自動運転の車両が逆走

6月1日夜、横浜市を走る新交通システム「シーサイドライン」の車両が突然「逆走」し、車止めに激突、乗客14人が重軽傷を負った。

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事故を起こした「シーサイドライン」は運転士が乗車しない、コンピューター制御による「自動運転」の交通機関だ。新杉田駅から金沢八景駅までの10.6キロを結び、1日およそ5万2000人が利用している。

しかし、6月2日は始発から運転を見合わせ、急きょバスを手配して、代行輸送が行われた。

開業から30年、これまで大きな事故はなかったというが、なぜ「逆走」は起きたのか。

6月1日午後8時15分に『シーサイドライン』は、始発駅の新杉田駅から出発する予定だった。

しかし、運営会社によると、ドアが閉まった直後、前方に進むはずの車両がなぜか逆走し、およそ25メートル先の車止めに衝突した。

「200トンの力が車止めにかかった」

6月2日、車両基地へと運ばれる逆走したシーサイドラインの車両の一部をみると、連結部分が損傷していた。

車両衝突の瞬間の衝撃について、専門家は。
鉄道ジャーナリスト梅原淳氏:
シーサイドラインは5両編成でおそらく車両は100トンくらいの重量があり、それに加速がついて200トンくらいの力が車止めにかかったのではないか思います。乗客の立っている人も宙に浮いて天井にぶつかるくらいの力だったと思います。

こうした『自動運転』の新交通システムは、東京都の臨海副都心を走る「ゆりかもめ」や
神戸市を走る「ポートライナー」など全国で導入されている。

2019年1月には、JR東日本も、終電後の山手線を利用して、『自動運転』の試験走行を実施した。将来、無人運転を実現させたいとしている。

自動運転の仕組みとは

一方、1993年には大きな事故もあった。大阪市で運行していた新交通システム「ニュートラム」が「暴走」。 装置の故障が原因で、ブレーキに減速の指示が伝わらず、車止めに衝突し、200人以上が負傷した。

そもそも自動運転は、どのように行われているのか。

運営会社によると、「シーサイドライン」では、各駅にある『機器室』と『車両』の間で『信号』のやり取りを行っている。

事故が起きた新杉田駅に到着すると、本来は折り返し運転をする。
その際、まずは駅の無人の機器室から車両に対し、『進行方向を切り替えなさい』と信号を送信し、その後、信号を受け取った車両は、機器室に『進行方向を切り替えました』と信号を送り返す。
機器室から『出発しなさい』と車両に信号を送ると、金沢八景駅方面へと出発するというしくみだ。

しかし今回は、なぜか『逆走』してしまった。

6月2日の14時に行われたシーサイドライン運営会社の会見では

社員:
機器室から「出発していいよ」という信号も出して、それを車両が「受信しました」っていうところまで確認してます。


当時、駅側からは出発に関する正確な信号が出ていたものの、車両側が、その信号を正確に受け取ったことが確認できていないとして、車両側のシステムに、何らかの不具合があった可能性が出てきている。

運輸安全委員会の鉄道事故調査官は、今後、重要な装置が集まる車両の床下を調べるとしているが、調査には1年近くかかるとの見方を示している。

(「めざましテレビ」6月3日放送分より)