4か月姿を消していた中国報道官 “失踪”の真相は・・・?

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2月中旬の記者会見を最後に表舞台から姿を消す

河野外相のツイッターより

ニュースでもお馴染みの中国外務省の定例会見。基本的に平日は毎日1回開かれ、3人の報道官が週ごとに交代して回していたのだが、紅一点の華春瑩(かしゅんえい)報道官が2月中旬を最後に突如会見場に姿を見せなくなった。

華報道官と言えば、河野外務大臣が2ショット写真をツイッターに掲載したり、パンダの「香香」(XiangXiang)を当時の杉山外務次官の中国語読み「杉山(ShanShan)」と勘違いし、その際の笑顔がかえって話題を呼んだりと、中国の官僚の中でも頻繁にメディアに登場する有名人だ。

シャンシャン違いで大笑い

今、中国では反腐敗運動によって公務員が次々と「重大な規律違反」などで失脚しており、突然公の場から姿を消すようなケースが相次いでいる。中国共産党中央規律検査委員会は2018年の1年間で、62万人以上を党の規律違反などで処分したと発表していて、単純計算すれば毎日およそ1700人が処分を受けていることになる。

華報道官をめぐっては以前に「自宅から500万ドルの現金が見つかり、取り調べを受けてる」などと一部のメディアに誤報が出回ったこともあり、今回の“失踪”をめぐっても、一部で「処分を受けた」との噂が囁かれていた。

取材中に偶然発見…真相は

中国共産党中央党校 キャンパス中心には毛沢東の石像

中国共産党には幹部の研修などを行う学校「中国共産党中央党校」がある。共産党の高級幹部養成校だが、先日、異例のプレスツアーが行われた。こうした共産党の施設が外国メディア向け公開されることは極めて珍しい。すると取材中、その華報道官がキャンパス内を歩いている姿を偶然にも発見し、カメラで捉えた。

キャンパス内を歩いていた華報道官を発見!

どうやら真相はここで数か月にわたる研修を受けているということのようだ。共産党の幹部は昇任のためにはこの中央党校で研修を受ける必要がある。中国外務省関係者によると、華報道官は近く復帰する予定だといい、研修は昇任に向けたステップと見られる。

中国共産党中央党校とは

中国共産党中央党校とは1933年毛沢東が創始した学校で、現在は北京市内に巨大キャンパスがある。共産党員が高級幹部となる過程で、概ね数か月から1年程度の研修を受ける施設だ。人によっては複数回「入校」し研修を受けるという。

この日公開された授業は「生態環境と社会治理」というテーマで、自然環境と調和した街づくりなどについて、習近平総書記の思想に基づきレクチャーが行われていた。生徒は「庁局級幹部」とのことで、概ね40代後半から50歳代程度に見えた。主にマルクス主義や、中国の歴代指導者の思想、その思想を実際の政策に落とし込む実践などについて学ぶという。

キャンパス内には寮が完備されており、研修生は泊まり込んで、研修を受けるわけだが、部屋の本棚には習氏をはじめ歴代の指導者の思想に関する本がビッシリと並んでいた。

かつては毛沢東や胡錦涛氏のほか、習氏も校長を務めたことがあり、キャンパス内の歴史博物館では習氏が校長時代の成果について多くの展示スペースが割かれていた。

歴史ある学校だが、新しい建物も多く、寮などの建物の入り口には顔認証ロックシステムまで備え付けられていた。また、テニスコートや卓球場などの施設も充実していた。華報道官もこうした環境の中で研修を受けているとみられる。

顔認証ロックシステムが備えられた建物
テニスコートも完備

中国共産党は党員数およそ9000万人と巨大組織だ。習近平政権は党員の学習を重視しており、2018年は1年間で1万人以上が中央党校で研修を受けたという。

人口14億人の巨大国家を支配する中国共産党。

党最高指導部の意向を各層にまで行き渡らせるためにも人材育成が欠かせないということなのだろう。

鄧小平の石像も

【執筆:FNN北京支局長 高橋宏朋】

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