スマホ撮影するだけで名前を自動判定「いきもの図鑑」が話題…国内約6万6000種の“コンプ”は可能?

カテゴリ:国内

  • リアルな「ポケモンGO」…出会った“いきもの”を集めるコレクションアプリ
  • 国内のほぼ全種 約6万6000種類の動植物が現在収録されている
  • 1か月に600以上投稿するユーザーもいる

リアル「ポケモンGO」

私たちの身の回りはいつも、名も知れぬ動植物にあふれている。
宙をひらひら舞う蝶や道ばたにそっと咲く花を見て、ふと「…なんという名前なんだろう?」と気になったこともあるだろう。

こうした中、「現実世界(リアル)はゲームよりも面白い 出会った“いきもの”を集めて世界を冒険するコレクションアプリ」という謳い文句のアプリが4月に正式リリースされ、リアル「ポケモンGO」のようだと話題になっていて、すでにiOSとAndroid合計で約4万件のダウンロードを記録している。(6月17日現在)

これは、京都大卒業生らが2017年に設立した京都市のベンチャー企業が開発したいきものコレクションアプリ「バイオーム」

使い方はいたって簡単で、屋外で気になった“いきもの”に出会った際、アプリを起動して、パシャッと撮影するだけ。
そうすると、撮影した場所や時期、写真に写ったいきものの形状などをもとに、人工知能(AI)が撮影画像とデータを照合し、たちまちその名前を判定してくれる。

アプリには、国内のほぼ全種に当たる約6万6000種類(6月17日現在の動植物を収録しているというが、コレクター魂をくすぐるのが、投稿した写真がアプリに搭載された機能「いきもの図鑑」に自動で登録されること。一度始めてしまったら、無謀とは思いつつも全種コンプリートを目指したくなる人もいるだろう。

その他にも、いつどこにどんないきものがいたのか、マップ上に記録できる「いきもの地図」や、他のユーザーといきものにまつわる情報を交換できる「いきものタイムライン」。さらに、いきものの珍しさに応じてポイントが獲得でき、貯まるとレベルアップする仕組みや、設定された課題をクリアすると、アプリの中でバッジを獲得できるなど、継続して使ってみたくなる仕掛けにあふれている。
また、投稿された情報は、研究機関や行政機関などに提供され、環境保全にも活用されるという。

実際に使ってみた

「バイオーム」の操作性は実際のところ、どのようなものなのだろうか? そこで、編集部ではアプリをダウンロードして使ってみることにした。

あちらこちら歩き回っていると、目の前に黄色い花を見つけたので、アプリを早速起動。アプリのカメラ機能を使って花を写真に収め、指示に従ってトリミングを行う。

トリミング後、被写体が「動物・昆虫」「植物」のいずれなのかを選択すると、アプリ収録のデータから判定候補の一覧が表示される。

花と一致した候補を選んで決定すると、その動植物に関する説明や、別のユーザーが過去に撮影した画像を見ることができる。ここまで難しい操作は一切なく、別のいきものをつい見つけたくなること間違いなしだ。

どうしてこんなアプリを作ったのか?そして全種コンプリートは可能なのか?バイオームの担当者に話を聞いた。

月に600以上投稿するユーザーも

――アプリのアイデアの直接の元は?

代表が京都大学起業家育成プログラム(GTEP)に参加し、環境や生物多様性の保全をテーマに、ビジネスモデルのブラッシュアップを行っていた際、「県ごとの生物多様性のランキングを出せたらおもしろいね」という話になりました。

そこで、どうすれば生物多様性のデータを集約できるかを考え抜いた末、位置情報と写真を組み合わせた、アプリの原型となるアイデアに至っています。

ーーどのようなユーザー層に人気?

年齢を問わず生き物好きの方をはじめ、地域の環境保全に携わる方々、若い研究者の方、有機農業や自然農法に関わる方々からも支持をいただいております。また今まで環境保全とはあまり縁がなかった方であっても弊社の理念に共感したといったキッカケからアプリをご愛用いただいております。


――ユーザーの声で印象的だったものは?

「日々何気なく歩いていた道でも発見があって楽しいです。いわゆる『雑草』ひとつひとつにも目を向けるきっかけになりました」というものが非常に嬉しかったです。

――開発者として驚かされたユーザーの記録などはある?

1日に50種以上の動植物を集め、月に600以上の投稿をされている
方には非常に驚かされました。
また、アプリ内で「クエスト」という指定された対象種を投稿するイベントを開催しています。このクエスト達成は、バイオームのスタッフでも若干難易度が高いと感じるものもありますが、積極的にクエスト達成をされているユーザー様もおられます。

――その他にも想定外の反応などあった?

地方在住の在野研究者と呼べるような生き物に詳しい方々から、「このようなアプリを待っていました!」との声をいただいております。また、研究者からも「シチズンサイエンスの新しい取り組み」との評価を受けました。

全種コンプリートは「人生を懸ける感じ(笑)」

このアプリの場合、コレクションの数を稼ぎたいがために、実際には自身で撮影していない“ネット上の画像”が投稿されるというケースも考えられるが、そのあたりの対策についても聞いてみた。

ーー自身で撮影していない「ネット上の画像」などに対する対策は?

弊社としては、運営サイドでの対策と、ユーザーコミュニティサイドでの対策を行っています。

そもそも、本アプリは「生物多様性の保全」という理念のもと、ユーザー様とともに運営しているという感覚があります。「ネット上の画像」などの投稿は、単なる興味本位やいたずら目的で投稿される方によって発生すると考えられますが、このような本来的な利用とは異なる写真を投稿する方の数は非常に少ないです。

その上で、運営サイドの対策としては、投稿後にシステムによる除外化、弊社スタッフによる目視での対策を行っています。いたずらなどの目的で本アプリに画像投稿しても何のメリットもありません。機能的な解決も重要ですが、弊社としては理念を発信しつづけることが重要だと考えております。

ユーザーコミュニティサイドの対策は、いいね!、コメント、通報といった機能でコミュニティの力で健全な状態を保っています。現在は非常にありがたいことに、コミュニティのチカラは非常に大きいと実感しています。

――登録されている約6万超の動植物をコンプリートするためにはどのくらいの時間がかかる?

スタッフにも聞いてみたところ、「人生を懸ける感じになるんじゃないですかね(笑)」と。

――アプリは今後どのような活用が期待できそう?

子供の情操教育や環境教育への活用は、弊社としても意欲的に取り組みたい分野のひとつです。NPOや大学、教育関連企業とこれまで取り組みを進めています。

小さな子供が身近な動植物の名前を知ることで、生き物に関心を持ち、そこから生態系という生命のつながりを感じる、といった形で学びを広げていく。そのような教育イベントなどを企画・開催しております。

――今後どのようなコラボレーションを実施予定?

都市計画の方面でも具体的な提案や企画をしているところです。


イベント活動の真っ最中。スマホを構える子どもの顔は真剣そのものだ。

アプリを通じて動植物への関心を喚起し、ひいては生物多様性の保全につなげていきたいというバイオーム。ユーザーの熱い反応をみるに、その思いはしっかり通じているといえそうだ。果たして人生を懸けて全種コンプリートをする“猛者”は現れるだろうか。

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