記録的大雨で気象庁が緊急会見

九州南部を襲う最大級の大雨。気象庁は2日の緊急会見で、総雨量が2018年7月の西日本豪雨を上回る可能性があると発表。さらに、大雨特別警報についても言及した。

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気象庁予報部予報課・黒良龍太主任予報官:
自らの命は自らが守らなければならない状況が迫ってきていることを認識し、早めの避難を行っていただきたい。3日昼前から4日にかけては、ところによっては24時間雨量が平年の7月1カ月分の雨量を超える記録的な大雨となる恐れがあります

九州では既に被害も

大雨の影響は2日も続き、鹿児島・錦江町では1時間に73ミリの非常に激しい雨が降った。宮崎・日南市では、排水のパイプから蛇口をひねったかのような水が確認され、宮崎・えびの市では、6月28日午前0時~7月2日午後4時までの総降水量が828ミリとなり、降り続いた雨で地盤が緩みはじめている様子がみられた。

鹿児島・鹿児島市では、土砂崩れが発生。直撃した住宅の玄関が破壊された。この建物は土砂の勢いで反対側の崖ぎりぎりまで押し出されたが、けが人はいなかった。

被害は、鹿児島市にある世界遺産にも及んだ。江戸末期、薩摩藩が木炭を生産していた「寺山炭窯跡」は2015年、明治日本の産業革命遺産として世界遺産に認定されたが、土砂崩れによりほぼ全壊してしまった。

宮崎・串間市では、6月28日午前0時~7月2日午後4時までの総降水量が、329.5ミリとなり、市内の裏山では山肌の土が見えるところもみられた。この裏山近くに住む男性によると、10年くらい前に一回土砂が崩れたことがあったという。

気象庁は、3日に大雨特別警報が出る可能性を問われ、このように呼びかけている。

気象庁予報部予報課・黒良龍太主任予報官:
大雨特別警報の可能性はゼロではありませんが、特別警報を待つことなく身を守る行動をとっていただきたい

緊急会見のポイントは?

加藤綾子キャスター:
気象庁が緊急会見を開きましたが、これは異例なことなんですよね。

酒井千佳気象予報士:
それだけ危険度が高くなっているということなんですね。その会見のポイントをまとめてみました。まずは、梅雨前線が長期間停滞するので大雨が長期化します。2018年の西日本豪雨のとき以上に、期間が長くなる可能性があります。そして、大雨特別警報が発表される可能性もゼロではありません。ですから「早め早めの避難を」ということなんです。

加藤綾子キャスター:
警報が出てからということではなくて、早くにってことですね。

酒井千佳気象予報士:
それが一番の鍵となるところです。大雨特別警報のレベルを見ていきたいと思います。今シーズンから、5段階で発表されるようになったのですが、その一番高い段階「レベル5」にあたるのが、大雨特別警報なんですね。この大雨特別警報、出た時点では「もう災害が起こってしまっている」可能性が高いんです。避難は「レベル4」のうちに避難しなければならないことになります。「レベル4」は避難指示とか避難勧告が出されたときに発表されるんですが、「出されたとき」というよりは「出される前に自分から情報をとりに行き、ご自身で判断して避難する」ことが大切になってくると思います。

気象庁のホームページで見られる、土砂災害の危険度があります。これは、7月2日午後4時30分の様子ですが、黄色の「注意」や赤の「警戒」がありますよね。もう少し危険度が上がると、薄い紫の「非常に危険」や濃い紫の「極めて危険」となります。スマホなどでも見られるので、ぜひ見てください。

加藤綾子キャスター:
黄色のところが多いですが、それは注意ということですね。

酒井千佳気象予報士:
だんだん段階が上がってくるんです。「非常に危険」で避難の準備を始め、「極めて危険」までいくと避難しなければいけない。そんな状況だと思ってください。鹿児島県内には赤の「警戒」が出ていますが、この辺りは雨が降っていて危険度が高いので、2日中に避難を考えてもいいかと思います。鹿児島県などで大雨になっていて、これまで降った雨の量を見ますと、やはり九州が突出して多いです。宮崎県内では、800ミリを超えたようなところもあります。

加藤綾子キャスター:
こんな数字ってなかなか見ないですよね。

総雨量1000ミリを超える恐れも

酒井千佳気象予報士:
記録的な大雨になっているんですが、ここからまだ大雨になります。予想雨量は、3日夕方までに九州北部で180ミリ、九州南部で150ミリ。さらに、3日夕方~4日夕方までに300ミリから400ミリということで、総雨量1000ミリを超えてしまう恐れがあります。

加藤綾子キャスター:
今もものすごく降っていますが、3日か4日にかけてまた更に降るってことですね。

酒井千佳気象予報士:
さらに危険度が高まると考えていただきたいです。2日午後4時40分現在、活発な雨雲は一部になっているんですが、3日になると広範囲に広がります。予報を見ていきましょう。これが3日午前6時の予想です。熊本辺りに予想されてますね。特に昼前からもっとひどくなると思ってください。これは午後3時の予想ですが、先ほどよりも広い範囲となります。四国辺りも激しい雨が降るかと思われます。

夜にかけてもやはり活発な雨雲が広がるということになりそうです。ですから、3日のこの時間は災害が起こっていてもおかしくないと考えて、なるべく早め早めの避難。2日夜、そして3日午前の早い時間のうちに、避難を考えていただきたいと思います。

土砂災害の前兆現象にも注意

酒井千佳気象予報士:
土砂災害の前兆というものがあります。特に土砂災害が起こりやすいところでは、地鳴り・山鳴りがしたり、斜面から水が噴き出したり、流木や石が流れてきたり、崖や地面にひび割れが起こります。このような前兆現象も参考にして避難をしてください。

(「Live News it!」7月2日放送分より)