日本郵政グループの『かんぽ生命』で不適切な保険契約が相次いだことについて、SNS上でも「父がかんぽ生命に二重契約させられていた。調べてなければ10年で数百万円払うことになる」などと信頼してきた郵便局への戸惑いの声があがっている。

めざましテレビの取材では、高齢者が被害に気づきにくい実態が見えてきた。

かんぽ生命と保険販売を担う日本郵便は2600万人以上にのぼるすべての顧客について『契約が希望に沿うものであるか』などの意向を『郵送』や『直接訪問』などで確認するというが、専門家はそうした対応では不十分な可能性があると言う。

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保険評論家 山野井良民氏:
(被害者は)高齢者の方が多いんですね。(不適切な契約を結んでいることに)全く気づいてない人がいっぱいいらっしゃるんです

そこで「ニュースのミカタ」では「かんぽ生命」の契約者が不適切契約に気づくためには、どうしたら良いのかチェックしてみた。

不適切契約を見分けるポイント(1)

まず契約が不適切かどうかを見分けるポイントについて専門家は…

保険評論家 山野井良民氏:
かんぽ生命の契約日がこの2,3年がすごく多いですから、かなり無理な乗り換え推しをした可能性があるなと…

「不適切契約」の可能性が疑われるのは、まずは「ここ2~3年でかんぽ生命に加入」したケース。

半年ほど前『かんぽ生命』に新規加入したという福岡市の71歳の女性に話を聞くと…

かんぽ生命に新規加入した女性:
郵便局員に『通帳をみせてくれ』って言われたんですよ。年金の手続きのためだけに来られたと自分は思っていたから、まさか保険を勧められるとは思ってなかったんです

事の発端は年金預金の手続きの見直しの際に既に別の生命保険に加入していたにも関わらず、訪れた郵便局員が強引に勧誘した。

かんぽ生命に新規加入した女性:
私も不安だったから『息子に連絡しなきゃいけない、相談します』って言ったんですけど、郵便局員に『あっ大丈夫、大丈夫』とかって言われて…

女性は結局保険に加入し、月々の保険料が 約2万円から約4万円に倍増保険料の支払いで年金の半分が消えてしまうという。

不適切契約を見分けるポイント(2)

さらにもう1つ、不適切な契約を見抜くポイントがあると専門家は指摘する。

保険評論家 山野井良民氏:
1回解約させて3ヶ月くらい間をおいて、新しい契約に同じ保険種類で乗り換えさせているとか…

(1)ここ2~3年で「かんぽ生命」に加入
(2)短期間で新しい保険に「乗り換え」

この2つの条件に当てはまると「不適切契約」の可能性が高いという。

販売員の手当てを満額にするためのワナも

「乗り換え」のケースで問題となっているのが『無保険』状態だ。

今の保険の契約を解約して次の契約を結ぶまでの期間が3カ月以内だった場合は『乗り換え契約』とみなされ、保険販売員の手当てが減ってしまう

一方、4カ月以上で『新規契約扱い』となれば手当が『満額支給』されるため、一部の販売員は解約から4カ月以上たってから新規契約を結んでいたという。

しかしこの間は顧客は『無保険状態』となってしまい、万一死亡したとしても保険金は下りない。

さらに、山野井氏が相談を受けた中には、こんなケースもあったという。

69歳の時に月の保険料1万2240円となる「かんぽ生命」の終身保険に契約した知人女性が、わずか3年後に死亡時の保険金額が100万円から500万円にアップする代わりに月の保険料4万9300円となる新たな契約の勧誘があったという。

しかし、女性の月収はおよそ5万円。山野井氏は、保険料が突然4倍となる乗り換えの勧誘はあり得ないと指摘する。

保険評論家 山野井良民氏:
短期間で保険金額を増額して乗り換えませんかと勧誘している。郵便局員の方はフルに手当てをもらえるわけですよ。新規契約に乗り換えるとね。高い契約に無理に乗り換えさせているというのが、全国的に起きているわけです

不利な状況を放置せず信頼できる人に相談を

かんぽ生命は「郵送」や「直接訪問」で全顧客の契約状況を確認するとしているが…

生田竜聖アナウンサー:
保険評論家の山野井氏によれば、時間がたてばたつほど高齢者にとって不利な状況が続くので、信頼出来る家族などと早急に契約内容を確認こちら側から問い合わせをすべきだとしています

(「めざましテレビ」7月16日放送分より)