『地元残るなら車買ってあげる…!』愛知県民の“親子あるある”は今でもあるのか?

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  • 愛知県に昔からある『子供が地元に残るなら親が車を買ってあげる』“独自文化”
  • 地元進学率は愛知県が全国ナンバー1
  • 理由は愛知の『独特』な県民性…しかしその文化に変化も 原因は?

まずは高校の卒業生に聞いてみた

「地元に残るなら車買ってあげる」愛知県にかつてあった独特の“文化”…。

進路選択の前に、親子の間で交わされるというこの約束。果たして習慣として今でも残っているのだろうか?。

当時、卒業式が行われていた名古屋市天白区の東海学園高校で、まずは卒業生に今後の進路を聞いてみた。

卒業式が行われていた東海学園高校で調査 名古屋市天白区

女子生徒:
「(卒業後も)県内です。(Q.県外にという思いは?)なかったです」

男子生徒:
「大学に行きます。スポーツをやるために。県内です」

別の女子生徒:
「バレーボールをそこの大学でやりたくて、それ優先で決めました。県外です。1人暮らし始めます」

別の男子生徒:
「県内です、地元の大学に進学します。県外行くとお金がかかるじゃないですか」

中には県外という卒業生もいたが、予想通り「愛知県内に残る」という声が多かった。

教頭:
「たぶん3分の2くらいは愛知県内に残るんじゃないかなと。昔とそんなに変わっていないと思います。感覚ですけどね」

全国都道府県の地元進学率は愛知県がトップ

数字が示す愛知県民の“地元志向”

愛知県の高校生の県内進学率は71.2%と他の都道府県を引き離しダントツの1位。(出典:平成30年度都道府県別大学・短大進学状況)

やはり卒業しても地元に残るというパターンは変わっていないようだ。今の若者は、なぜ地元に残るのか?街の人に聞いてみると…。

男性:
「学校数も多いし、やっぱりトヨタとか大企業も多いので愛知県にとどまるのかなと」

女性:
「名古屋に住んでおけば、名古屋で全部できるし、別に出る必要ないかなって」

別の男性:
「ほどほどに都会で、ほどほどに住みやすい場所だからかなと思います」

しかし、“かつての卒業生”たちからはこんな話が…。

中年男性:
「大学進学のときに、『車買ってやるから地元に残れ』って言われましたよ」

別の中年男性:
「高校卒業した時くらいに、周りの友達は車を買ってもらってた。自分が若いころは買ってもらうのは普通でしたね」

さらに別の中年男性:
「買ってもらったね。家が鉄工所やっていて、継ぐということで買ってもらったもんね」

『卒業後も地元に残る』という条件で、親が子供に車を買ってあげるという“東海地方ならでは”の事情。

ところで、今の若者たちも親から車を買ってもらっているのだろうか?

Q.親に車を買ってもらった人はいますか?
若い女性グループ:「いないです」

若い女性2人組:
「家の車を使ってる子が多い」
「自分で買ってる子もいます」

そんな声がある一方で…。

若い男性:
「家にある車で練習した後、ある程度慣れてきたら買ってもらいます」

別の若い男性:
「今大学生で、『卒業したら買ってあげてもいいかな』って話してたんで、せっかくなら買ってもらおうかなって」

さらに別の若い男性:
「大学生の時に免許持った時点で親に買ってもらって、親がトヨタ自動車で働いてるとかいうパターンが多くて、『トヨタの車のお店で、割り引きで買った』とか、『親が』みたいな話はよく聞きます」

と、やはり車を親に買ってもらっている若者もいるようだ。

親良し、子良し、販売店良し

息子に車を買い与えたという脇野さん一家に話を聞いた

そこで、最近親に車を買ってもらったという人に詳しく話を聞いてみた。

4月から子供が大学に進学するという脇野さん一家。息子がつい1週間前に中古の軽自動車を買ってもらったばかり。

父親:
「(値段は)30万円です」

息子:
「乗りやすいです。(Q.初めてのマイカー?)そうです」

高校は、大好きな野球のために県外の強豪校に通って寮生活を送っていたが、大学進学をきっかけに地元・愛知に戻ってくることを決めた。

Q.なぜ車を買ってもらおうと?
息子:
「大学に行くのに車が必要になったので。車で30分ちょっとくらいです」

Q.公共交通機関では…?
息子:

「通えなくはないんですが、ちょっと不便なので」

それに対し、両親は…。

母親:
「大学には、ぜひ実家から通って欲しかったのでよかったです」

父親:「嬉しいですね」

両親も息子が愛知県に戻ってくるということで、ホッとされているようだった。

愛知の県民性と“風習”の最新事情

しかし、なぜ愛知は今も親が車を買ってあげるという風習が残っているのか。県民性を研究している専門家によると、愛知県民独特の性質があるという。

県民性に詳しい矢野新一さん:
愛知県の人が、ほかとちょっと違うのは、ファミリーというのがすごく強いんですよね。家族揃ってご飯を食べに行くとか、結婚した時も、ちょっと土地があったら『ここに住んだら?』みたいな。すごく日本的な考え方をずっと持っている人たち、というのが言い方としてはいいかな」

家族の絆を何よりも大事にするという愛知県民。

平成28年度の国民生活基礎調査によると今も3世代の同居世帯数が全国1位と、ファミリー大好きな県民性が特徴で、お金を出してでも子供と一緒にいたいと願う親と、それにこたえる子供という関係性が残っているようだ。

三世代が同居する世帯数は愛知県が1位

しかし、その風潮にも徐々に変化が…。

今度はカーディーラーで話を聞いてみた。

Q.卒業のタイミングで親が子供に車を買うということはありますか?
ディーラーの担当者:

「だいぶ少なくなってきてます。なんでですかね…。若い子たちが車を必要としなくなってきているというのもありますかね」

別の店でも…。

別の店の担当者:
「最近はすごく減ってきています。子供さんが車に興味がないので、お父さんお母さんが子供を連れてくるというのが増えてきています」

そして、街の若者たちからも…。

若い女性:
「そんなに車にこだわってない。なんでもいい。乗れればいいかな」

若い男性:
「車はいらない、興味ないって人が多いです」

若い女性2人組:
「乗れれば何でもいい」
「車欲しい!みたいな感じではないです」

別の若い男性:
「そもそも、そんなに車に興味がないというか、運転も好きじゃないっていうのもありますし」

親の思いは変わらなくても、子供が車に興味がなくなっているというケースが増えてきているようだ。若者の車離れが原因なのか…。

大学の『都心回帰』も影響か

しかし中京大学の内田教授は、これには別の理由もあると指摘する。

中京大学経済学部 内田俊宏 客員教授:
「例えば大学など、通学に使うケースも減っていると思います。最近の大学というのは、郊外のキャンパスではなくて都心部にキャンパスを設置するケースが増えていますので、そういったことも影響している可能性が高いと思います」

『大学の都心回帰』

これまで愛知県の郊外にキャンパスを持っていた大学が、今、次々と名古屋の中心部へ移転している。

例えば愛知大学は、2012年にみよし市にあった「名古屋キャンパス」を名古屋駅すぐ近くの「ささしまライブ」へ移転。

名古屋駅近くのささしまライブに移転した愛知大学

愛知学院大学も、日進市にあった商学部・経営学部・経済学部の一部を2014年に名古屋市北区の名城公園近くへと移している。

愛知学院大学も一部の学部を都心に移した

内田教授:
「東海地方の地元志向が強いということは、ずっとこれからも続くと思うんですけれども、車を本当に欲しいという若い人たちは減っていく可能性が高いと思います。親御さんが車を買ってあげるから地元に…というのも、あまり効果的に効かなくなってきていると思います」

公共交通機関でのアクセスが便利になることで車が不要になったことも要因だと、今回の調査でわかった。

(東海テレビ)

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