたのではないかなと思いますが、この辺もまだはっきり分からない部分が随分ありますね。

加藤綾子キャスター:
アフレコスタジオがもしあったとするとやはり、防音施設になっていますから周りの音がもしかすると聞こえなかったのかもしれないという状況も考えられますよね。こちらはスプリンクラーの対象になる建物ですか?

防災システム研究所山村武彦氏:
面積的にスプリンクラー消火施設は対象外です。こういうスタジオだと消防法では6000平米とか、あるいは地下階など窓のない階があれば別ですけれども、この建物だとスプリンクラー消火施設の対象ではないです。

加藤綾子キャスター:
700平米以下という情報もありますね。

防災システム研究所山村武彦氏:
この建物の防火耐性がどうなっていたのか。いずれにしても悪い条件が重なって被害が拡大したと考えられます。

(Live News it! 7月18日放送より)

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