身内が“引きこもり”に…その時、家族はどうすべきか?専門家に聞いてみた…

カテゴリ:国内

  • 身内が“引きこもり”状態で、困っている人は世の中にたくさんいる。
  • 20年以上“引きこもり”に関する取材を続けているジャーナリストに聞いてみた。
  • もし身内が“引きこもり”になった時…家族がしてはいけない4つのNG行為がある

誰もが当事者になる可能性…広がる「引きこもり」問題

1日、東京・練馬区の自宅で44歳の長男を殺害したとして逮捕された、熊沢英昭容疑者(76)。
熊沢容疑者はかつて農林水産省で事務次官を務めたエリート官僚だったこともあり、この事件は世間に衝撃を与えた。

熊沢容疑者は、犯行の動機について「長男の家庭内暴力があり身の危険を感じた」と話している。
さらに聴取に対し「川崎市で小学校児童など20人が死傷した事件が頭に浮かんだ」「自分の息子が第三者に危害を加えるかもしれないと思った」とも供述しているという。

先週金曜日には、福岡市でこのような事件も起きた。

引きこもり状態だった男が母親とみられる女性と口論になると、男は女性を金づちのようなもので殴り、さらに妹とみられる女性を刺したあと、自殺を図り死亡したとみられている。

相次ぐ、“引きこもり”に関わる事件。
「直撃LIVEグッディ!」は、引きこもりの社会復帰を手助けする活動をしている平野敦子さんにお話を聞いた。

平野敦子さん:
事件の翌日くらいから、無言電話みたいな形ではあるんですけど、番号表示をしてかけてきていて(引きこもりの方の)SOSなのかなと。当事者の人が気持ちを揺さぶられる部分というのがあの事件であって、SOSを投げかけているのかなと。


引きこもりの当事者と思われる人たちから、番号表示をした上での無言電話が多くかかってくるようになったという。

この「声なきSOS」をどう救っていけばいいのだろうか?
20年以上にわたり引きこもり問題を取材しているジャーナリストの池上正樹さんにお話を聞いた。

池上正樹氏:
引きこもりの方は、自分たちが責められる、説教されるんじゃないかと思い、なかなか勇気を出して助けを求められません。無言電話があるという話がありましたが、私のところには無言のメールが来るんです。題名だけ書いてあって、要件が書いていないものとか。

広瀬修一フィールドキャスター:
グッディ!は、職場のパワハラなどがきっかけで息子が引きこもりになったというご家族のケースを取材しました。そうした心身の疲れなどがきっかけになると考えると、引きこもりというのは今後、誰しもが当事者として、家族として直面する可能性があると思います。

家族が「してはいけない」対応

誰もが直面する可能性のある“引きこもり問題”。
直面した場合に、家族はどのように対応するべきなのだろうか?池上氏によると、4つの「NG対応」があるという。

<家族がしてはいけない4つのNG対応>池上氏によると…

(1)引きこもりという自覚のない人に「引きこもり」と言う
(2)自覚のある人に引きこもっていることを悪く言う
(3)「働け」と言う
(4)成果を求める
→価値観の強要はしてはいけない。


(1)引きこもりという自覚のない人に「引きこもり」と言う
背景や理由はそれぞれだが、引きこもり状態になった人の多くが「自分は引きこもりとは違う」と思っているという。
そう思っている人に対し「引きこもりだ」と言ってしまうのは反発を買うことになり、「分かってくれない」と思われてしまう。

(2)自覚のある人に引きこもっていることを悪く言う
「自分がいま一生懸命生きている」ということを否定されたと思われ、良くない対応。

(3)「働け」と言う
就労して嫌な目に遭って引きこもらざるを得なかった人も多いため、「働け」と言って就労の現場に戻そうとするのは発火点になりやすい。

(4)成果を求める
「就労がゴール」「外に出すのがゴール」など、支援する側の都合の成果を安易に求めてはいけない。


倉田大誠アナウンサー:
特にこれは、友達でも同僚でも上司でもなく、家族だからこそ言われたくない言葉なのかもしれませんね。

安藤優子:
人と比較されて自分を否定されるのが、一番良くないことなんじゃないかって、お話を伺って思いました。

「家族が変わる」ための環境

広瀬:
それでは、家族はどうするべきなのか?当事者が変わるのではなく、まず家族が変われ、というのが池上さんの考え方です。

広瀬:
引きこもりの当事者を持つ家族の方が参加し、悩みを共有する「家族会」というものがあります。状況を外に吐露することで、悩みを共有でき「自分だけじゃないんだ」という安心感が生まれます。そうすると、家族が変わってくる。引きこもりの当事者への価値観の強要が減り、当事者と家族の関係が改善に向かっていくそうですよ。

安藤:
池上さん、実際にこのように上手くいくものなんですか?

池上氏:
家族だけで悩みを抱えて、ストレスを抱えてしまうと行き詰まってしまいます。同じ経験をしている人に相談すると理解してもらえるし、自分ひとりだけじゃないんだと励まされます。
さらに、家族会に行くといろんな情報が入ってくるんです。そうすると選択肢ができて、それぞれ自分はどういう風に向き合っていこうか選ぶことができる。「家族会」は参加するだけでも微妙な変化があるようで、当事者側から見ると「うちの親が変わった」という話をよく聞きます。その微妙な変化が、大きな変化の第一歩になると思います。


また、家族だけではなく、“引きこもり”を見る世間一般の目も注意しなければいけない。
引きこもり支援団体の「ひきこもりUX会議」は次のような声明文を出している。

<川崎殺傷事件の報道について(声明文)一部抜粋>

・ひきこもっていたことと殺傷事件を起こしたことを憶測や先入観で関連付ける報道がなされていることに強い危惧を感じています。

・「ひきこもり」かどうかによらず、周囲の無理解や孤立のうちに長く置かれ、絶望を深めてしまうと、ひとは極端な行動に出てしまうことがあります。事件の背景が丁寧に検証され、支え合う社会に向かう契機となることが、痛ましい事件の再発防止と考えます。


(「直撃LIVE グッディ!」6月3日放送分より)

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