トランプ大統領と拉致被害者家族が2度目の面会

令和になって初の国賓として来日したトランプ米大統領。
2017年11月の前回の来日に続いて、拉致被害者家族と2回目となる面会の場が設けられた。

トランプ大統領と拉致被害者家族が面会(5月27日)
トランプ大統領と拉致被害者家族が面会(5月27日)
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「みなさんの娘、息子、家族を連れ戻せるよう一緒に協力する。この問題に一緒に取り組んでいく。」
トランプ大統領は拉致問題解決に向けて協力する考えを強調した。

面会後の記者会見で家族からは「期待が持てた」「勇気を与えられた」などの前向きな声があがった。

これに先立ち行われた日米首脳会談でも、拉致問題解決に向けた日朝首脳会談の実現についてトランプ大統領は、安倍首相を全面的に支持しあらゆる支援を惜しまないとの姿勢を示している。

日米首脳会談でも拉致問題解決に向け前向きな姿勢(5月27日)
日米首脳会談でも拉致問題解決に向け前向きな姿勢(5月27日)

拉致被害者の蓮池薫さんに独占インタビュー

こうした動きについて拉致被害者の蓮池薫さん(新潟産業大学准教授)に話を伺った。

蓮池薫さん:
無条件で(金正恩委員長と)会うという安倍首相の方針を全面的に支持し、拉致問題についても家族に会って今後力を合わせていくという事は、それなりの意味があると思う。
米朝間で非核化の話が進んだとしても、この問題はアメリカが言ったからと言って、そう簡単に“じゃあ拉致問題をこのぐらいでやめときます”みたいにはならない。
そういう姿勢、北の認識を変える一つの契機になった。
日本としっかり向きあわなければならないとなっていると思う。
一連の拉致関係の合意や家族との面会等は、改めてそういう良い作用がうまれるといいな、と期待を込めて見ていた。

蓮池さんは日朝首脳会談の開催に向けて「日本が北朝鮮に対して有利な立場で臨めるという意味ではプラスになった」と語った。

インタビューに答える蓮池薫さん(5月28日)
インタビューに答える蓮池薫さん(5月28日)
20年以上の時を経て日本に帰国(2002年10月)
20年以上の時を経て日本に帰国(2002年10月)

「拉致問題だけ話しても解決はできない」

蓮池さんは、日米首脳会談の意義を評価するとともに、安倍首相が無条件で行うとする日朝首脳会談では、交渉の進め方の重要性を指摘した。

蓮池薫さん:
もともと拉致問題だけ話しても解決はできない。
過去の清算、核・ミサイルの問題はすべて拉致問題と連携していて、拉致問題だけ取り出して解決すると言っても、動かないのは明らかだ。
そういう問題すべてをテーブルにあげて、大きな流れの中で拉致問題の解決を目指すべきだ。

さらに蓮池さんは、北朝鮮が拉致問題の解決に向けて乗り出す決断をさせる為には、北朝鮮側にとっての“プラスの要素”を用意する必要があると指摘した。

ー米朝会談の明確な落としどころを示すこと
ー日本が過去の清算など、問題解決後の具体的なビジョンを示すこと
ー拉致被害者を返した時に北朝鮮側が受けるダメージを、外交的にカバーする配慮を行うこと

2回目の米朝首脳会談は“決裂”(2019年2月)
2回目の米朝首脳会談は“決裂”(2019年2月)

最後に蓮池氏は米朝協議が膠着しているとした上で、日朝首脳会談の実現時期について次のように語った。

「北にいる拉致被害者は“期待感と不安”」

横田めぐみさん
横田めぐみさん

蓮池薫さん:
(次の米朝首脳会談の開催は)今年はかなり厳しいのかなと思う。
逆に“日朝”の首脳会談という話が秋あたりには出てくる可能性はあるのかなと勝手に推測している。
そう思います・・・あってほしい。 

北朝鮮にいる拉致被害者が、米朝首脳会談など一連の情勢を知りうる立場にあるかについて、蓮池さんは「動き始めたのかなという期待感はあると思う」とする一方で、「先が読めないという不安のほうが大きいと思う」と話す。

不安を抱えながら長年祖国に帰ることができない被害者たちと待ち続ける家族。

拉致被害者家族の高齢化が深刻となる中、蓮池さんは「のんびりやれる話じゃない」としながらも「短期間であわててやって失敗するよりは確実に返してもらうぜひそういう風にしてもらいたい」と語った。

(執筆:フジテレビ社会部 拉致問題担当 滝澤教子)

滝澤教子
滝澤教子

フジテレビ社会部 国土交通省担当 元厚生労働省担当