大型バス34台で送迎! 中国・上海の“世界最大級”日本人学校に行ってきた

カテゴリ:ワールド

  • 中国・上海にある児童数1100人以上の日本人小学校に出前授業
  • 校庭前には空気の汚染数値を示す“空気看板”
  • 両親のどちらかが日本国籍ではない児童の割合は10年前は約1割、現在は約3割

厳しいセキュリティ

閑静な住宅街の中に堅く閉じられた門。壁の上にそびえ立つ鉄条網。入り口の大きな看板には、4カ国語で書かれた関係者以外を制限するメッセージ。ここは、中国・上海にある日本人小学校、上海虹橋校である。

海外にある日本人学校は、日本国籍の生徒を対象に、文科省に認可され国内と同等の教育を受けられる学校。ここ上海の日本人学校は、世界95校ある日本人学校の中で唯一高校ももつ最大級のもの。特に虹橋校は小学校として児童数が1100人以上と単体としては世界最大だという。

入り口で厳しいセキュリティチェックを受けた。全員が事前申請する必要だけではなく、出る時も受け入れ担当者のサインがないと出られない。すべては安全のためだ。
今回我々が訪れたのは、出前授業、アナウンサー先生=「あなせん」を行うため。
「あなせん」はコミュニケーション能力向上のために話し方のプロであるフジテレビのアナウンサーが行う社会貢献活動で、関東エリアを中心に200カ所以上で行ってきているが、今回は、過去に依頼をいただいた先生が上海赴任になり、是非上海にもとオファーをくれたもの。

400人近い3,4年生合同授業は圧巻!

対象は全校生徒。佐々木恭子アナウンサーと上中勇樹アナウンサーが学年に合わせて授業を行った。
「あなせん」にとっては初の海外進出。虹橋校にとっても初のメディアによる出前授業だというが、そこは日本らしさと中国らしさが混在する場所だった。

中国の中の“日本”

虹橋校の中にいると、日本国内にいるようで、いない。校舎の雰囲気は日本そのもの。
生徒たちはみな明るい声で挨拶する。玄関にビシッと並べられた靴はいつも中国人の客たちを驚かせるという。休憩時間は黙々と丁寧に「無言清掃」。これも日本の学校ならではの光景だ。中国語の授業は週1回行われるが、学校の中で使う言葉は全部日本語だ。

黙々と丁寧に「無言清掃」

しかし”中国色“もあちらこちら。校庭前には“空気看板”がある。中国政府が発表した空気の汚染数値を基にわかりやすく色で表している。我々が訪れた日は“緑”で自由に遊べる日だが、“赤”だと校庭に出られなかったり、“茶”でそもそも休校しなければならないこともあったとか。


校門周辺の鉄条網や24時間厳しい警備体制も中国ならではのもの。中庭の日の丸の掲揚台もあまり刺激とならないように設計されているそうだ。

上海にある日本人学校は企業の進出でどんどん児童数が増えていったが、日中関係が悪化した2012年、13年あたりをピークに児童数が減り続け、最近はまた下げ止まっているという。
児童は全員日本国籍を持つが、両親のどちらかが日本国籍ではない児童の割合は10年前の約1割から現在の約3割に増え、中国との結びつきがますます強くなっている。

“学力の高い”学校

授業を行っていてその受け答えを見てもそうだが、とにかく児童たちは活発で優秀。日本人の礼儀正しさもありながら、中国で育った影響か、自己アピールが上手で前向き!

学校の先生に聞くと、やはり学力テストの平均点数が国内最高レベルの地域よりもさらに5点から10点高い、都内の中堅私立以上の学力をもつという。理由はいろいろ考えられるが、異国で生活する、多様性のある環境で育つことは子どもの成長にいいと考えさせられた。

圧巻の下校風景!34台大型バスで送迎

児童の多くは日本人街で暮らしている。 下校時間になり、34台の大型のスクールバスが次々と子どもたちを自宅へ送り出す。窓越しにみんな溢れんばかりの笑顔で手を振ってくれた。休憩時間にたくさん寄ってきてくれて、いろんな話をしてくれたことを思い出しながら我々も手を降り続けた。

大型バス34台で送迎!

駐在員たちを親にもつ宿命でもあるが、1年に100人も入れ替わるというこの学校で、出会いは貴重なもの。だからみんな一瞬一瞬大事にという思いがあるかもしれない。
日本人学校、そして中国での生活も長い人生の中で短い期間かもしれないが、その経験がきっと彼らの中に深くしみこんでいるもの。日中、日本と世界の架け橋になることを切に願いたい。



【活動後記:フジテレビアナウンサー 佐々木恭子】

同行した身から、一言だけ添えさせていただきたい。

訪問の最後に、校長先生がこのようなことをおっしゃっていた。
それは、海外にある日本人学校の存在意義そのもののように思う。

「親の赴任に伴う帯同で、望まず、日本に残りたいと泣きながらここに転入してくる子たちも多い。入学から卒業まで在籍する子は3割ほどしかいない。だからこそ、ここでの経験が素晴らしいものになるように、将来に結びついていくように、先生たちの努力はもちろんだが、それだけでは成り立ちません。ご家族、上海在住の日本人の方々、そして何より中国人社会の協力が不可欠であり、社会総ぐるみで取り組む必要があるのです。」

5,6年生と記念写真

それを具体化するために、実際に、上海にある日本企業の見学を積極的に実施し、様々な仕事を見せるとともに、中国獅子舞を習うなど、中国文化に触れる課外授業を取り入れ、中国の子どもたちとの交流も年に一回続けている。
異文化があたりまえにあり、日々多様性に接する彼ら。また、距離が近いとはいえ、外国で暮らす緊張も楽しみも味わう彼ら。
日本で行う「あなせん」以上に、「(日本の)アナウンサーがやってきた」ことに興味を示し、一緒に過ごす時間を味わい尽くしてくれたように思う。

虹の橋という地名に由来する学校の名前のとおり、日中の架け橋になる道を切り拓いていくと、子らの強い眼差しをみて確信した。