整形目的が2割!?急増する訪韓日本人に聞く「YOUは何しに韓国へ?」

“過去最悪”の関係でも、訪韓日本人が増え続けるワケ

カテゴリ:ワールド

  • 「徴用工」判決後も訪韓する日本人は増加中 過去最高も記録
  • 「政治は関係ない」後押しするのは“第3次韓流ブーム”
  • トレンドは一石二鳥の“整形旅行”!?「施術費安く観光も」

37万5119人

これは、日韓関係が“過去最悪”と言われる中で記録された、ある“過去最高”の数字だ。

韓国観光公社の統計で、19年3月に韓国を訪れた日本人が、37万5000人を超えた事が明らかになった。この数字は“ヨン様ブーム”が吹き荒れた2004年当時を上回るもので、1か月間当たりの訪韓日本人の最高記録だ。しかもこの波は一時的なものではない。「徴用工」訴訟で日韓関係が急速に冷え込んだ18年秋以降、訪韓する日本人は増え続けている。18年10月は29万468人で、前年の同じ月と比べると約61%増加。その後も19年4月まで、前の年を上回り続けている。まさに「政冷観熱」だ。

日本人50人に意識調査 「韓国は憧れ」「政治は関係ない」

日韓関係がかつてない冷え込みを見せる中、なぜ日本人はこぞって韓国を訪れるのか。その背景を探るため6月上旬、ソウル最大の繁華街・明洞で意識調査を実施した。対象は日本人50人(20~70代)。街行く日本人は圧倒的に女性が多かったため、男女比は男性10人、女性40人と偏りがある。訪韓の目的や政治的な摩擦を意識するかどうか、などを尋ねた。

愛知県から2泊3日で訪れたという25歳の女性2人組の目的は「ショッピング」のみ。すでに大量の買い物袋を持っていた。「政治的なことは全然気にしない。私達にとって韓国は可愛くてカッコイイ、憧れの対象。とにかく韓国の若者達を尊敬している」

こう話す2人のメイクやファッションは、韓国の街に完全に溶け込んでいた。

札幌市の27歳と25歳の女性2人組はともにアパレル業界で働いていて、韓国ファッションの「現地調査」も兼ねて観光目的で訪れたという。「最新のトレンドをチェックして、それを日本でお客さんに伝えるとすごく反応が良い。韓国といえばK-POP。私もそこから入りました」

アパレル業界で働く女性2人「現地調査も兼ねた観光」

「第3次韓流ブーム」がけん引、“ウォン安”は意外にも関係なし?

今回の意識調査で、訪韓目的を「買い物・観光」と答えた人は50人中38人。このうちほぼ全員が「政治的な摩擦を気にしない」と話していた。

大手旅行会社JTBによると、近年、韓国を訪れる日本人は10代や20代の若年層が多く、「第3次韓流ブーム」が背景にあるという。世界的な人気を誇る男性グループ「BTS(防弾少年団)」などが火付け役となった新たな波だ。さらに若い世代はインスタグラムをはじめとするSNSで自身の趣味に合った情報のみを集める傾向にあり、政治的な影響を受けにくいという。

一方韓国メディアは、訪韓日本人の増加について「円高ウォン安が背景にある」と分析しているが、調査した50人のうち、ウォン安を訪韓の理由とした人は、意外にも1人もいなかった。
この結果についてJTBは「為替を考慮しない人が多いというデータは、韓国が“安近短”の旅行先として定着してきたことを示すものではないか」と分析した。

「整形旅行」がブーム?日本人が殺到する医院も…

明洞での調査中、ベンチに座って休憩する女性に声をかけた。
「ついさっき施術してきました、ほっぺたがまだ腫れぼったいでしょ?プチ整形みたいなものです」

岡山県で美容サロンを営むこの女性(47)は、ソウルの医療機関で肌のハリを取り戻すための「高周波レーザー治療」を受けたという。この治療を受けるためだけに韓国を訪れたのだ。女性によると、市場規模5000億円の整形大国・韓国では症例数が多いため施術の質が高く、さらに価格も日本より格段に安いという。例えば、しわを取る「ボトックス注射」の相場は東京で4~5万円だが、韓国では1~2万円で済むという。「私の周りでも韓国にプチ整形旅行に行くのがブームになっています。安くて観光もできるから一石二鳥。経営している美容サロンのお客さんもそうした情報を求めているから、営業活動にもつながるんです」

青森県から訪れた4人組の女性(40~60代)は、皮膚の表面に色素を入れ眉毛を書く「アートメイク」の施術を受けたという。「きのう眉毛に手を加えたばかりだから真っ黒なんですよ。イモトアヤコさんみたいなね」

照れながらこう話しつつも、4人はそろって満足気だった。

調査では50人中9人が「美容整形・美容医療」を目的として韓国を訪れていた。実に全体の約20%だ。この傾向を裏付けるデータもある。
韓国保健産業振興院によると、18年に韓国の医療機関を受診した日本人は約4万2500人で前年から56%増加している。そして全体の半数以上を「皮膚科」と「整形外科」の受診が占めていて、その多くが「美容医療」目的だと見られている。

明洞駅前の美容皮膚科には、日本人女性が殺到

青森の4人組が施術を受けたという明洞の美容皮膚科を訪ねると、待合室では大勢の日本人が順番を待っていた。口コミで「完全日本語対応」との評判が広がり、美を追求する日本人女性が殺到しているのだ。2年ほど前から日本人患者が増え始め、19年5月には約200人が来院。18年の同じ月と比べると、倍増だという。

医院の担当者は「最近の増え方には驚いています。中には、ヨン様ブームの頃から来院している女性が、BTS世代の娘さんを連れてくるケースもあります。日本人も美容整形に抵抗感が無くなってきているので、この勢いはしばらく続くのではないでしょうか」と話した。

未だに改善の兆しが見えない日韓関係だが、政治的な影響を受けることなく、両国を往来する人々の数は増え続けている。だが、いわゆる徴用工訴訟を巡って企業に実害が発生し、日本政府が対抗措置に踏み切った場合、現在の勢いを支えている両国の若者達の対韓・対日感情がいよいよ悪化しないとも限らない。日韓の経済活動を停滞させないためにも、韓国政府には改めて「適切な対応」が求められている。

【執筆:FNNソウル支局 川崎健太】

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