トリアージとは?
28日朝、神奈川・川崎市登戸の登戸第一公園付近で発生した殺傷事件。
スクールバスを待っていた児童らが男に切りつけられ、合わせて17人がけがをし、2人が死亡した。刺した男も自らの首を切り死亡した。
死傷者が多数出た現場では、救急隊員らの懸命な救護活動に加え、「トリアージ」と呼ばれる行動も行われた。
東京都福祉保健局によると、トリアージとは「災害発生時などに多数の傷病者が発生した場合に、傷病の緊急度や重症度に応じて治療優先度を決めること」を指す。フランスの戦場で始まり、現在は災害時などの医療にも用いられているという。
かみ砕いて表現すると、傷病者を容態や緊急性などで分類することで、救える命を可能な限り救おうというものだ。
それでは、その分類はどう判断されるのだろうか。
傷病者の状態を色別で判断
大規模災害などが起こり、多数の傷病者が出ると、医療関係者の判断によってトリアージが行われる。傷病者は歩行や自発呼吸の可否などによって第1順位~第4順位の4段階に分類され、色で治療の優先度が判断される。
第1順位は生命の危険がある「最優先治療群」で赤色、第2順位は多少治療の時間が遅れても、生命の危険がない「待機的治療群」で黄色、第3順位は軽傷で専門医の治療をほぼ必要としない「保留群」で緑色、第4順位は気道を確保しても呼吸がない「無呼吸群」と蘇生の可能性がない「死亡群」で黒色といった具合だ。
・第1順位 最優先治療群(赤色)
・第2順位 待機的治療群(黄色)
・第3順位 保留群(緑色)
・第4順位 無呼吸群、死亡群(黒色)
災害などで多数の傷病者が発生した場合、優先して治療されるのは第1順位となる。
災害現場では、最初に現場救護所へ搬出される。
救える命を守るための判断であり、第4順位と判断された人は残念ながら優先度が低くなる。
容態や安否情報は「トリアージ・タッグ」で確認
傷病者の容態や安否情報は、「トリアージ・タッグ」という識別票に記載され、その情報を元に医療機関への搬送順序も決まる。治療の優先度同様、第1順位は優先され、応急処置後、主に「災害拠点病院」に搬送される。医療機関ではトリアージ・タッグがカルテ代わりになることもある。
また、トリアージ・タッグの下についている4段階の色を切り取って傷病者の体につけ、優先度を判別しやすくするという。
東京都では、トリアージの概要や実施方法などをまとめた「トリアージハンドブック」を制作している。医療関係者に配布されているほか、東京都福祉保健局のウェブサイトでも閲覧できるので、興味がある方は見てみるのも良いだろう。
東京都福祉保健局の担当者は「トリアージは基本的に、医療関係者でなければできません。一般の方が災害などに遭遇した場合、まずは自身の安全確保を第一に考え、余力があれば救助活動などに参加していただければと思います」と話している。