グループステージ突破に向け、運命のスコットランド戦を迎えるなでしこジャパン

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FIFA 女子ワールドカップ フランス 2019特集

初戦から切り替えて臨むグループステージ第2戦

フランスで行われている女子W杯に参戦中のなでしこジャパンは、14日のグループステージ第2戦でスコットランドと対戦する。初戦でアルゼンチンと0-0で引き分け、第3戦に優勝候補のイングランド戦を残しているため、グループステージを通過するためには勝ち点3が必須だ。

初戦でイングランドに敗れたスコットランドは、点を取るために積極的に攻撃を仕掛けると思われるが、引き分け狙いで守りを固めてくる可能性も否めない。大会は各組2位までと、3位の6チームのうち上位4ヶ国の計16チームが決勝トーナメントに進出できるからだ。

早い時間帯の失点は絶対に避けたいが、スコットランドが守りを固める前に、リスクを負ってゴールを奪うことが必要だ。どこで攻撃のスイッチを入れるのか、その意図をピッチに立つ11人が試合の流れに合わせてしっかりと共有していくことが重要だろう。

選手たちは全員でスコットランドの映像を見て選手間のミーティングを重ねている。

DF鮫島彩は、「特に立ち上がりのプレッシャーがすごいなと思いました。おそらく最初から勢いを持ってくると予想しています」と、語る。

日本の初戦は25,055人の観客が入り、開幕戦12試合中、最多だったフランス対韓国の45,261人に次ぐ数字だった。第2戦が行われるレンヌのロアゾン・パルクは、初戦の会場と比べるとキャパシティーは1/2程度だが、約35,000人を収容できる。ブルターニュ地方のレンヌは天候が変わりやすく、激しい雨が振った30秒後にからっと晴れるといった急激な変化に見舞われることがあり、ピッチコンディションや気温が試合に影響しそうだ。

スコットランドはどんなチームか?

スコットランド戦に向けて3日間の調整を行なった

開幕戦では、アメリカ、フランス、ドイツ、イングランド、ブラジルといった強豪国が順当に勝利した。初戦でイングランドに2-1で敗れたスコットランドは、前半に2点を失ったが、後半は追い上げを見せ、チャレンジャーとして意欲に満ちた戦いぶりを見せた。

FIFAランク7位の日本に対し、スコットランドは同20位でW杯は初出場だが、欧州予選ではW杯出場経験のあるスイスを上回って出場権を獲得。4月の親善試合ではブラジルを1-0で下している。スコットランドはこれまでの日本の戦いぶりを研究し尽くした上で、グループ2位通過を狙って来るだろう。

高倉麻子監督はスコットランドの印象について、
「欧州で鍛えられている選手が多くて体が強く、W杯は初出場とはいえ技術も高い選手が多いです。速くて強い前線の選手が推進力を持ってゴールに飛び込んでくる。そこを止めない限り勝利は見えてこないと自覚しています。非常にスピードのある選手がいるので、しっかりケアしていかなければいけないと思います」
と、守備のポイントを強調。

日本はクロスからの失点が多く、そこに強みがあるスコットランドはここぞとばかりに狙ってくるだろう。その点は、大会直前の国内合宿から、危機感を持って対応の練習を重ねてきた成果が問われる。

スコットランドの選手の特徴として、イングランド・女子スーパーリーグ(WSL)でプレーする選手が多いことが挙げられる。その数は23名中11名に上り、アーセナル、チェルシーといった強豪チームでプレーしている選手が代表でも主力に名を連ねる。他には、国内リーグでプレーする選手が7名、以下、アメリカ(NWSL)が2人、スウェーデン(ダームアルスヴェンスカン)が2人、イタリア(セリエA)が1人という内訳だ。

警戒したい選手の一人が、右サイドのFWクレア・エムズリー。171cmの長身とスピードはカウンターも含めて迫力がある。日本でマッチアップする可能性が高いのが、左サイドバックのDF鮫島彩だ。鮫島はこれまでにもフランスやオランダといった身体能力が高い国のスピードスターとマッチアップを重ねてきており、経験からくる駆け引きの巧さで先手を取り、試合の流れを引き寄せてくれると期待している。また、FW岩渕真奈がバイエルンでプレーしていた頃のチームメートであるFWリサ・エバンスも、「クロスを上げ切ってくる怖い選手」(岩渕)だという。

そして、一番の要注意選手が、アーセナルでプレーするMFキム・リトルだ。163cmと、スコットランドの中では小柄だがテクニックがあり、チャンスメイカーからゴールゲッターまで、複数の役割を一人でこなす司令塔だ。彼女はアメリカのシアトル・レイン(現レインFC)でプレーしていた2014年に、NWSLの得点女王と年間MVPを受賞。今年はWSLでベストイレブンに選出された。

スコットランドのシェリー・ケア監督は、2014年に男子スコットランド代表チームを女性として初めて指導した経歴を持ち、17年から女子代表を率いて今回、初のW杯出場に導いた名監督だ。また、以前アーセナルレディースで監督を勤めていた時にMF大野忍(現ノジマステラ神奈川相模原)とDF近賀ゆかり(現オルカ鴨川FC)を指導したことがあり、親日家の一面も見せる。

前日会見で、ケア監督は次のように意気込みを語った。

「日本は世界のベストチームの一つですから、リスペクトを持って戦います。アルゼンチン戦の結果は驚きでした。私たちも明確なプランがあります。自分たちが集中力を持って、プランを遂行できれば勝てると思います」

3年間の積み上げの成果を示す一戦に

岩渕はゴールへの強い想いを口にした

万が一、この試合で負ければ、グループステージ突破は難しくなる。グループリーグ敗退ということになれば、日本女子サッカー界は再び氷河期に突入するだろう。たとえアルゼンチン戦のように1点が遠い試合になったとしても、この3年間、チャレンジアンドエラーを繰り返す中で培ってきた「試合の中での修正力」を示し、ゴールに向かう力強い姿勢と気迫を見せてほしい。

90分間、最後の最後まで戦い抜く姿勢、気持ちのこもったプレーこそが、なでしこジャパンが受け継いできた魂だったはずだ。それが感じられない試合だけは見たくない。

アルゼンチン戦で後半から出場して流れを変えた岩渕は、アルゼンチン戦の後に、「パスを続けていても敵は動かないし、アルゼンチン戦は(ポジションを)一つ飛ばすパスやダイレクトパスがなくて手詰まりになりました」
と、悔しそうに振り返っていた。

そして、前日練習の後には、「ゴールへの気持ちは誰にも負けないので、自分が先陣を切ってゴールに向かいます」と、負ければ後がない一戦に向けてエースの自覚と責任を口にしていた。

試合は日本時間の14日22時キックオフ。グループステージ突破をかけたスコットランド戦は、高倉ジャパンにとって正念場となる一戦だ。


(文・写真:松原渓)

『FIFA 女子ワールドカップ フランス 2019』
日本戦をフジテレビ系にて全試合生中継
<放送日時>
グループステージ
6月10日(月)深夜0時25分 日本×アルゼンチン
6月14日(金)21時49分 日本×スコットランド
6月19日(水)深夜3時50分 日本×イングランド
(※すべて延長の場合あり)

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