動物の胃から大量のプラスチックゴミ

海岸に横たわるこちらの鯨。体長は23.8メートル。
苦しそうに開かれた口から、ペットボトルなど、多くのゴミがあふれ出ているのが印象的だが、実はこれ、プラスチックゴミの海洋汚染に警鐘を鳴らすアート作品だ。

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しかし、現実問題としてこのように動物の体からプラスチックゴミが見つかるケースは、実際に数多く起きている。

今年3月、フィリピンで見つかった鯨の死骸の中からは、約40キロのプラスチックゴミが見つかった。また、インドネシアでビーチに打ち上げられた海亀の体内からは、大量のポリ袋などのプラスチックゴミが見つかった。

日本で1年間に出るプラスチックゴミの半数近くの46%がポリ袋やペットボトルといった食品などを包装する容器である。

鹿の胃から茶色の巨大な塊が

そして、この茶色い塊。実は日本のある動物の胃から出てきた、ポリ袋などの塊だ。

どのくらいの大きさかというと、これぐらいの大きなものが体から出てきたという。

なぜこんなにも大量のプラスチックゴミが体内から見つかったのか。現場を取材した。

奈良の鹿愛護会 丸子理恵獣医師:
これは、シカの第1胃に入っていた、主にビニールのゴミが絡まった塊です。

今年3月以降に死んだ9頭のシカのうち、7頭の胃の中から茶色い塊が出てきた。ポリ袋などの大量のゴミと見られ、重さは最大で4.3キロもあった。

シカには4つの胃があり、最初に食べたものをためる第1の胃の中に、ゴミが固まっていた。

奈良の鹿愛護会 丸子理恵獣医師:
食べ物を食べても栄養がとれなくなってしまって、死んだんだろう。ちょっとここまでひどいのはショックでしたね

シカは観光客の持つポリ袋に食べ物が入っていることを認識していて、ポリ袋を食べようとする。

また、外国人観光客の増加でゴミのポイ捨ても増えていて、捨てられたポリ袋を鹿が食べてしまう。

アメリカ人観光客:
とても悲しい。ポイ捨てすべきじゃない

中国人観光客:
ダメですね。ポリ袋はちゃんと持っておかないと

奈良の鹿愛護会 石川周事業課長:
シカがこれだけたくさん住んでる公園ですから、捨てたものがシカの害になるということまで、少し考えてもらえればありがたい

奈良公園では巡回などでマナーの改善を訴えている。

(「Live News days」6月13日放送分より)