想像以上に追いつけない! 海水浴での「フロート」事故を実験動画で注意喚起

カテゴリ:国内

  • プカプカ浮かんでリラックス…「フロート」に潜む危険
  • 「鳥型フロート」が最も風に流されやすい
  • 泳いで追いかけてもダメ?国民生活センターが実験した

夏本番!マリンレジャーの人気者に潜む危険

29日に関東甲信地方でも梅雨明けが宣言され、いよいよやってくる夏本番。
アウトドアシーズンの到来に、海に山にと出かける予定を詰め込んでいる人も多いだろうが、そんな中、国民生活センターが「フロート」の危険性について呼びかけている。

「フロート」のイメージ

「フロート」とは、主にビニール製の、海やプールに浮かべて楽しむ“いかだ”型の乗り物。
スワンやユニコーンを模した“インスタ映え”する大型のフロートは人気が高いが、国民生活センターは、風による影響を受けやすく、海水浴場などで子供が乗ったフロートが沖に流されて戻れなくなる事故に注意してほしいと警鐘を鳴らしているのだ。

出典:海上保安庁・国民生活センター

海上保安庁のデータによると、平成21~30年の10年間で起きた、14歳以下の子供の遊泳中の事故は583件。その実に9割近くとなる515件が夏休みとなる7、8月に発生しており、その内容を見てみると、溺れる事故に続いて、漂流や孤立などで沖に戻れなくなってしまった「帰還不能」が多くなっている。

出典:海上保安庁・国民生活センター

特に、平成30年にはこの10年間で最多となる70件の事故が起き、その中には

・6歳の子供が乗ったフロートのそばで父親が遊泳していたところ、フロートが突風で沖に流され、帰還不能になる。
・4歳の子供が姉とともにフロートに乗っていたが、姉だけが浜に戻ったと同時にフロートが風に流され、帰還不能になった。さらに、流された4歳の子供がフロート上で立ち上がったため、バランスを崩して落水し、溺れてしまった。
・5歳の子供と母親が乗るフロートを父親が掴んだ状態で遊泳していたところ、強風で父親の手からフロートが離れ、帰還不能になった。

など、フロートが風により沖に流された事故が発生しているのだ。

想像以上に速い…“フロート事故”の起きる現場を再現

しかし、もし子供が乗ったフロートが風に流されても、自分はすぐに捕まえられるから大丈夫…と思う人も多いはず。
だが、一度風に流されたフロートを捕まえることが想像以上に困難であることを、国民生活センターが実験で示してくれている。

まず初めに、どのタイプが流されやすいのか。
「サーフ型」「海洋生物型」「鳥型」の3種類のフロートに3、4歳児を想定した人形(身長約100cm・体重約15kg)を乗せ、プールに浮かべて風速3m/s、6m/s、10m/sの風を当てたところ、いずれの風速でも「鳥型」のフロートが最も流されやすいという結果が出た。

出典:国民生活センター

「鳥型フロート」は風速3m/sの風を受けた時、約0.64m/s、つまり1分間で約40m流されるという結果が出たが、これは追いつけないスピードなのか。実際に海で流されたフロートを捕まえる実験もしている。

風速2~4m/sの風が吹く海水浴場に鳥型フロートを放置し、海岸から約20m流されたところで砂浜から追いかけたところ…

映像提供:国民生活センター

浅瀬を走っている間はフロートと距離を縮められるものの、水深が深くなるにつれ、追いかける側の動きは鈍くなる。
さらに、泳ぐしかない深さまで来ると、フロートにぐんぐん引き離されてしまう様子が見られた。

この実験では、約2分間で鳥型フロートは海岸から50mの位置まで流されてしまった。
実験開始から1分の間は風向きの影響で海岸付近を漂っていたが、風向きが沖に向かった1分間で約30m流されていることになる。

この風速2~4m/sは決して強い風ではない。
気象庁によると、風に向かって歩きにくくなる程度の「やや強い風」は風速10m/s以上15m/s未満。
プールの実験では、「やや強い風」を受けたフロートは約1.37m/sと、海水浴場での実験の約2倍の速さで流されることになり、追いかけてもとても追いつけないことがわかるだろう。

ほんの一瞬の強風であっという間に流されてしまった…という事態が起きる危険性がよくわかるが、では、もし自分や子どもが漂流の危機に遭遇してしまったらどうすればよいのだろうか。
実験を行った国民生活センターにお話を聞いた。

もし流されてしまったら…「フロートに乗り続けて!」

――実験を行った感想は?

フロートが流される速度が、思っていたよりもはるかに速い、というものがあります。


――フロートを購入する時に気を付けられることはある?

鳥型のものが最も流されやすいのは、立体的で風の影響を受けやすいためです。
大型のフロートを使う際はそのことを留意していただきたいと思います。

大型のフロートは人気が高いが、その分注意が必要(イメージ)

――フロートが風で流された時、取るべき対処は?

フロートに乗っている側の対処としては、海に飛び込んで泳いで帰ろうとせず、そのままフロートに乗り続けるのが良いです。
その際、動揺してフロートの端に寄るなど不安定な姿勢をとると転覆してしまう恐れがあるので、取っ手を掴んで安定した姿勢で乗り続け、大声を出すなどして周囲に知らせてください。

流されたフロートを発見した側の対処としては、よほど泳ぎが得意でなければ、実験のように流されたフロートには追い付けません。1人で対処しようとせず、周囲の人やライフセーバーに連絡し、フロートを見失わないように目で追い続けてください。


――その他、気を付けたいことは?

今回はフロートと風の影響についての実験を行いましたが、やはり風の強い日にはフロートの使い方に十分注意してください。
また、子供がフロートに乗っている際は、保護者が目を離さないようにするのが大切です。



国民生活センターによると、気を付けたいのはフロートの形状によって風の影響を強く受けてしまうということ。
また、昼間は海から陸へ風が吹いている場合が多いが、地形などの条件では陸から海に向かって風が吹き、フロートが沖に流されやすい状況になってしまうこともあるため、注意してほしい。

ほんの一瞬の気のゆるみが事故につながってしまうアウトドア。
フロートの使用時はライフジャケットを着用するなどの準備を整え、安全に夏を楽しんでほしい。