「四つ葉のクローバー」でウニを養殖!? “苦肉の策”の研究に成果…水産業に幸せ運ぶ?

カテゴリ:国内

  • 九州大と宮城大の共同研究で“四つ葉のクローバー”でウニを養殖
  • 大きさは天然のウニ並で色鮮やか!
  • 担当者「研究費がなかったことから生まれた苦肉の策」

高級食材として人気が高い「ウニ」。
しかし、このウニが年々減っているという。
農林水産省のデータによると、昨年(2018年)のウニの漁獲量は7100トンだが、1988年の漁獲量は2万1800トンと30年間で約3分の1にまで落ちこんでいる。

その原因の1つが、“磯焼け”と呼ばれる現象。
海水温の上昇などで海の沿岸に生えるコンブなどの海藻類が枯れてしまい、磯焼けした海域で育つウニは身入りが悪く、売り物にならないのだ。

そんな中、九州大と宮城大が共同で行っているウニの養殖の研究では、ウニの餌として珍しいものを使い、成果を上げている。


その餌というのが、幸せのシンボル!“四つ葉のクローバー”
これをウニに食べさせることで、天然のウニ並みの大きさに成長するという。

四つ葉のクローバーが餌…いまいちピンとこないが、これはシャレではなく大真面目な研究だという。
研究チームはなぜ四つ葉のクローバーに注目したのか?そして、四つ葉のクローバーを食べさせたウニは、どんな効果があるのか?
この研究に取り組む九州大学農学研究院の栗田喜久助教に話を聞いてみた。

研究費がなかったことから生まれた苦肉の策

九州大学 栗田喜久助教

――クローバーを餌にウニを養殖する研究をやろうと思ったきっかけは?

この研究は、研究費がなかったことから生まれた苦肉の策でした。

2016年、東北大の助教時代に、私はウニの飼育の研究をしていました。ウニは、海藻を食べて成長します。
春夏はコンブやワカメなどたくさんあるので育てられるのですが、しかし、秋冬は海藻が枯れてしまうため用意することが難しいんです。
研究費があれば、冷凍の海藻を北海道から取り寄せられるのですが、研究費はありません。

水産試験場の職員が、ウニに魚肉や野菜を与えた研究を昔からやっており、ウニは何でも食べることを知っていたので、裏山に生えているいろんな草をウニに食べさせました。
その結果、クローバーをたくさん食べることがわかりました。

栄養学に詳しい宮城大の助教の片山先生にこの話をしたところ、クローバーは豆科で栄養が豊富なため良いかもしれないと教えていただきました。
そこで本格的に、宮城大と共同で研究することにしました。

――どんな実験をした?

キタムラサキウニと呼ばれるウニ数十匹を半々に分けて、
1つのグループにはクローバー、もう1つのグループには、海藻を与えました。
約60日後、ウニを割って、見た目や成分を比較してみました。

――クローバーは四つ葉をあげていると聞いたが?

クローバーを採るときに四つ葉を意識的に多く取るようにし、ウニに食べさせる時には、四つ葉を積極的にあげてました。
ただし、全部が全部四つ葉をあげていたわけではありません。

――ちなみに、ウニはクローバーをどのくらいの量食べる?

3日で100g程度(ちなみに1本2~5グラム程度) です。

海藻で育てたウニよりも磯臭さが軽減

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――実験後のウニの様子はどうだった?

ウニを割ってみると、天然並の身の大きさで、色も鮮やかでした。
アミノ酸などの成分も海藻で育てたほうと比べても変わりませんでした。血中の中性脂肪を下げるとされる種類の脂肪酸の量は増えていました。

――ウニの味は?

普通にウニの味がしましたし、海藻で育てたウニよりも磯臭さがかなり軽減されていました。
ウニを初めて食べる学生は、食べやすいと言ってました。

――クローバー以外に、ウニに何か食べさせる実験はした?

ヨモギを与えましたが、全然食べませんでした。
植物の葛もクローバー同様、よく食べました。ウニの味は、個人的にはクローバーに比べ植物の風味が反映されている感じがしました。

――四つ葉で育てたウニを食べて、その後幸せなことは起きた?

宝くじが当たるといったことはありません。
こうやって我々の研究を記事にしてくれることは幸せな事かもしれません。

誰でも育てられて低コスト

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――この結果から、将来どんなことができるようになる?

天然のウニの漁獲量は減っています。
安定的にウニを市場に出そうとすると天然だけに頼るのは難しい。
養殖の場合、秋冬に昆布、若布などのコストがかかってしまうが、クローバーなら年中採れて、誰でも育てられて低コストのため、ウニの養殖が広く普及できます。

そして、養殖するためのウニは、磯焼けで身入りの悪いウニを利用できます。
これまで、磯焼けの身入りの悪いウニは、駆除されるのですが、駆除すると産業廃棄物扱いとなりお金がかかります。
駆除するウニを安い値段で買って、クローバーで養殖すれば、日本産のウニを年中、市場に提供することができます。


クローバーを餌にウニを養殖することで、「身入りの悪いウニの有効活用」「日本産のウニを1年中安定的に市場に出すこと」が同時に可能になる。
実現すれば、水産業の活性化につながる。
苦肉の策から生まれたという“四つ葉のクローバー”が、近々、水産関係者や消費者に幸せを運んでくれるかもしれない。