感染症を引き起こすと命の危険も…

気持ちが良くて、ついついやってしまう耳かき。だが、耳かきには思わぬ落とし穴がある。

今年5月、イギリスでは耳かきが原因で31歳の男性が意識不明の重体となり、病院に搬送されたというニュースが報じられた。
綿棒の綿の部分が耳の中に残って細菌が発生し、脳まで広がったというのだ。

この記事の画像(19枚)

本当に耳かきでこんなことが起きてしまうのだろうか?医師に詳しい話を聞いた。

たなか耳鼻咽喉科・田中伸明院長:
特殊なばい菌だったり、弱いばい菌でも骨を溶かしていってしまうようなことが起こることもあります。
顔の神経、顔面神経というものもありますし、ちょっと上に行くと脳みそに繋がっていますから。そういうところに感染を起こすと、命に関わるという話をしなければいけなくなることはあります。

命の危険もあるという耳かきのトラブル。中でも多いのがこちら。

耳の中にカビが入り込み、感染症を起こしてしまった映像だ。耳かきによる炎症がかさぶた状になり、そのかさぶたが湿ってカビを発生させていた。
さらに、耳かきのし過ぎで耳あかがコルク状に固まり、耳の穴を塞いでしまうケースもあるという。

あなたはどうやって「耳かき」してる? 頻度・深さを調査

街で耳かきについて聞いてみると…

60代の女性:

お風呂上がりに必ずやっています。だから、ほとんど毎日(耳)掃除というか、水をとりながら綿棒で。気持ちいい!すっきりって感じがする。

20代の女子大学生:
週に1回とか。

普段、どのように耳かきしているのか再現してもらった。

20代の女子大学生:
多分これくらいだと思います。

綿棒はどれくらい耳の中に入っているのか?計測してみると1.5cmだった。

週に1回のペースで耳かきをしているという20代の男性会社員は…

20代の男性会社員:
僕、多分めっちゃ奥まで押し込んでグリグリって入れてます。結構入れている気がします。

綿棒の深さを計測してみると2cmだった。

20代の男性会社員:
奥の方に残った(耳あかが)取れたのを見るとね、残ってるのは嫌だなって感じます。

耳あかが気になって、ついつい綿棒を奥に入れてしまうという声に共感する人もいるだろう。

20代の女性会社員:
結構奥の方までやってしまいます。小学校か中学校の頃に、耳かきをし過ぎて赤くなってしまって、病院に行ったことがあります。

中には、耳かきをし過ぎて耳の中を傷めてしまう人もいた。

耳あかを押し込む「耳かきのし過ぎ」に注意

そこで、とくダネ!は耳鼻科に協力していただき、男女5人の耳の状態をチェック。
まずは、耳に入れる綿棒の深さは2.3cmだという30代の男性から。

田中院長:
普段、どれくらい耳かきしてますか?

30代の男性:
2~3週間に1度くらいのペースです。

耳の中を診察用のカメラで見てみると、奥にある鼓膜の手前に耳あかが確認できる。実は、この状態が耳かきのし過ぎだという。

田中院長:
一番奥にある薄い膜が鼓膜で、本来は(耳の奥の方の皮膚には)鼓膜のあたりにゴミが溜まったり毛が入ったりしない場所なので。それがあるのは、自分で(耳かきをしすぎて)ゴミを押し込んでしまっているんですね。

あかは本来、耳の入り口付近にできるが、耳かきをし過ぎたことでどんどん奥へ入ってしまう。
続いて、2日に1回の頻度で耳かきをしていて、綿棒の深さは2.5cmだという40代の女性を診察。

田中院長:
皮膚がちょっと赤くなっていますね。

炎症していない状態と比べてみると、 その違いが分かる。

診察の結果、5人のうち4人が 「耳かきし過ぎ」と判断された。

田中院長:
(耳かきし過ぎの人は)1日に10人くらい来ますね。

では、トラブルを回避するにはどうしたらいいのか?

知らないと危険! 正しい“耳かき法”

山﨑夕貴キャスター:
正しい方法で耳かきをしないと、トラブルが起こることもあるんですよ、小倉さん。

小倉智昭キャスター:
結構やりますけどね。毎日ではないけれど、週に2回くらい。

笠井信輔キャスター:
綿棒による耳かきのトラブルは多くて、綿棒の繊維が耳の中に残ってカビが発生したり、かき出しているつもりが耳あかを奥に押し込んでしまって、耳あかがコルク状に詰まったり、さらには細菌が発生して骨を溶かし、命に危険をもたらすケースもあります。

山﨑夕貴キャスター:
そこで、耳かきの正しいやり方を調べました。中瀬さんは、普段どんな風に耳かきをしていますか?

中瀬ゆかり:
模型に綿棒を入れてみますね。これくらいの深さまで入れています。

笠井信輔キャスター:
そんなに入ってるんですか!?

山﨑夕貴キャスター:
こすり方はどのような感じ?

中瀬ゆかり:
綿棒を回して…私はいつもお風呂上がりに毎朝、日課のようにやっています。だから、あまり強くやらないようにと意識しています。
耳かきを使うこともありますが、綿棒の方が多いですね。

小倉智昭キャスター:
僕の場合は深いので、右から入れて、たまに左から出てくることもありますよ。

一同:
(笑)

山﨑夕貴キャスター:
正しい方法は、耳の入り口から1cm程度、綿棒の膨らんでいる部分までが目安です。この皮下組織がある部分よりも奥に入れてしまうと、骨と皮膚しかないため傷つきやすくなっています。
頻度は月に1~2回ほど。入り口付近に溜まった耳あかを優しく拭う程度で、こすらなくていいんです。

伊藤利尋キャスター:
なんだか物足りない!

山﨑夕貴キャスター:
もっと掃除しなくてもいいのかと思われますよね。実は、耳あかには大切な役割がたくさんあります。

(1)耳垢が異物の侵入を防ぐ
(2)細菌の定着や増殖に対する防衛機能がある
(3)皮膚表面の保護・潤滑作用がある

そのため、キレイにしすぎないのがポイント。ある程度、耳あかはあった方がいいとされています。
とは言っても、耳が気持ち悪い時もありますよね?次のような場合は、こう対処してください。

【水が入った時】
耳の中が湿ってなんだか気持ち悪いが、軽くタオルを耳の入り口に押し当てる程度に留める。
体温で自然に蒸発するため、耳の中は濡れていても問題ない。

【耳の中がかゆい時】
触らず我慢する。耳かきのやり過ぎで炎症を起こしている部分の皮膚が、再生しようとしている時にかゆくなる。ここで耳掻いてしまうと、また炎症を起こす悪循環となるため注意が必要。痛みなどの違和感がある場合は早めに病院へ。

笠井信輔キャスター:
専門家は、基本的にあまり触らない方がよいとしています。

山﨑夕貴キャスター:
耳の中に髪の毛が入ってしまうということもありますよね。これも自分で無理に取り出そうとせず、病院で処置をしてもらってください。
また、意外と多いのが、綿棒で耳かきをしている時に誰かとぶつかって鼓膜に穴が空いてしまうというケース。これにも注意が必要です。

笠井信輔キャスター:
綿棒ではなく竹やステンレス製の「耳かき」を使用する場合は、綿棒よりも固いためより注意が必要だといいます。
田中院長によると、異変を感じた時は、耳の軟骨を押したり、耳たぶを掴んで動かしてみる。こうすることで痛みがあったら、早めに耳鼻科に行った方がよいということです。

(「とくダネ!」『NEWSヤマサキ調べました』6月14日放送分より)

とくダネ!
とくダネ!