「もらった名刺をすぐしまっちゃダメ?」 それってホント!?もやもやマナー

スコぶる疑問のキャトウさん

カテゴリ:国内

「それって、ホント?」と言いたくなるマナー、多くありませんか?
新入社員のキャトウさんも、そんな“もやもやマナー”に悩まされるひとり。

ビジネスシーンに付き物の、名刺交換。
SNSでは「名刺って相手より低い位置で差し出すんだっけ?」「すぐポケットにしまうのはNG?」とお悩みの声が。一方で「海外では片手でホイッと渡されるよ」などの体験談も。

そこで今回のテーマは…

早速、国内外の企業や大学などでのマナーコンサルティングや人材育成などのマナー指導を行っている、マナーコンサルタントの西出ひろ子さんにお話を聞いた。

西出氏:
役職の上の方から交換をします。
日本では、役職の上の方を重んじる、役職の上に方に敬意を払うという姿勢がありますから、一般的にはこのような順番になります。
自社の上司や先輩と同行している場合も、自社の役職の上の方が交換をしたあとにつづいて、自分も交換をします。

これは海外の方も同様ですが、なかには順番は気にしないという人も、もちろんいらっしゃいます。

西出氏:
交換後、椅子に座って商談をする場合、お相手の座っている場所と対になるように、名刺をテーブルの上に並べます。テーブルの上に置く時には、名刺入れの上にいただいた名刺を置きます。名刺入れをひとつしか持っていない場合は、役職が最も上の方の名刺を、名刺入れの上に置きます。

自社に来訪いただいた場合は、退出されるまで、そのままにしておきます。
こちらが出向いた場合は、退室する前に、頂いた名刺を名刺入れにいれて退室します。
このときも、自社の上司や先輩がそうしたら、自分も続いてしまいます。

頂いた名刺をしまうタイミングは、一般的には「商談が終わり、退室するとき」となります。
もしも、交換後に相手が名刺入れにすぐにしまえば、相手に合わせるという意味において、こちらもそのようにしてOKですが、お名前とお顔を一致させ覚えるためにも、一般的にはテーブルの上においておく場合が多いといえます。

したがって、想定できるシチュエーションは「相手や状況などに合わせて、いただいたらすぐにしまう」「退室する前にしまう」こと。商談の途中でしまうのは「話に集中していない」「この商談に興味がない」「早く終わらせたい」などの誤解を招く可能性があります。すぐにしまう場合も、相手によってはこのような疑念を抱くこともあるかもしれません。

西出氏:
名刺を低い位置から差し出す、ということではなく、同時交換で相手の名刺とすれ違うとき、自分の名刺が相手の名刺よりも低い位置であることや、相手の名刺入れに自分の名刺を置いたとき、自分の名刺入れに置いていただいた相手の名刺の方が高い位置、ということです。

理由は、先のとおり、名刺を相手の分身と考えるならば、自分の名刺を相手の名刺よりも低い位置にすることで、敬意を表している、となるからです。

西出氏によると、日本では名刺は「その人の分身」として丁重に扱うもの。
SNSでは「低い位置から差し出すの?」という疑問に対して「“相手よりも低い位置”を探りあっていては交換ができないのでは…」という指摘もあったが、あくまでも相手の名刺よりも自分の名刺の位置を低くするという意識をもつことが大事であるということ。

そして、万が一、相手が自分の名刺よりも低くしたら、それに増してこちらも低くし、互いにそれをし合うことは控え、相手に華を持たせることもマナーだという。このときには、「恐れ入ります」とひと言伝えることで、相手が低い位置にしたことに対する敬意の気持ちを伝えられるのではないか、ということだ。

このように、名刺を同時交換する際にも、相手を敬い、謙虚な気持ちを伝えることができるよう。
突然目上の人の顔をギュウと踏みつける人はいないだろうが、名刺を重ねる場合もそんな場面を思い浮かべれば、自然と適切な位置が見つかるはずだ。

ちなみに、名刺をスキャンしてファイリングするアプリなども登場しているが、名刺を頂いた直後に、本人の目の前ですぐにこのような処理をしてしまうのは少々失礼。
アプリを使った管理は効率的だが、お客様が帰った後にじっくりと取り組んだ方がよさそうだ。

西出氏:
名刺は、重要な情報が記載されていますので、とっておくことで、ビジネスチャンスへつながることがあるでしょう。しかし、近年、名刺のデジタル化などが進み、スキャンしてしまえばいい、という時代にもなっています。
とっておくかどうかはその人の自由かと思いますが、データスキャンしても紙でとっておくと、安心感はあるでしょう。いずれにせよ、これも、会社の方針や指示に従うことがビジネスマナーとなります。


しかし、SNS上の反応にもあったように、海外では名刺をかなり気楽に扱う傾向も…
そのような相手とのビジネスシーンでは、こちらも名刺を“フランク”に扱ってOK?


西出氏:
海外では名刺、すなわちビジネスカードは、ポケットの中からしわくちゃになったものを出す人もいますし、両手で扱うこともなく、日本ほど丁重に扱うという意識がありません。
そういう相手とであれば問題ないかもしれませんが、一方で海外の方は、日本では名刺を丁重に扱うという情報をご存知の人も多いので、日本人が名刺を丁重に扱う、という姿勢を見せるほうが「そのとおりだ!」と思われ感動なさったり、好印象になると思います。

近年、グローバル化ということで、名刺も海外のように「あまり重視しなくても良い」という考え方が出てきているかと思いますが、それもそれで否定することでもなく、時代の流れとともに、名刺の扱い方にも変化が出ているということでよろしいかとは思います。


特に海外では、会ってすぐに名刺を渡さない、という考え方の人もいらっしゃいます。この場合は、こちらがお渡ししたあとに、後日、eメールで、名刺をスキャンしたデータが送られてくる、ということもあります。

日本人の「ものを大切に取り扱う精神」という意味においては、名刺をその人の分身とし、丁重に扱うという姿勢と精神は、素敵なことだとは思います。

今回の“もやもやマナー”、名刺交換の作法は、敬意を示す大事なポイント。
一方で、時代と共に扱い方も変化している。
とはいえ、頂いた名刺はもう少し大事に扱ってもよさそうです、キャトウさん。

(漫画:さいとうひさし)

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