拉致問題は“全面支援”。その引き換えに“貿易問題”を… 双方の思惑は

カテゴリ:ワールド

  • ゴルフ、大相撲、居酒屋の異例“おもてなし”も…貿易問題で日米の認識に違い
  • トランプ氏は「拉致問題100%支持」の引き換えに、貿易は「8月に良い発表」を
  • 自民党内は「8月発言」にかなりざわつく

予定を大幅に上回る2 時間以上の会談

焦点の貿易問題で、日米で認識の違いが浮かび上がってきた。

日米首脳会談

27日午前11時過ぎに始まった安倍総理大臣とトランプ大統領による通算11回目の日米首脳会談。
北朝鮮問題や貿易交渉などテーマは多岐にわたり、会談は予定を大幅に上回る2 時間以上に及んだ。  
終了後の共同会見で安倍総理は拉致問題について、トランプ大統領から協力を取り付けたとして、改めて解決へ向けた意欲を示した。 

安倍首相:
条件を付けずに、金正恩委員長と会って、率直に虚心坦懐に話をしたいと考えています。トランプ大統領からもこうした私の決意に対し、全面的に支持する、あらゆる支援を惜しまないとの力強い支持をいただきました 

トランプ大統領:
アメリカ合衆国は拉致問題にも取り組んでいくことを約束する。これは安倍首相にとって最優先事項であることを理解しています

会談後には拉致被害者の家族とも面会した。 

拉致被害者の家族と面会したトランプ大統領

8月によい発表を… 

一方、懸案となっている日米の貿易交渉について、日米双方は早期の妥結へ向け、協議を加速させる方針で一致したが、トランプ 大統領は会談の冒頭、こんな気になる発言をしていた。 

トランプ大統領:
貿易に関しては、おそらく8 月に両国にとって大変良い発表ができると思う 

「 8月に良い発表を」というトランプ大統領のこの発言について、ワシントン支局の藤田記者は、「今回の訪問はトランプ大統領にとっては大サービスを提供した。拉致問題や安倍総理にとって最重要課題について100%支持するという意思表示をした。その引き換えとして自分の大統領選にプラスになる貿易で譲歩してほしいと。8月までに何か結果を出したいというトランプ大統領の意思表示だと思います」  と話す。  

一方、ゴルフ…大相撲…そして居酒屋と異例の“おもてなしをしてきた安倍総理。 
実は日本政府は今回のトランプ大統領の“8月発言”について、首脳間で一致したものではないと否定している。 

政治部・鹿嶋豪心記者
“8月発言”は自民党内でもかなりざわついていて、夕方にあった自民党の役員会の時に安倍総理は、8月と言うけど、そんな簡単な話ではないと出席者に説明しました。あとは8月に合意をするというのではなくて、8月に協議を始めるという意味だと総理が出席者に説明したという話もありますので、実際にいつ合意するのかという、具体的な日時はまだまだこれから水面下の攻防が日米間で続いていくと思われます

親密ぶりをアピールした両首脳だが、双方の思惑にはいまだ隔たりがあるようだ。 

貿易問題では日米の温度差が浮き彫りに

津田塾大学・萱野 稔人教授:
今回の訪日の一番の成果は何なのかといえば、日米関係の強固さを世界に示したこと。国際情勢が変わる中で、それだけ緊密さが日米間にはあるということ

三田友梨佳キャスター:
一方で、焦点の貿易問題では日米の温度差が浮き彫りになったが?

萱野 稔人教授:
“8月発言”については、安倍総理は記者会見で質問されたが全く言及しなかった。
さらに、TPPに関しても安倍総理は農産物の市場開放について、過去の経済連携が上限になるだろうと指摘したにもかかわらず、トランプ大統領はアメリカはTPPに縛られることはないと言及していてこの隔たりは今後埋めていく必要がある

三田友梨佳キャスター:
どうやってこの齟齬を埋めていけばいい? 

萱野 稔人教授:
それについては、『日本には賢いビジネスマンがそろっており大変巧妙な交渉で米国を窮地に追い込んできた 』という発言に注目した。
これはトランプ大統領が日本の交渉内容について一定の利があると認めた発言だと思う。
実際に日本はこれまでもかなり関税を下げているので、今後アメリカが日本とどう交渉していくのか、トランプ大統領自身も考えあぐねているところ。
日本としては強固な信頼関係を築けているから、じっくりと日本の立場を理解してもらう交渉を続けることが最善の対応だと思う。

(「Live News α」5月27  日放送分)

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