「運転中の車内の空調は『内気循環』『外気導入』のどっちがいいの?」

ドライバーの皆さんはこんな疑問を持ったことはないだろうか。
最近では、花粉や排ガスの車内への流入を嫌い、「内気循環」で設定する人も多いかものしれない。

こうした中、JAF(日本自動車連盟)が内気循環と外気導入による車内環境の違いを検証して結果を発表した。

車内のCO2濃度は、内気循環では最大で6,770ppm

実験は今年の4月3日に実施。エアコンフィルターを新品に交換した同じ車種の車2台に、それぞれ空調を「内気循環」と「外気導入」に設定して4人が乗車し、高速道路と郊外・山道、市街地の3カ所を各1時間ほど走行したという。テスト中は窓を閉め切り、二酸化炭素(CO2)や酸素濃度(O2)など車内の空気の質と花粉の量を測定した。

CO2やCO、粉じん、温度、湿度、気流が測定できる計測器をそれぞれの車に設置
CO2やCO、粉じん、温度、湿度、気流が測定できる計測器をそれぞれの車に設置
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結果は、外気導入に設定した車内のCO2濃度は常に1,000ppm前後を保ったが、内気循環の車内では最大で6,770ppm(市街地)となった。 また、O2の濃度は内気循環の方が最大1%近く低下した。

走行環境別で見ると、高速道路では内気循環で走行した車の二酸化炭素濃度が最大で4,520ppmという結果に。一方で外気導入の設定で走行した車では、トンネル内を走行する際には排ガスの影響もあり一時的にCO2やCOの数値が高くなることもあったという。

高速道路を走行した際の二酸化炭素と酸素の濃度の推移
高速道路を走行した際の二酸化炭素と酸素の濃度の推移

さらに、郊外・山道では、内気循環で走行した車のCO2の濃度が最大で4,730ppm、市街地では最大6,770ppmとなった。

郊外・山道を走行した際の二酸化炭素と酸素の濃度の推移
郊外・山道を走行した際の二酸化炭素と酸素の濃度の推移
市街地を走行した際の二酸化炭素と酸素の濃度の推移
市街地を走行した際の二酸化炭素と酸素の濃度の推移

運転中はできるだけ外気導入か、最低でも1時間に1回は換気

この結果を踏まえ、東北大学大学院医工学教授の永富良一氏は「いくつかの研究報告によるとCO2の濃度が3,000ppmを超えると、疲労感の増加や注意力の低下、さらに、眠気や頭痛を訴える人が増加します。短時間では問題がないという結果もあるので一概には言えませんが、CO2が増えるほど影響が大きくなるのは明らかなので、運転中はできるだけ外気導入にするか、最低でも1時間に1回は換気するといいでしょう。」とコメントしている。

なおJAF は、交通環境や天気など状況に応じた内気循環と外気導入の切り替えを勧め、具体的にはトンネル内の走行や前方を走行する車の排ガスが気になるときは内気循環に切り替えると良いとした。

また花粉については、確認することができたがわずかな量だったとして、外気導入でも花粉の心配はあまりする必要がないとのことだった。

空調を「内気循環」と「外気導入」に設定した同じ車種で実験
空調を「内気循環」と「外気導入」に設定した同じ車種で実験

ちなみに今回は車内環境についての検証のみ。
「燃費の良さ」や「空調の効率の良さ」の観点で内気循環、外気導入のどちらが良いか聞いてみたが、「今回の実験は初めて行なったものであり、過去にこのような実験を行ったことがございませんのでお話いたしかねます。また、自動車の空調については車種や作られた年代によって異なりますので、JAFとして一概にお答えいたしかねます」とのことだった。

この観点もドライバーの関心は高いはず。是非、今度はこちらの検証もしていただきたい。

(画像提供:JAF)

プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。