使っていない田んぼを有効活用
この記事の画像(13枚)東京都内にある全国の逸品を集めたという「AKOMEYA TOKYO in la kagū」。
雑貨売り場の一角にあったのが、しゃれたボトルに入ったアロマスプレー。
このアロマスプレーを開発したのは…
ファーメンステーション 酒井里奈社長:
体とかにつけて虫よけにもなりますし、すごい香りもいいので、リラックスして頂いたり、肩につけて気持ちよくするとか…
実はこのアロマスプレー、地球環境にもやさしいという原料に秘密があった。
その秘密を探りに酒井社長と訪れたのは岩手県の南部に位置する奥州市。
田植えを終えたばかりの水田では、有機肥料をまく作業が行われていた。
ファーメンステーション 酒井里奈社長:
今年よろしくお願いします。売れそうだから全部使いたい
酒井社長が声をかけたのは、有機肥料をまいていたアグリ笹森の織田義信組合長。
実はこの田んぼ、もともとは休耕田だった。
アグリ笹森 織田義信さん:
休耕田があると、どうしても病害虫の発生源になっちゃうんでね、それをいくらかでもおさえたいという…
食用の米の需要が減る中、休耕田をよみがえらせることは、周りの生態系維持にも有効だという。
米を食用以外に活用し循環社会を実現
先ほどのアロマスプレーは、この田んぼで取れたお米が原料になっている。
取れた米に麹や酵母を加え、1週間ほどかけて発酵させ、それを蒸留するとエタノールが生成される。
ほんのりやさしいお米の香りがするエタノールは、化粧品原料として売られるだけでなく、自社ブランドのアロマスプレーなどに使われる。
エタノール発生で出る搾り粕は鶏のエサに
それだけではない。
米を発酵させる工程で発生する、もろみ粕は、洗顔用石けんに配合されるほか、搾り粕は、養鶏場に運ばれ、エサとして鶏に与えられている。消化管が短い鶏にとって、発酵したエサは、消化を助ける効果があるという。
この米の搾り粕をエサに使う養鶏場では…
まっちゃん農園 松本崇さん:
いかに栄養を効率よく取るかが、卵にも直結してくるので、エサが良いということは、すごく大事ですね
最終的に鶏のふんは食用米の有機肥料に
米の搾り粕も有効利用し、ごみゼロを実現した。
また、そのエサを食べた鶏のふんは、肥料としての価値も向上。食用米の有機肥料としても利用されている。
ファーメンステーション 酒井社長:
今後は茶かす、コーヒーかす、果物のしぼりかすとか、そういったものをエタノールにして、化粧品や雑貨の原料にする。将来的には、私たちが絡んだサスティナブルな原料に置き換えられればいいなと思っています
三田友梨佳キャスター:
休耕田を活用した試みですがいかがですか?
コミュニティーデザイナー 山崎亮氏:
すごいですね。循環型でその中に商品もきっちり入っている。休耕田が増えると何が問題かと言うと、一つは病害虫が発生していまも米を生産されてる田んぼにも影響が出て農家が困る。もう一つは田んぼの持つ洪水防止機能の低下の問題が出てくるんですね
コミュニティーデザイナー 山崎亮氏:
田んぼって一つ一つが小さなダムみたいになっていまして、大雨が降った時なんかも一旦そこで水をためてくれる機能を持っているんですね。場所によっては(休耕田が増えて)そういう役割が減じてしまって、水が一直線に集まって、鉄砲水や洪水が起きてしまう場合もあります。従って上流の方でたくさんの田んぼがちゃんと機能していることが大切になってくると思います
三田友梨佳:
そういった観点からすると今回のケースはどうお考えですか?
山崎亮氏:
田んぼで米を育てて食料米として売る以外の選択肢が増えてくると、ヒントを得られる地域がたくさんあるという気がしました
三田友梨佳:
休耕田を利用して、新たな経済圏を作り出している、使われていないものに価値をつけて販売につなげるだけではなくて他の分野にまで波及していくことで、また新しい世界が広がるというのは地域活性という面においても魅力的な取り組みだと思いました
(「Live News α」6月20日放送分)