女子W杯初戦でアルゼンチンと対戦するなでしこジャパン。難関グループを勝ち抜くために、幸先良い勝利を

FIFA 女子ワールドカップ フランス 2019特集

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FIFA 女子ワールドカップ フランス 2019特集

11日午前1時キックオフ

フランスで、女子W杯が日本時間の8日に開幕した。

なでしこジャパンは日本時間11日の午前1時に、パリSGの本拠地でもある「パルク・デ・プランス」でグループステージ初戦のアルゼンチン戦を迎える。日本はFIFAランキング7位で、アルゼンチンは37位だ。14日(日本時間の午後10時)には同20位のスコットランド、20日(日本時間の午前4時)には同3位で優勝候補のイングランドと対戦する。

出場国は全24チームで6グループに分かれているが、その中で、日本が属するグループDは難関と言われる組の一つだ。決勝トーナメントには上位2チームと、3位のうち上位4ヶ国が勝ち上がるが、2位以下の場合、決勝T以降は強豪国との対戦が濃厚。アルゼンチン戦で、できるだけ多くのゴールを決め、グループ首位へ幸先の良い勝利で飾りたい。

アルゼンチン戦に向け、非公開練習をおこなって最終調整を行なった

7日の開幕戦では、開催国のフランスが韓国を4-0で破った。フランスは今大会の優勝候補の一角で、日本は4月の欧州遠征で1-3で敗れている。なでしこジャパンの選手たちは、この試合をホテルの部屋で全員が集まって観戦したという。フランス代表に多くの選手を輩出しているリヨンで戦うキャプテンのDF熊谷紗希は、こう振り返る。

「フランス代表は本当に最高の雰囲気の中で最高の結果を出していて、サッカーを楽しんでいるなと思いました。いよいよ開幕だなと実感しました」

日本は現地入りしてから、2日にスペインとの親善試合(△1-1)を戦った。その後の1週間、トレーニングで特に修正に力を入れてきたのが攻撃面だ。相手が高い位置からプレッシャーをかけてくることも想定して、最終ラインからしっかりつないでフィニッシュまで持ち込むビルドアップの形も繰り返し練習した。

8日の練習は完全非公開。ここで戦術面や、セットプレーの確認なども行なったと思われる。

アルゼンチンはどのようなチーム?

日本はアルゼンチンと過去に4試合を戦い、4戦全勝している。最後の対戦は2007年のW杯グループステージ第2戦で、この時は1-0で勝利した。

アルゼンチンは、今年に入って4試合を戦っている。韓国(●0-5)、ニュージーランド(●0-2)、オーストラリア(●0-3)、ウルグアイ(○3-1)と対戦し、結果は1勝3敗だった。男子サッカーでは超強豪国だが、女子サッカーではこれから発展する可能性がある国の一つだ。だが、国を挙げて強化の機運が高まっており、侮れない相手であることは間違いない。

FIFAが定める男女平等のルールに沿った世界的な女子リーグの強化が進む中で、アルゼンチンサッカー協会は、来月から女子リーグのプロ化を決定している。日本も国内リーグのプロ化を掲げているものの、先を越された形だ。今回の代表チームは、国内でプレーする選手が13名、スペインリーグでプレーする選手が8名、フランスリーグでプレーする選手が1名。国内リーグのウルキサでプレーする選手が最多の6名を占める。

日本は平均年齢が約23.9歳(メンバー選出時)で、出場国中2番目に若い。一方、アルゼンチンは17歳から37歳まで幅広い年齢層で構成され、平均年齢は約26.7歳。全体的に体格ががっしりしている選手が多く、南米らしいテクニックがある。

キープレーヤーは欧州王者のオリンピック・リヨン(フランス)で今シーズンからプレーしているFWソレ・ハイメスだ。180cm65kgと大きく、アルゼンチンの攻撃の軸となる。
チームメートでもある熊谷は、ハイメスの特徴をこう語っている。

「彼女は敵を背負ってボールを受けて、ゴリゴリ(ドリブルで)いくタイプです。映像を見る限り、ワントップで彼女を的にして攻めてくるので、球際の1対1の局面で負けないことや、自分たちがボールを持っている時間帯が大切だと思います」(熊谷)

日本の前線で攻撃の起点になるFW菅澤優衣香は、「(アルゼンチンの映像を見て)、自分たちFWが裏のスペースを狙いやすい部分があると思うので、うまく突いていきたいです」(菅澤)と、狙いを話した。

また、サイドバックで日本の守備を支えるDF鮫島彩は、試合の入り方の難しさを強調した。

「『自分たちがボールを持てる』という感覚で入らないようにしたいです。だからと言って、硬くなりすぎる必要もありません。試合の入り方は本当に難しいと思いますが、受け身に回らないように戦いたいです」(鮫島彩)

重要な試合の流れを引き寄せる先制ゴールを、早い段階で決めておきたい。

グループステージを勝ち上がるために初戦は非常に重要だ

新たなルール導入も

今大会ではいくつかのルール変更がある。

まず、VAR(Video Assistant Referee)の導入だ。誤審をなくすために導入され、男子サッカーでは広く普及している。

開幕戦のフランスと韓国の試合では、フランスの2点目がVARによって取り消された。判定が出るまでに少し時間がかかったため、フランスの選手たちの表情にも困惑が見られた。予想外の判定で気持ちの切り替えが遅れれば、ゴールを取り消されたチームが試合の流れを失ったり、集中力が切れた瞬間に失点する可能性がある。その点も含めて気をつけたい。

また、GKのゴールキック時にペナルティエリア内でフィールドプレーヤーがパスを受けることが可能になった。GK3名が足下の技術に長け、ビルドアップを得意とする日本にとっては有利に働きそうだが、守備の対応も変わるだろう。

大橋昭好GKコーチは、このルール変更についてこうコメントしている。

「ゴールキックの時に相手を引きつけて1人かわせれば、相手3人、4人を置き去りにできます。W杯ですから、リスクを負わずに蹴らなければいけない場面も当然ありますが、そればかりやっていたら進歩はありません。GKからつなぐのか、リスクを冒さずにクリアするかを選手たちでうまく判断してほしいですね」(大橋GKコーチ)

チーム発足からの3年間で、日本は様々なスタイルのチームと対戦してきた。高倉麻子監督は、各国の代表監督との広い交友関係をもち、W杯や五輪で当たる可能性がある南米や欧州の強豪国とのマッチメイクを実現してきた。

親善試合では選手の組み合わせやポジションを固定せず、強豪国に対して時に予想できないポジション変更などのチャレンジもしながら、選手たちの成長を促してきた。その中で掴み取ってきたものが、このチームの財産でもある。

23名中17名がW杯初出場と、経験の少ない選手が多いが、年代別代表のW杯で世界一になった選手が多く、メンタルの強さや伸びしろの大きさも感じる。

重要な初戦で、このチームが何を掴むのか、見逃さないようにしたい。


(文・写真:松原渓)

『FIFA 女子ワールドカップ フランス 2019』
日本戦をフジテレビ系にて全試合生中継
<放送日時>
グループステージ
6月10日(月)深夜0時25分 日本×アルゼンチン
6月14日(金)21時49分 日本×スコットランド
6月19日(水)深夜3時50分 日本×イングランド
(※すべて延長の場合あり)

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