4人に1人…「貯金100万円未満の60歳」が“今からできること”を専門家に聞いた

カテゴリ:暮らし

  • 60歳の4人に1人が貯蓄額100万円未満という調査結果
  • 「支出を知る」「支出を減らす」をすぐにやるべき
  • 専門家「支出をコントロールできないとスタート地点にすら立てない」

60歳の4人に1人が貯蓄額100万円未満

「95歳まで生きるには夫婦で2000万円の蓄えが必要」と試算した金融庁金融審議会の報告書問題が物議を醸す中、興味深い調査結果が公表された。

調査を行ったのは、プルデンシャルジブラルタ ファイナンシャル生命保険(PGF生命)。

今年60歳となる男女2000人を対象にしたアンケートの結果を6月12日に公表し、4人に1人が貯蓄額100万円未満だったことを明らかにした。

毎年行っている調査で、今年は4月にインターネットを使って実施。
その結果、単身、または夫婦合計の貯蓄額を「100万円未満」と回答したのは24.7%だった。「1億円以上」との回答は8.1%あり、全体の平均額は2,956万円で、貯蓄の格差が開いているという結果となった。

2000万円という金額はともかく、年金だけでは足りないと言われる中、老後に対する不安を象徴するかのような結果だが、「貯蓄額100万円未満の60歳」が“今からできること”があるのだろうか?

ファイナンシャルプランナーでファイナンシャルアカデミーの認定講師でもある、小野原薫さんに話を聞いた。

ほとんどの場合、「支出」に関して課題がある

――「貯蓄額100万円未満の60歳」が“今からできること”は?

今からできることはもちろんあります。

現在60歳の方の平均余命は男性で約24歳、女性で約29歳。
現時点の貯蓄額の少なさを悲観的に思うのではなく、具体的なアクションを1日でも早く始めることが大切です。

「60歳で貯蓄額100万円未満」という方でしたら、ほとんどの場合、「支出」に関して課題があると言えます。

現役期にも関わらずお金が貯められなかった方が、これまでと同じようなお金の使い方を続けることは非常に危険です。

現在60歳の方に限らず、ご自身のお金と向き合う際には、以下の5つの順番でアクションすると良いと考えます。

① 支出を知る
② 支出を減らす
③ 公的な制度を知る
④ 働くことを考える
⑤ 資産運用を考える

「60歳で貯蓄額100万円未満の人」であれば、まずは今日から、①の「支出を知る」と②の「支出を減らす」だけで良いので、すぐに行なっていただきたいです。

「支出を知る」のやり方

ーーまずやるべき「支出を知る」を具体的に教えて?

貯蓄とは「収入−支出」。
収入を急に増やすことは難しいですが、支出は自分でコントロールできます。貯蓄ができていない人は、収入に対してずばり支出が多いのです。

そこでまずは「自分の支出を知る」ということから始めてみてください。

支出を知る一番の方法は「家計簿」です。
問題を改善するためには原因を知る必要があります。1カ月間、手書きでもアプリでも良いので家計簿をつけてみてください。

もし家計簿をつけることが難しいという方は、この1カ月間、騙されたと思ってひたすら「レシート」を集めてください。
1カ月間レシートがたまったら、一度だけ、費目ごとに分けて、どんなものにいくら使ったかを集計してみてください。

費目は「食費」「水道光熱費」という定番のもので分けてもいいですし、ご自身で特にお金を使っている意識があるものがあれば、例えば「喫茶店代」「たばこ代」といった感じで特化した費目を設けるのも良いでしょう。

ここで行いたいことは1円単位の収支を把握することではありません。
自分の「お金の使い方の傾向」を知ることです。

「60歳で貯蓄額100万円未満」という方でしたら、何かしら支出に傾向があります。
その傾向(=原因)を知って、対処法を考えることがとても大切です。

たまにレシートのもらい忘れがあっても構いません。
まずはこの1カ月間、レシート集めてみて、ご自身の支出の傾向を調べてみてください。

「支出を減らす」のやり方

――次にやるべき「支出を減らす」は具体的には?

自分の支出傾向が分かったら、次に問題のある支出を減らすという行動に移りましょう。
ただ、もともと貯蓄が苦手なタイプの方にとって、支出を減らすという行為は、大変ストレスのかかるものです。

そこで、ストレスフリーに支出を減らす鉄則をお伝えしたいと思います。

「流動費より『固定費』から。小さいものより『大きいもの』から」

――これはどういうこと?

想像してみてください。
ランチで本当は食べたい750円の酢豚定食を毎回680円の野菜炒め定食に変えるって、積もり積もると結構なストレスになりそうじゃないですか?

こういうことをみなさんにしてほしい、というわけではありません。楽しみを我慢するのは、なかなか大変なことです。
見直すべきところは、ずばり、普段はあまり意識しない「固定費」です。かつ「金額が大きいもの」から見直すべきです。

例えば、「家賃」や「保険代」がそれにあたります。
特に60歳ぐらいの方であれば、ご自身の入っている生命保険について、本当にその契約内容が今必要なのかについて考えていただきたいです。

家計がうまくまわっていない60歳ぐらいの方の傾向として、月々の保険代を多く払っていらっしゃるケースが見られます。
ですが、お子さんも独立されていたりすると、その保障内容が実は今は必要ないということもあり得ます。

また、家賃や保険代ほど金額が大きくなくても、携帯電話の基本使用料や不要なオプション代、通っていないスポーツクラブ代、読んでいないのに定期購読している新聞や雑誌代など、こういったものも見直し対象です。

見直し自体は面倒ですが、一度してしまえば、その後、毎回毎回、考える必要がありません。

もし、固定費の見直しで月30,000円節約できたら、日常生活が仮にそのままであっても、年間で36万円のプラスです。

現在60歳でいらしても、人生まだ長いので、ここから貯蓄を作ったり、資産運用で増やしたりすることも十分可能です。

ですが、支出をコントロールできない限り、そのスタート地点にすら立てません。
まずはご自身の支出を知るところから、最初の一歩を踏み出してほしいと思います。

人生100年時代と言われる中、どんな老後が待っているのかは年金も含めていまだ不透明だ。

60歳で貯蓄額100万円未満という人は、今から何をしていいのか分からないという人も多いかと思うが、まず、自分の支出の傾向を知り、少しでもいいから支出を減らすことから始めてみてはいかがだろうか。

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