「来たら詐欺だと思う」 東京都がSMSでの“納税催告”を始めるも反応は懐疑的...見分け方を聞いた

カテゴリ:国内

  • 東京都が税金未納者向けにSMSを使った納税催告を始めた
  • 目的は「連絡手段の拡充」だが、詐欺の横行を危惧する声も
  • どうすれば区別できる?東京都主税局に聞いてみた

いつの時代も、給料日は気分がうきうきするもの。
この記事が出るころには夏のボーナスが支給され、懐が暖かい人もいるはずだ。思わず出費してしまいがちだが、納税の義務があることも忘れてはならない。

いつになってもうれしいもの(画像はイメージ)

税金の納付は、給料から天引きされることが大半だが、転職の合間などでは、払込用紙を使うケースもある。中には期日までに支払うのを忘れてしまい、冷や汗をかいた経験がある人もいるかもしれない。

こうした中、2019年6月下旬から、東京都がSMS(ショートメッセージサービス)を使った納税催告を始めたのだが、「詐欺メールと区別できるのか」と議論の的になっている。

SMSに「お伝えしたいことがあります」

そもそも「納税催告」とは、税金の納付を請求する行為で、納付期限を過ぎ、督促状を送っても納付されない場合に行われる。東京都の場合は、電話・郵送・訪問で行っているが、今回はこれらにSMSでの催告が加わる形だ。

SMSを使った納税催告の流れ(提供:東京都主税局)

SMSでの催告では、「○○都税事務所です」とした上で、次のような連絡をする。

・「お伝えしたいことがあります。お電話ください」と折り返しの連絡を求める
・「お約束の期日が近づきましたのでお知らせします」と約束の期限を伝える
・「ご案内を郵送しましたのでご確認ください」と郵便物の確認を促す

SMSで送られる納税催告の例(提供:東京都主税局)

SMSの発信元番号には、各区の都税事務所の代表番号(ソフトバンク回線の場合は0032-06-9000)が表示されるほか、メッセージの最後には、担当部署への直通番号も記されるという。

東京都主税局のウェブサイトでは、「連絡手段の拡充」が目的とされていて、確かに取り組み自体は、納付忘れを気付かせてくれそうなシステムではある。だが手法や文面について疑問の声が相次いでいるのだ。

SMSは詐欺に悪用されることも

SMSは相手の電話番号に直接メッセージを届けられるが、その長所が悪用され、詐欺の常套手段としても使われてきた。URLを踏ませて、フィッシングサイトに誘導したり、連絡先として電話をかけさせ、特殊詐欺につなげることもある。

編集部のスタッフにも「会員登録の未納料金が発生しております」という振り込め詐欺と思われるSMSが届いた経験がある者がいるように、その種のメールと区別できるのか疑問がある。
そして、それこそSMSの納税催告が始まったことを逆手にとって、税事務所の名を騙り「お金を振り込まないと大変なことになる」といった名目で連絡することを考える詐欺集団が現れることも今後予想できる。

ちゃんと納税している人にとっては関係ないようにも思えるが、実際に「あなたは税金を滞納しています」という詐欺メールが届いたら、慌ててしまう人も意外と多いかもしれない。

逆にSMSへの信頼性が低すぎて、本物を詐欺メールと勘違いしてしまう可能性もあるかもしれない。ネットでも「詐欺メールと間違えて読みもしないだろう」「これ詐欺横行しそう」と批判的な意見が目立った。

長所である利便性が悪用されることも(画像はイメージ)

なぜ、今回の試みを始めたのだろう。そして、本物と偽物を区別するわかりやすい見分け方はあるのだろうか。
東京都主税局徴収部徴収指導課にいろいろ聞いてみた。

税金の納付につなげようと始めた

――なぜ今回の取り組みを始めた?

東京都では、税金が未納の方に納税をお願いしてきました。しかし、電話は出られないときがあり、郵便は他の郵便物に埋もれることがあります。訪問では接触が難しいこともありました。SMSであれば、皆さまが普段持っている携帯電話に届くため、未納が減り、納付につながるのではないかと始めました。


――詐欺メッセージと区別できないという声もあるが?

役所や都税事務所をかたる詐欺行為はこれまでもありました。詐欺グループの行為に対して、注意喚起をしていく必要があると思います。今回のSMSの納税催告については、当局のウェブサイトに公開している、都税事務所の電話番号などを参考に区別していただければと思います。


「SMSの発信番号」「URLの有無」がポイント

――区別するポイントは?

第一に確認してほしいのは、発信元の電話番号です。東京都の都税事務所の発信番号は「03」や「042」から始まりますが、この番号は専門の通信事業者と契約して審査を受けなければ、SMSでは使えません。

SMSは通常、携帯電話の番号から発信されるので、一つの判断基準となるでしょう。文章などは模倣される可能性があるので、全ての番号が一致しているかを確かめることが大切です。

また、本物のメッセージにはURLは記載していません。詐欺を目的としたメッセージには、URLを掲載して他サイトに誘導し、個人情報を入力させようとすることが多いです。こちらも気を付けてください。


都税事務所の番号一覧(提供:東京都主税局)

――都民にはその情報をどう伝えている?

現状はウェブサイトで、情報を公開しています。メディアにも伝えていただければ、助かります。


――今回のSMSに関する、詐欺などは確認されている?

7月4日現在では、確認されていません。


――呼びかけたいことはある?

役所の連絡手段に似せた詐欺は出てくるかもしれませんが、SMSの発信元を十分確認していただければと願います。疑問があったり、怪しげなメッセージが届いた場合には、当局や居住地域の都税事務所に一報をいただければと願います。


SMSの利便性を悪用した犯罪は後を絶たない中で、物議を醸した都の納税催告。
最後に、SMSでの納税催告が本物かどうかの見分け方をおさらいしておく。
携帯電話番号からのメッセージは本物ではない
・URLが記載されている場合は本物ではない
・発信元の番号が都税事務所と合致しているかを確認する

そして、主税局のSMSで以下のことをお願いすることはないとしている。
・銀行口座への振込みやATMの操作を求めること
・通帳やキャッシュカードを預けるようお願いすること
・個人情報をSMSで送信したり、SMSで聞くこと

主税局では「不審なSMSや電話などありましたら、決して指示に従わず、各都税事務所徴収課又は主税局にお問い合わせください。」としている。