入浴前の“アドバイス”が“医療行為”にあたる可能性!? 草津温泉で100年以上続く“湯長制度”廃止の危機

カテゴリ:国内

  • 日本屈指の温泉地である草津温泉が、“ある騒動”で大きく揺れている
  • 100年以上続く「時間湯」を取り仕切る「湯長」制度を廃止する方針を発表
  • 実際に「時間湯」を利用している湯治客の声を聞いた

伝統の湯長に…町長が抱く“いくつかの疑念”

「にっぽんの温泉100選」で16年連続1位に輝くなど、日本屈指の温泉地である群馬県の草津温泉。

歌に合わせ、約2メートルの板でお湯をかき混ぜる「湯もみ」は観光客に大人気だが…
今、この草津温泉が“湯長廃止騒動”により大きく揺れているのだ。

草津温泉に江戸時代から100年以上伝わるといわれる入浴法「時間湯」を取り仕切っている「湯長」
草津町の黒岩信忠町長は先月、2020年度からこの「湯長」を廃止する方針を発表した。

<草津名物 時間湯とは?>
・38℃から約48℃前後の温度の温泉に、1日3分間・3~4回入るという伝統の入浴法。
・幕末の集団入浴が原点といわれ、明治時代に“湯長制度”が確立したといわれている。
・強酸性の湯で強い殺菌力がある。
・温度調整を行い成分を均一化し柔らかいお湯をつくるために、入浴前は「湯もみ」を行う。
・現在はアトピー性皮膚炎をはじめとする、慢性皮膚疾患の利用者が多いという。



「湯長」は、時間湯の入浴指導や、湯治客の安全面などのチェックをしている管理指導者のことであり、湯もみで号令をかけているのもこの「湯長」。
草津温泉には現在、男女2人の湯長が草津町の臨時職員として働いているが、黒岩町長はこの2人の湯長に対して、いくつかの疑念を抱いているという。

「直撃LIVEグッディ!」は、町長と湯長の双方にお話を聞いた。

「裸で入るのが原則」は“わいせつ”?現役湯長は反論

町長が指摘する“湯長問題”について…

<問題点1:医療行為に当たる?>

・「草津温泉 時間湯保存会HP」内の『時間湯Q&A』に「身体の状態や病気の症状をこちらが把握する必要があるので正直におっしゃってください」「それぞれの症状や年齢、体力などを考慮して温度を決めますので恐れることはないでしょう」と記載があった。

→事前に体の状態を聞くのは、医師以外に禁じられた「問診」という医療行為にあたるのでは?と問題視。

・若狭勝弁護士によると「すでに医師の診察などを受けている人に対して湯長がいろいろと指示すると“医師法違反”になる可能性がある」という。

<問題点2:セクハラ疑惑?>
・『時間湯Q&A』内の「裸で入るのですよね?恥ずかしいのですが…」という問いに対して「裸で入るのが原則です」「湯長が異性であったり、皮膚病や身体にコンプレックスを持っている方は特に抵抗を感じることと思いますが、身体の状態を把握する為にも、必要な事です」と記載。

→“強制わいせつ罪”にあたる?

<問題点3:税金の無駄遣い疑惑?>
・草津町役場は、温泉を管理する草津観光公社に温泉委託料として約521万円を払っている
・黒岩町長は「(湯長の)自家用車のガソリン代など、使用意図が不透明。税金の無駄遣いなのでは?」と疑念を抱いている。


これらの問題点の指摘に対して、現在の2人の湯長は反論。

・医療行為について
→町長が指摘している“医療行為”が記載された『時間湯Q&A』は、先代の湯長の代にお客様が勝手に作ったもの。今も昔も医療行為はしていない。

・セクハラ疑惑について
→33代目の湯長までは全員男性だったが、34代目以降は女性客には女性の鈴木湯長が対応しており、問題なくなった。

・税金の無駄遣い疑惑について
→公社から許可を得て、自家用車で足の不自由な湯治客の送迎をしているため、まったく不正ではない。

「絶対になくさないで」湯治客の声は…

グッディ!取材班は、実際に「時間湯」が行われている「地蔵の湯」を取材。湯長の行為が「医療行為に当たる」と問題視されているというが、その実態は?

鈴木湯長:
きょう、飲酒されたりしていないですか?

湯治客:
してないです、きのうちょろっと飲みましたが。

鈴木湯長:
もし入浴するにあたって、心配事があったら教えてください。

湯治客:
わりと熱いのは好きなんですけど、48℃は初めてなのでちょっと緊張します…。

鈴木湯長:
こちらでは48℃は使っていませんよ。44~45℃の、共同浴場でも使っているような温度になっています。


入浴前の「アドバイス」にも見えるが…果たして、湯長の行為は「問診」に当たるのか?
実際に利用している湯治客の声を聞いてみた。

・湯長さんが作るお湯じゃないとダメ。湯長さんがいないとお湯は作れない。
・行き場がなくなってしまう。どうしてもここだけはなくさないでほしい。探し求めてやっとここに来たので、本当に助けてほしい。ここしかない。

安藤優子:
西洋医学ではどうにも治らなかった方たちが、わらにもすがる思いで、ここだったら全く違うアプローチで治るんじゃないかという思いで、「時間湯」にいらっしゃっていると思うんですね。そういう方たちがなんの指針もなくお湯につかるより、湯長さんから指示していただける方がありがたいと思うのはよく分かります。それに、入る人の安全を守るためには、その人の状況を知らないとなかなか厳しくないですか?

森昌子さん:
やっとここを見つけてたどり着いたお客さんは、湯長さんがいなくなってしまったら悲しいでしょうね。税金の部分を明確にしたり、問題点を解決して、私は(湯長さんに)いてほしいなと思います。

安藤優子:
湯長さんの存在が心のよりどころになっている可能性もありますもんね。湯治客が少なくなっているという話もありましたが、私は“湯長制度”を廃止するのではなく、逆に万全の体制づくりをして、この文化を続けてほしいと思います。「湯長」と「時間湯」を草津の売りにしてほしいですね。

(「直撃LIVE グッディ!」6月21日放送分より)

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