川崎市登戸で28日に起きた児童ら19人が殺傷された事件。容疑者が自ら首を切り死亡したことで、捜査も難航している。

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フジテレビ社会部の平松秀敏デスクは、「最初から自殺まで計画にいれてたんじゃないかなという気がする」と話す。

容疑者死亡で今後の捜査は?

それでは、警察はどんな捜査をするのか?

フジテレビ社会部 平松秀敏デスク:
今回の事件についても、全容を明らかにして、その捜査資料を検察に送らなければいけない。

5月29日に行われた容疑者宅の家宅捜索をはじめ、容疑者が死亡しても警察は動機解明など何が起きたのかを捜査する。

通常の刑事事件では、警察の捜査後に、容疑者が検察に送られ、検察が起訴すると裁判となる。

しかし、容疑者死亡の場合、捜査書類は検察に送られるものの、本人死亡で裁判が成立しないことから不起訴となる。

こうした事件は過去にもある。
2007年、長崎県佐世保市で男が散弾銃を乱射し8人が死傷した事件では、容疑者がその後自殺した。
2015年、東海道新幹線内で火をつけた男が50代の女性を巻き込んで焼死した。
いずれの事件も、容疑者死亡で不起訴となっている。

フジテレビ社会部 平松秀敏デスク:
刑事上の罪を負わせることはまずできないということになるし、不起訴によって事件の捜査は終わるという事になる。

残された遺族の想いとは

その場合、被害者の遺族はどんな思いを抱えるのか?
長年、殺人事件の被害者を支援し続けている弁護士が語る。

犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務局長 髙橋正人弁護士:
「国家がきちんと処罰してくれ」と。でもその機会すら奪われてしまった。
そうすると、自分の気持ちをどこに持っていけばいいのか、わからなくなってしまう。さまよってしまうことになると思う。

刑事罰が与えられないという憤りに加え、民事訴訟での賠償請求も難しいケースが多いという。

では、訴訟大国のアメリカではどうなのか。
1999年4月、コロラド州のコロンバイン高校で起きた13人が死亡した銃乱射事件では、自殺した容疑者が未成年だったことから、その親が日本円で約1億7000万円を支払うことで示談が成立した。
さらに、犯人2人に銃を譲った2人は、実刑判決を受け約1億円の賠償を負うことになった。

また、2012年12月、コネティカット州のサンディフック小学校で起きた小学生20人を殺害した銃乱射事件では、自殺した犯人が20歳と成人していたが、親の銃を凶器にしていたため、管理不足を問われ、親の賠償額は約1億6000万円に達した。

罪は誰が償うのか

しかし、遺族が一番望んでいるのは、永久に知ることができなくなってしまった犯行動機などの真相解明だという。

犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務局長 髙橋正人弁護士:
犯人がまだ存命していればね、裁判も行われるでしょうし、何でうちの娘なんだと、問いただすことができたと思う。
(Q:それでは誰が罪を償うのか?)
償えないですね、誰も。だから問題なんです

(「めざましテレビ」5月30日放送分より)