2018年に成立した働き方改革関連法が4月1日から順次施行され、約2ヵ月が経過した。
就業時間や環境など、働き方が変わってきている中、ワンポイントアイデアで業績や社員のやる気をアップさせた企業がある。

それは、ペットを連れて出社し、オフィスで仕事をする新しいワークスタイル「ペット同伴出勤」だ。

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ネット通販大手アマゾンの本社では、犬が遊べるドッグパークを整備するなど、海外ではすでに浸透している制度で、日本にもその波が押し寄せているのだ。

しかし、社員の中には動物が苦手な人もいるだろう。なのに、なぜペット同伴出勤が増加しているのか?
制度を導入する企業を取材し、働き方改革の最前線を調査した。

ペットとタクシーで出社OK!

最初に向かったのは、チョコレート製品やペット用品を販売する株式会社マースジャパンリミテッド。

会社前で出勤の様子を張り込んでいると、目の前に1台のタクシーが現れ、大きな荷物を持った女性が降りてきた。

横山ルリカ リポーター:
すみません。あっ!ワンワンワンワン言ってますけど…毎朝タクシーで来てるんですか?

石井雅真さん:
月に2回だけ。会社の方が負担してくれるので。

自宅からペットを連れてくる際、満員電車を避ける為の移動手段としてタクシーを利用していて、運賃は月2回まで会社が負担してくれるのだという。

また、オフィス内では基本的にリードさえ付けておけば自由に行動できる。

横山ルリカ リポーター:
わんこがオフィスの中をお散歩してますよ.でも皆さん、平然とお仕事されていますね。もう日常といった感じです。

石井雅真さん:
アレルギーがある方もいるので、そういう方がいたら配慮して、周りを避けたりして歩いたりしています。

会議室に会社の飼い猫が乱入!?

さらに、この会社では社内にキャットルームを設置し、日本猫のきなこ(オス・推定4歳)とちょび(オス・推定3歳)を飼っている。

2匹の猫が生活する専用の部屋には運動ができるキャットウォークまで整備され、隣の会議室と繋がっている仕組みだ。

会議の様子をこっそり撮影してみると…早速、にゃんこたちに動きが!
通路を渡って仲良く会議室に乱入し、テーブルの上にやってきた2匹に社員たちはおやつを与えていた。

しかし、これでは会議が進まず仕事にならないのでは?会議参加者たちに話を聞いた。

武田裕子さん:
会議は中断しちゃいますが、話もそれで気分転換になるのでいい。

中村由帆さん:
難しい会議も柔らかくなりますし、楽しい会社の生活ができるというのは、一ついいことかなと。動物を介しての癒やしが得られるというところは、大きいかなと思います。

「ペットは家族」ペット向けの福利厚生も充実

続いて紹介するのは、恋愛アプリ「ペアーズ」を運営する株式会社エウレカ。

午前9時、オフィスビルが多く建つ東京・港区では通勤ラッシュ中だが、 大きな犬2匹を連れて歩く女性がいた。

スタッフ:
今って、お散歩中ですか?

西山絵夢さん:
今から仕事に行くところです。会社に行くとは誰も思っていないですね。
(自宅から)歩いて45分ぐらいです。結構いい散歩になるので、ちょうどいいかなと。

この会社では、3年前からペット同伴出勤を開始した。オフィスがあるビルには他の企業も入っているため、4階までは業務用のエレベーターで移動する。

オフィスに飼い主で社員の西山さんとやってきたのは、バーニーズ・マウンテン・ドッグのステラ(メス)とラブラドール・レトリーバーのシン(オス)だ。

西山絵夢さん:
結構、会社が好きみたいで来ると家と違う楽しみがあるみたいですね。

卓球台やソファーが置かれたリラックスできるオシャレな空間が、ペットたちのお部屋となっている。

アレルギーがある人や動物が苦手な人のことを考慮し、透明のガラスで区切られているが、この部屋内で仕事をすることも可能で、もちろん自由にわんこと触れ合える。

社員:
ちょっとした息抜きとか、動物に触れることでリラックスできるのかなと思っています。

広報担当者に制度を導入したきっかけを聞いた。

広報担当・下村友香さん:
コミュニケーションがやっぱり活性化するんですよね。普段、接することのない他部署の人たちと、犬を通して会話が生まれたり。

さらに、この会社にはペット向けの福利厚生制度がある。

広報担当・下村友香さん:
ペットが病気の時は、病院に連れて行けるように半休を年に3回取れたり、ペットに不幸があった時には、2日間の休みが取れます。

ペットのことを家族同然として考える雰囲気が職場に広まるような制度になっているのだ。

ちなみに、都内で100人に「ペット同伴出勤はありかなしか?」とアンケートを行ったところ、7割以上が「あり」と回答している。

「猫のごはんも会社支給」で人材確保に効果

ペット同伴出勤制度を採用する3つ目の会社は、システム開発会社 ファーレイ。
社員の田代志乃さんは、猫のすばる(オス・4歳1ヵ月)を飼い始めて約4年になるが、ほぼ毎日、一緒に出勤しているという。

田代志乃さん:
家に一人で置いておくと不安というのが一番大きいですね。

自宅から電車と徒歩で約30分。到着したオフィスに入ると、猫がデスクの上に座っていた。

こちらの会社では、田代さんを含め3人の社員が ペット同伴出勤制度を利用している。
デスクの上に1匹と思いきや、パソコンの隙間にもう1匹の猫がいた。

多い時で6匹の猫が社内を自由に動いているといい、仕事中の様子を見てみると、パソコンで作業をする前を猫が横切ったり、床からデスクの上に飛び乗ったりしていた。

あちこちに猫がいるこの会社には、飼い主にとっても嬉しい制度があるという。

代表取締役・福田英伸さん:
会社にいる間の猫のご飯は、全部会社持ちで出しています。 会社の定時が7時なんですけども、猫にご飯をあげて1日の業務終了という形ですね。

さらに、猫同伴OKをアピールした結果、うれしい効果もあったという。

代表取締役・福田英伸さん:
優秀な学生さんの応募が増えたと思います。入社してからの意気込みというかそういうものも格段に変わった気がします。猫さまさまですね。

人材不足が叫ばれる今、ペット同伴OKというアイデアで優秀な人材を確保していた。

働き方の変化に伴い、社員だけでなくペットにも優しい職場づくりが増えてきている。

(「めざましテレビ」『ココ調』6月7日放送分より)

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