最近よく見る「ウーバーイーツ」の配達員が“労働組合”の結成を目指すワケ

カテゴリ:ビジネス

  • ウーバーイーツで働く「配達員」の労働組合を作る動きが活発化
  • 「配達員は事故でケガをしても補償はない」は本当か?
  • 労組結成を目指す側とウーバーイーツの両者に話を聞いてみた

配達員の待遇に様々な課題との指摘も…

都市に住んでいる人なら最近「ウーバーイーツ」をよく見かけるのではないだろうか。
名前は知らなくても、大きいサイコロみたいな四角い緑の荷物を背負ってバイクや自転車に乗っている「配達員」なら見たことがあるはず。

フードデリバリーサービスを手掛ける「ウーバーイーツ」は、アメリカの配車サービス「ウーバー」の子会社で、2016年9月に日本に初上陸するとサービスエリアを急拡大。
東京を皮切りに、横浜・大阪・川崎・京都・神戸・さいたま・名古屋・福岡と拠点を増やし、去年12月には日本で10か所目となる千葉県市川市、船橋市でサービスをスタートしている。

当初、東京で約150軒だった提携レストランは、今年6月に1万軒を突破
「配達員」は一部報道によると全国で1万5千人を超えるとも言われている。

こうした成長の反面、「配達員」の事故の補償や報酬額の基準などで様々な課題があると指摘されていた。
そこで6月12日、配達員の待遇を改善することを目的とした、労働組合の結成を目指す準備会が開かれた

改めて、「ウーバーイーツ」は、客がスマホなどから料理や飲み物を注文すると、配達員が店舗に行って料理などを受け取り、指定場所に届けるというサービス。
配達員はスマホアプリを使って好きなタイミングで仕事が得られ、好きなだけ働くことができる
報酬は、店舗から指定場所までの距離に応じていて、支払いは週ごと。
配達員になる手続きも簡単で、自転車なら必要書類は身分証と顔写真だけで、履歴書や面接すら不要となっている。
ウーバーイーツは、配達員の仕事を「シフトのない全く新しい自由な働き方」などと表現している。

ネット上では「1時間で数千円」「2日で5万円」稼いだとの声もあり、割のいい副業としても注目されているのだ。

確かに自由に働けるメリットは大きいが、「配達員」は社員やアルバイトではなく「個人事業主」として働くため疑問もあるという。
配達員の労組結成を呼び掛けた、全国ユニオンの事務局長であり、ご自身もウーバーイーツの「配達員」として働いた経験のある関口達矢さんが考える話を伺った。

道に迷うと時給400円~500円の時も

――配達員をやってみた感想は?

私はそんなに都内の道に詳しいわけではないんですが、結構 道に迷いました
踏切を渡ろうとしたら事故でなかなか渡れなかったり、お店の間口が狭くて分かりにくかったり、そんな事情でなかなか届け先にたどり着けず、時給にすると400円~500円になってしまいました。
夏場だったため、体力的にもしんどいなと。まあ若い人なら大丈夫なのかもしれませんが。

――なぜ今ウーバーイーツの労組設立に向けて動き出したの?

まず、ウーバーイーツは日本でそれほど普及していない働き方なので、どんな仕組みなのかを知るために私たち自身も勉強をしていました。
なおかつ、配達員の人に直接 話を聞こうとSNSで呼びかけを続けたところ、少しずつ繋がりができて、やっと少し反応が頂けるようになってきたんです。

ツイッターで呼びかけをして、連絡を取り合える人が3~4人は出てきたんですが、それ以外の人が集まるのか、準備会のふたを開けてみるまで本当に分からない状況でした。

――準備会は何人の配達員が集まったの?

名前を書いて頂いたのは20人。
署名は差し控えたいという方がだいたい10人ぐらいいました。

――署名を控えた人は、会社の対応を恐れているの?

労働組合を作るということは、一般的に会社が警戒するもので、歓迎することはあまりないものです。
しかも、ウーバーイーツのような働き方だと、何がきっかけになって仕事を減らされるか分かりません
そういうところは、通常の雇用で働いている人よりもすごく敏感なのでしょう。

配達員がケガをしても補償はない

12日に開かれた準備会への参加を呼びかけるポスターには配達員が「あれ?」と思う疑問点がいくつも書かれている。
「事故の時どうなるか心配」、「距離の計算がおかしい」…
これらは全て、働くならしっかり理解していないといけないポイントのはず。

なぜあやふやなのか?本当に事故にあったらどうなるのか?聞いてみた。

――「事故の時どうなるか心配」…ってどうなるの?

配達員が起こした事故は、対人・対物に関しては保険があるようなんですが、配達員のケガや休みに対する補償はないということです。

――「距離計算がおかしい」とはどういうこと?

店から客までの距離を報酬として換算するわけですが、「自分が本当に走った距離と違うのではないか」という意見が結構出ているんです。
自転車に乗りなれている配達員の中には「完全におかしい」と苦情を言う人もいて、そうすると「確認したら違っていた」と距離が直されたケースもあります。

――「突然アカウントを停止された」とは、仕事用のアカウントが取り消される?

そうです。
苦情をうるさく言う配達員はアカウントを停止されやすいという傾向が若干あるようです。

――「急に仕事が来なくなった」とは?

アプリを起動して待ってても仕事が来ないという状態です。
なんのアナウンスもなくこういう状態になるので、正確な理由を知るすべもなく「評価によって仕事を減らされたんじゃないか」などと推測するしかありません。

――「サポート体制が不十分」とは?

例えば、事故にあってウーバーイーツのサポートに質問すると「ちょっとよくわからない」みたいな対応をされたりすることがあるようです。
サポートを用意するなら、そのぐらいのことは分かる人を常駐させて欲しいという声が出ています。

ウーバーイーツにも聞いてみた

イメージ

これらの配達員が抱える疑問について、一方のウーバーイーツはどう考えているのか?
担当者に聞いてみた。

――配達員の給与はどうやって決める?

配達パートナーに支払われる配送料は、配送基本料にインセンティブ(不定期の追加報酬)を追加したものとなります。
基本料金は距離やエリアによって変わります

――配達員が事故を起こしたら、相手のケガは補償される?

日本国内の保険会社と契約を結び、Uber名義で加入している対人賠償・対物賠償保険がございます。
上限1億円となり、自転車・原付バイク(125cc未満)・軽自動車を利用するすべてのUber Eats 配達パートナーが、配達リクエストを受けた時点から配達が完了するまでの間に生じた事故に対して適用されます。
本保険に関する事前申し込みや、追加料金のお支払いは必要ありません。
軽貨物またはバイクの配達パートナーは予め法律で義務付けられている自動車賠償責任保険の証書をUberに提示いただくことになっています。

――では配達員自身がケガした場合は補償される?

配達パートナーご自身にはそれぞれのニーズに合った保険に加入していただくことをお勧めしています

――「配達員」は社員・アルバイトではない?

配達パートナーは個人事業主となります。
Uber Eatsが提供するプラットフォームを活用してレストランパートナーとお客さまに配達サービスを提供いただく仕組みで、柔軟に働くことが可能になっています。

――労組結成の動きをどう思う?

多くの配達パートナーがUber Eatsの仕事のフレキシブルさに価値を感じてくださっておりますが、同時にこの個人事業主という働き方の質と安全性を高めるために、日々取り組んでおります。
今後も引き続き、フレキシビティを提供しつつ、安全に配達いただくことを最優先に、テクノロジーを活用したアプリへの安全機能強化など取り組みを進めてまいります。

――労働組織ができたら配達員の働き方は変わる?

現時点でコメントを差し控えさせていただきます。


ウーバーイーツの担当者の話では、配達員自身のケガについては補償されず、自分で保険に加入することを勧めているとのことだった。

自由で、保証もしっかり受けられる働き方は実現するのだろうか?
全国ユニオンは8月1日に再びウーバーイーツの労働組織設立に向けた準備会を開く予定となっている。