なぜ結婚したいのにできない?白書で浮き彫りになった“理想と現実のギャップ”

カテゴリ:国内

  • 政府の「少子化白書」 少子化の大きな要因は「結婚の希望がかなえられないこと」
  • 政府の「女性が結婚相手に求める年収」と「男性の実際の年収」に開き
  • 結婚の障害となっているのは(1)経済的余裕 (2)出会いの機会減少

政府は6月18日の閣議で、16回目となる「少子化社会対策白書」を決定した。

「少子化社会対策白書」を閣議決定(6月18日)

現在の日本は、65歳以上人口が増える一方で、合計特殊出生率が減って少子化が進展している。2053年には日本の総人口が1億人を割る見込みだ。
少子化の大きな要因の一つが「結婚の希望がかなえられないこと」であるため、今回は初めて、白書に付随する形で「結婚に対する意識調査」も行われた。“今どきの結婚観”が浮き彫りになった調査結果を紹介する。

少子化の大きな要因の一つが「結婚の希望がかなえられないこと」

理想の出会いは“職場や仕事で”?!理想の年収は?!今どきの結婚観

(1)理想の出会いの場は?!
未婚で結婚を希望する20~40代男女に結婚相手との「理想の出会いの場」を複数回答で尋ねたところ、「幼なじみ」「インターネットサービス」など多数の選択肢が提示された中で、「出会い方には特にこだわらない」(37.8%)と「職場や仕事で」(37.6%)が多くなっており、「友人・兄弟姉妹を通して」(23.7%)、「サークル・クラブ・習い事」(18.4%)、「合コンなどの飲み会・イベント」(14.4%)が続く。意外と、「学校」はさらに割合が低く出ている(13.2%)。

一方で、20代女性に限定すると、「職場や仕事で」(46.1%)が、「出会い方には特にこだわらない」(30.4%)よりも多くなっていることが注目に値する。

「令和元年版 少子化社会対策白書」より

ただ、「出生動向基本調査」によると、実際に「職場や仕事で」出会った夫婦の割合は、1992年の35.0%をピークに減少傾向にあり、最新の2015年調査では28.2%となっている。このことは、“理想と現実のギャップ”と形容できるだろう。

(2)相手に求める理想の年収は?!
単一回答で結婚相手に求める理想の年収を調査したところ、男性は「収入は関係ない」(24.9%)、「300万円未満」(17.9%)の順に多い。一方、女性は「400万円以上」(19.5%)の割合が大きく、「収入は関係ない」はわずか4.6%だった。

「令和元年版 少子化社会対策白書」より

こうした結果を、実際の男女の年収分布と比較すると、特に「女性が結婚相手に求める年収」と「男性の実際の年収」に開きがあることがわかり、そのうえで女性は、自分と同等以上の年収を相手に求める割合が高い。これもまた、“理想と現実のギャップ”だ。

このように結婚相手に求める“理想と現実のギャップ”が顕在化している中において、結婚にあたってのパートナーとのマッチングが難しい状況がうかがえる。

結婚したいのにできない?!結婚の阻害要因は

前述の“理想と現実のギャップ”のほか、未婚で結婚を希望する20~40代男女に対し「結婚に必要な状況」を調査している。すると、「経済的に余裕ができること」(42.4%)が最も多く、続いて「異性と知り合う(出会う)機会があること」(36.1%)だった。

「令和元年版 少子化社会対策白書」より

結婚していないのは「適当な相手にめぐり合わない」からだと答えた人に対し、その具体的な内容を尋ねたところ、「そもそも身近に、自分と同世代の未婚者が少ない(いない)ため、出会いの場がほとんどない」が42.6%と圧倒的に多い。

「令和元年版 少子化社会対策白書」より

それでは、具体的に何か行動を起こしたのかを聞いてみると、約6割(61.4%)が「特に何も行動を起こしていない」と回答し、特に男性は、どの年代でも、その割合が高かった。

逆に「(良い相手にめぐり合うべく)具体的な行動を起こしている」割合が比較的高いのは30代女性で、「友人・知人に紹介を依頼した」(32.1%)、「婚活パーティー・街コン等に参加している」(17.9%)などといった内容だ。

こうした調査結果をまとめると、結婚の希望を実現するにあたって、具体的な障害となっているのは、(1)経済的余裕、(2)出会いの機会の減少の2点だと言えよう。

出会いの機会の減少が結婚の障害に…

政府としては、こうした調査結果をもとに、「若い世代が結婚生活を見通せるような経済的基盤を整えるとともに、職場内外での様々な活動に参加できる機会を増やすことなどにより、結婚を希望しながら実現できていない、あるいは実現に向けた行動を起こせていない者に対する一層の支援が求められる」としている。

なお、政府関係者は「結婚に対する希望がある場合に、その希望に応えるのが政府の役割。無理に結婚を押し付けようとするのではなく、結婚に向けてアクションを起こそうとした時に、多様な支援策のオプションを提供するのが政府の役割」だと強調する。

政府の取り組み

結婚の阻害要因に対して、政府は次のような処方箋を想定している。

(1)経済的余裕
今年10月より、3歳~5歳の幼児教育・保育が原則として無償化、0歳~2歳についても住民税非課税世帯の原則無償化が図られる。子供を産んだ場合の負担を軽減することで、結婚にあたっての経済的な負担を緩和することを狙っている。

(2)出会いの機会の減少
結婚の希望の実現に向け、公的な支援に取り組むべきとの声も多いが、出会いの機会を増やすにあたり、政府が直接アプローチを図るのは難しい。そこで政府は、地方自治体と連携し、効果的な地方の取り組みに対し交付金を支給するなどして支援にあたっている。

少子化対策を担当する内閣府の庁舎

政府は、結婚と子育ては連続しているとの観点から、結婚に希望をもつ人々の支援を通じ、少子化対策を総合的に前進させていくことにしている。一方で、結婚相手に求める“理想と現実のギャップ”に関してはなかなか明確な解決策がないのが実情だ。今後の社会状況とともにどのように推移していくのか、注目してみたいと思う。

(フジテレビ政治部 首相官邸担当 山田勇

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