“エイズ孤児”兄妹の2人きりの生活。その孤独さと苦悩の日々

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カテゴリ:ワールド

  • ウガンダ共和国で社会問題となっている『エイズ孤児』
  • 両親を亡くし2人きりで暮らす15歳兄と12歳妹の貧困生活
  • 2人とも母子感染によるHIVの陽性と診断…

「アフリカの真珠」と称されたアフリカ東部、赤道直下に位置するウガンダ共和国。

美しい大自然には、国鳥・ホオジロカンムリヅルをはじめ、今や生存の危機が心配されるマウンテンゴリラなど、多くの野生動物が生息している。

その大自然とは対照的に、近代的なビルが立ち並ぶ首都・カンパラは、多くの車が行き交う大きな街だ。

豊富な資源を元に農業が栄え、経済成長率は年々増加傾向にある一方で、ウガンダ国民の3人に1人以上は貧困層。1日当たり日本円にして200円以下での生活を強いられている、最も貧しい国の一つだ。

そんなウガンダが抱える社会問題の一つが『エイズ孤児』だ。

ウガンダは、HIV・エイズの感染拡大に伴う対策が成功したと言われている国ではある。しかし現在でも、エイズが原因で親を亡くした子供は56万人以上いる。実にウガンダの子どもたちの、40人に1人の割合だ。

エイズで母を亡くし、2人きりで生活する兄妹

首都・カンパラから車で約6時間の距離にある、ウガンダ南西部のカバレ・キリンガ村。
この村で生活するのは、約600人の貧困層の人々だ。

ウガンダとルワンダの国境近くにある村で、標高が高く、霧の中に畑が広がり、自給自足のような生活を送っているという。

この村で出会ったのは15歳の兄・ヴィンセントと、12歳の妹・プリマだった。

2人が住む家の中は、使い古されたぼろぼろのベッドに、古ぼけた鍋と水汲み用のタンクがあり、土で固めた壁の一部は大きく剥がれ落ち、外が丸見えの状態だ。

ヴィンセントとプリマは、兄妹2人だけでこの家で生活をしているという。

幼い頃に父親を病気で亡くし、2年前にはエイズで母親を亡くした2人は、『エイズ孤児』だった。

亡くなった母が建てたという家で、親戚などから食べ物をもらいつつ、自給自足の生活をしているという2人。

ヴィンセントは、「2人で協力して、なんとか生活はしています」と淡々と話す。

この日の食事は、ウガンダの代表的な主食『ポショ』という、トウモロコシの粉をお湯で練ったものだ。12歳の妹・プリマが手際よく料理する。

食事は昼と夜の2回。経済的な理由から朝食をとることはできない。

家には電気が通っていないため、昼間でも暗く、明かりは壁に開いた穴から差しこむ光だけ。夜になると一気に暗闇に包まれるそうだ。

学校で一人ぼっちになってしまう理由

食事を終えた彼らが向かった先は、家から歩いて15分ほどの場所にある公立の小学校だった。この学校は授業料が無償のため、誰でも通うことができるが、ヴィンセントたちのような孤児は日々の生活に追われ、学校に行けない日も多い。

驚くほど真剣な眼差しで授業を受けていた2人だが、教室の外に出るとその様子は一変した。

友達と声を掛け合ったり、笑顔で楽しそうにボール遊びをする妹のプリマ。

一方、兄のヴィンセントは無表情で、周りの生徒達と関わろうとしないどころか、距離を置いているように見えた。また、周りも彼に声をかけようとはしない。

しばらく見ていたが、決して笑顔を見せず、気がつくと一人ぼっちとなっていた。

別の場所でヴィンセントに一人になってしまう理由を聞くと、悲しそうな表情でぽつりぽつりと話し始めた。

「僕がエイズかもしれないと友達に話したんだ。そしたら…友達が『エイズの子』『エイズの子』って…。とても悲しかったよ」

彼らの母親は2人を出産後、エイズを発症していたことが発覚。ヴィンセントとプリマ自身も調べたところ、母子感染によるHIVの陽性と診断された。 

HIVは、人に感染すると免疫力を低下させるウイルスで、適切な治療をしないとエイズの発症につながる。

事実を知った時はひどく落ち込んだというヴィンセント。

しかし、「今は薬も飲んでいるし落ち着いているよ」と続ける。

プリマも「私も聞いた時は落ち込んだけど、今は落ち着いているわ」と兄に寄り添いながら話した。

そんな彼らの現在の病状をよく知る担当医は「2人は孤児のため病状が悪化しやすい状態です。子供達だけで薬を管理して飲むことは難しいのです。この薬は生涯毎日きちんと服用していれば良くなるんですが…」と残念そうに話す。

ウガンダ国内では、HIV感染の診察と治療を無料で受けることができる。
しかし薬は食後と決められている為、朝食をとっていない兄妹は、朝晩2回飲まなければいけない薬を満足に飲むことができず、治療が進んでいないというのだ。

孤児として幼い2人きりの生活であるがゆえ、改善されない病状。

今置かれている状況にヴィンセントは、「薬を飲めば良くなることはわかっているんだ…。それに薬を飲まないと、死が待ち受けていることももちろん、わかっています…」と言葉を選ぶようにゆっくりと語った。

ヴィンセントが一度だけ笑顔を見せた

今は2人きりの生活。ヴィンセントに将来について尋ねると「大きくなって結婚したら、妹とは離れて暮らすことになるのかもね」と話す。

取材中あまり笑顔を見せなかったヴィンセントだが、一度だけ笑顔を見せてくれた。

プリマに将来の夢を尋ね「まずは学校を卒業するのが先決かな。卒業したら教会のシスターになりたいな」と話すのを聞いたヴィンセントは、照れたような、はにかむような笑顔を見せた。

「初めて聞いたよ」

妹の夢を聞き、初めて笑顔を見せたヴィンセント。

プリマがシスターになりたいという理由は、自分の病気が良くなるように、そして自分と同じような病気で苦しんでいる人のために祈りたいからだという。

まだ12歳という年齢でその道を選ぶ裏には、将来結婚や出産というものを考えない人生を歩もうとすでに心の中で決めているように見えて、胸が痛くなる。

病気と孤独と闘いながら、2人きりの生活は続いていく。


(ウガンダが抱えるもう一つの社会問題『児童婚』についての記事はこちら
「男は信用できない」幼子を育てる15歳の少女。ウガンダが抱える“児童婚”という社会問題

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