香ばしい香りに食欲がそそられる「うなぎ」

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しかし近年、稚魚であるシラスウナギの深刻な不漁が続いていて、価格も "うなぎ登り" となっている。
現在流通している養殖もののウナギは、河口などで捕獲した天然の稚魚を養殖池で育てるため、供給量は稚魚の捕獲量に左右される
そんな中、きょうお披露目されたのが、誕生から成魚まで人の手で成長させたニホンウナギ。

完全養殖とは、人工で育てた親が産んだ卵をふ化させ、幼生からシラスウナギに、そして成魚まで育てること。
2010年国立の「水産研究・教育機構」が世界で初めて成功していた。

しかし難しかったのは幼生からシラスウナギまで育てること。

水研機構ウナギ種苗量産研究所センター長 山野恵祐さん:
「1970年代にウナギに卵を産ませることはできたが 一体何を食べさせたらシラスウナギまで育つのかわからず大変苦労した」

そして今回、人工で育てたシラスウナギを民間の養殖業者に委託し、成魚にするサイクルにはじめて成功した。
これにより安定したウナギの生産につながるとして期待されている。

富田憲子記者:
「こちらが人工の稚魚の方です。いただきます。 ふっくらしていて、厚みもしっかりありますね 。人工って言われてもまったくわかりません」

人工のシラスウナギから成魚まで育てた業者は・・

山田水産 加藤尚武取締役:
「初期段階の工夫は必要だが(人工の稚魚は)そん色なく成魚に至ったことを実感できたので 期待できると思う」

期待が高まる完全養殖ウナギの商業化に向けた第一歩。
しかし卵から稚魚になるまでの生存率が5%に満たないことや、成長期間が自然界比べて2倍近くかかるなど課題も多く、 一般に流通するまでには時間がかかりそうだ。

自らもウナギが大好きだという番組コメンテターの松江英夫さん(デロイトトーマツグループCSO)

「今回のポイントは官民が連携してモデルを作ったことだ。今まで ”官” で完全養殖化に取り組んでいたが、今回は(”官”が)卵から幼生を作った上で、稚魚から成魚にする段階は民間活力を生かして成功した。これによって民間自体が参入して、稚魚→成魚のプロセスを加速できるのではないか。まだまだ実用化にはコスト面などのハードルはあるが、これができるようになれば、いま問題になっている稚魚(シラスウナギ)の乱獲を防止でき、環境にも優しい。さらに生産力が高まれば、国内の需要に対応できるだけでなく、輸出もできる。日本が環境と競争力の両方を実現することによって、リーダーシップをとれる分野になっていくのではないか」とコメントした

(「Live News α」6月21日放送分)