「男は信用できない」幼子を育てる15歳の少女。ウガンダが抱える“児童婚”という社会問題

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カテゴリ:ワールド

  • ウガンダ共和国で社会問題の『児童婚』。幼子を育てる15歳の少女を取材
  • 金銭的理由などから若くして子どもを産む彼女たちの生活は非常に苦しい
  • 15歳少女「子供ができたことで、私の生活は一変したわ。」

アフリカ東部の赤道直下に位置する内陸国、ウガンダ共和国。

ウガンダの国鳥・ホオジロカンムリヅルや、絶滅危惧種として今や生存の危機が心配されるマウンテンゴリラなど、多くの野生動物が生息し、かつては「アフリカの真珠」と謳われたその美しい大自然で有名だ。

その大自然とは対照的に、近代的なビルが立ち並ぶ首都・カンパラ。
市場には、ウガンダで主食となっている“マトケ”という緑のバナナなど多くの食材が並び、豊富な資源を元に、国の経済成長率も年々上昇しているという。

その一方で、地方では今、『児童婚』という深刻な問題が起きている。

7ヶ月の幼子を背負う15歳の少女

ウガンダは、18歳未満の人口の割合が世界で2番目に高い国で、約4200万人の総人口のうち半数以上が子どもだ。
都市部での経済発展が進む一方で、都市以外は18歳未満での結婚、いわゆる『児童婚』が社会問題となっている。

その数は、ウガンダの女性のおよそ4割。その大部分は、貧困家庭の子供だという。

ウガンダでは18歳未満での結婚が認められていないものの、婚姻による収入などを期待した親に結婚させられる事があるというのだ。

首都カンパラから車でおよそ6時間の場所に位置するウガンダ西部の町・カセセ。幹線道路から一本入ると家が小さくなり、舗装されていない土がむき出しになった道になる。

貧困層が住んでいるこの地域で、ある一人の少女に出会った。

あどけなさの残る笑顔で迎えてくれたマシカは、15歳の少女だった。背中に抱えていたのは生後7カ月のブリトン。マシカの息子だ。

母子が住んでいるのは家賃5000シリング、日本円にして約150円の家。

本来であれば学生であるはずの彼女は、現在学校には通っていないという。仕事をしながら息子とたった2人で生活をしているのだ。

マシカは、この地域に根深く存在する悪しき慣習『児童婚』の被害者だった。

マシカに夫について尋ねると、「出産をした後、彼は逃げてしまったの…。生活は本当に大変だわ」と諦めにも似た表情を見せた。

マシカは14歳の時、4歳年上の男性との間にブリトンを妊娠。若年での出産は、母体もまだ未熟なため母子ともに負担が大きく命の危険を伴う。やっとの思いで出産をした後、男性はマシカの前から姿を消してしまったという。

稼いだわずかなお金も、自分たちのために使えない…

マシカが「自分と子供のことでいっぱいいっぱいよ」と言うように、生活はもちろん楽ではない。

朝6時、マシカの一日は夜明け前から始まる。
暗闇の中、眠る息子の傍らで、黙々と作業をするマシカ。
作っていたのは、ウガンダ国民の主食ともいえるバナナとキャッサバという芋で作られたパンケーキだ。

この日は村で週2回開かれているマーケットの日で、マシカはマーケットが開催される日、毎回50枚のパンケーキを作って販売しているという。

目覚めたブリトンを背中に背負い、作業を続けるマシカ。泣くブリトンをあやしながらもパンケーキを焼き続け、作業開始から約4時間、終わった足ですぐに市場へと向かった。

パンケーキ1枚の値段は、100シリング。日本円でわずか3円ほどだ。
この日は10分ほどで完売し「今日はとってもいい日だわ」と笑顔を見せたマシカ。

この日の売り上げは5000シリング。しかし、材料費に3500シリングほどかかっているため、手元には1500シリング、約45円しか残らないという。

このわずかなお金さえも、自分達のために使うことはできない事情があった。

必死で働くマシカの傍らで「おいしいね」とパンケーキをほおばる男性は、マシカの父親だった。

マシカの生活をどう見ているか尋ねると「とても大変だと思いますよ」と、どこか他人事だ。

「あの子が稼いだ時は支援をしてもらっているんだ。あの子が『使ってくれ』と渡してくれるからね」と続けたマシカの父親。

定職にはついておらず、娘の収入を頼りにする毎日だという。

マシカに聞くと、「2〜3週間に一度、3000シリングほど渡しています」と答えた。
家賃を払い、父にも援助をすると、稼ぎはほとんど無くなってしまう。

自分や息子の生活だけでなく、父親の生活まで、たった15歳の少女が背負っていた。

働きたくても働けない…もどかしい現実

次の日、マシカは背中にブリトンを背負い、鍬を持って別の仕事先へと向かっていた。

到着したのは近所のバナナ農園。マーケットのない日は毎日、農作業の手伝いをして収入を得ているという。

この日の仕事は雑草取りで、ブリトンを背負いながら黙々と鍬を下ろすマシカ。

しかし作業を始めてからわずか30分で、ブリトンが激しく泣き始めてしまう。

「ブリトンの体調が悪いから早く病院に連れていきたいわ…」と悲しそうにつぶやいたマシカ。

「子供の体調が悪いから、これで帰らせてください…」と雇用主に頼み込むと、不機嫌そうにバナナ一房を投げ渡された。

この日は1時間しか働くことができず、報酬は現金ではなかった。

目の前の生活を守るため、働かなければいけない。しかし、それができないもどかしさを見せながら、マシカが急いで向かったのは近所の病院だった。

この日病院でかかった費用は、診察料と薬代などを合わせて7万シリング。これはパンケーキを売って得る利益の1ヶ月半分にあたる。
ブリトンは感染症による肺炎の疑いがあると診断され、3日間の通院が必要だと診断された。

「男性は信用できない」

幼い子供を抱えるだけでなく、さらに親の支援もする、たった15歳のマシカ。

今の生活を送らざるを得ない彼女に、どう感じているのか聞くと、「周りの15歳はもっと良い生活を送っているわ。でも、私は自分と子供の生活で精一杯なの。子供ができたことで、私の生活は一変したわ。男性は信用できない。自分で自分を守らないと…」と素直な思いを明かした。

将来の夢についても聞いた。

「ブリトンの面倒をみなくて済むようになったら、看護学校に行ってナースになりたいわ。ブリトンには、教育をしっかり受けて、お医者さんになって欲しいと思っているの」

子供のことも愛していて、大切に思っている。しかし、14歳で出産することになってしまった『児童婚』が、自分の思い描いていた人生、そして将来全てを変えてしまった。そこに関しては後悔している、とも話したマシカ。

ウガンダでは、法律で許されてないが、地域によっては18歳未満で結婚する家庭が当たり前になっているという。教育や『児童婚』の危険性に対する啓蒙活動で、マシカのような少女を、これ以上増やさないことが大切だ。


(ウガンダが抱えるもう一つの社会問題『エイズ孤児』についての記事は明日公開)
【“エイズ孤児”兄妹の2人きりの生活。その孤独さと苦悩の日々】


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