東大卒の“元IT”社員が作った「地元をいい感じ」にする会社【長野発】

  • 生産者の“想い”を伝える“いい感じ”のカタログギフトの社が長野・上田市にある。
  • 実家は農家…東大卒、IT企業勤務を経て起業した若手社長が描く「いい感じ」とは?
  • 「東京じゃなくてもできることがある…」みんなが幸せになる新たな日本の企業のカタチ

座らない会社

長野県上田市にある「地元カンパニー」という会社。空き家を改装して作られたオフィスだ。 

そのオフィスに自転車で颯爽と現れたのは社長の児玉光史(40)さん。
この会社は7年前に東京でスタートしたが、2年前、児玉さんの故郷・上田に、拠点を移した。

この「地元カンパニー」。企業名も、空き家を改装したというオフィスもユニークだが働き方もユニークだ。
洗練されたオフィス内では従業員が皆、立って仕事をしている。

地元カンパニー 児玉光史社長:
椅子なしでやってみようと思って…
腰が痛くなったり、休んだりするんで、会議も遅くなったりするんで、立ってぱっぱぱっぱとやったほうがいいなかと思ってやってみました…

この“座らない”という働き方を従業員はどう思っているのだろうか?

従業員:
最初はすごく疲れました、足がパンパンになりました。でも慣れてくると苦にならなくて、むしろ動きやすかったり、隣の人と会話が出来たりとか、打ち合わせもスムーズにできるのでやりやすいです。 

生産者の“想い”をギフトに

この「地元カンパニー」、農産物や加工品の「カタログギフト」を制作・販売する会社だ。
カタログは、生産者の顔写真も載せ商品の魅力をストレートに訴える中身になっていて贈り物や引き出物として売り出している。 

児玉さんは東大を卒業後IT企業に就職。そして7 年前、今の会社を創業した。 そのきっかけも実はユニークだ。

地元カンパニー 児玉光史社長:
いろいろカタログギフトもらっても欲しいものがなかったので…(自分の)結婚式の時には実家のアスパラとか、友人が作っている果物とか、そういうものを選べるものを自分で作ってみようと思い、それを事業にした。

5月初旬、児玉さんはリンゴの専業農家 杉山さんを訪ねていた。
杉山農園はカタログ事業が始まった頃からの「出品者」だ。 

リンゴ農家の杉山さんは、児玉社長の試みをどう思っているのだろうか?

りんご農家 杉山明さん:
面白そうなことやろうとしてるやつがいるなと…
自分の家も親がアスパラ作ってるけど意外に儲からない。作ったものを儲かるようにするのがおれの仕事かなと思ったというのを一番初めに聞いて、そうやって売るのをやってくれる人がいるのは面白いことだなと思って、やろうとしてることも。じゃあ乗ろうかと…

杉山農園のカタログギフト。カードの裏には杉山さんの農業への思いがストーリー仕立てで書かれている。

俺たちにどこまでできるかわからねえけど、微力でも活性化出来ればいいな。
 
 

児玉さんは生産者を訪ね、話を聞き、手に取った人の心に響く文章をカタログに載せている。
 
 地元カンパニー 児玉光史社長:
“生産方法”とかは、あんまり聞かずに、“思い出”とか“これからどうしていきたいか”そこら辺を聞いてる。

 地元カンパニー 児玉光史社長:
味も表現してもうまいになっちゃうんで、文字にしても、深みがない、思いというと簡単な言葉なんですけど、今後どうしていきたいかなんですよね。

実際に、「地元カンパニー」のカタログに掲載されることで杉山農園のリンゴの販路は格段に広がったという。

原点は父が作るアスパラの味

児玉さんの原点とも言える場所がある。それは上田市武石のアスパラガス畑。
 精を出しているのは児玉さんの父・守さん。実家は2代続くアスパラ農家だ。 

母・けさみさんが採れたてのアスパラをを調理してくれた。
 取れたてを調理したアスパラは瑞々しく甘い。アスパラが持ってる本来の甘さがある。 

父・守さんが、アスパラ本来の味に向けて努力してる…その夫の力が大きいのかなと思っていつも感謝して食べてます。」と、母・けさみさんは語る。 

地元カンパニー 児玉光史社長:
僕は小さい頃からこのアスパラの味を食べて大きくなった。アスパラによって進学させていただいたので、ありがとうございます。 

地元カンパニーでは、児玉さんの実家のアスパラもカタログギフトとして扱っている。

児玉さんは生産者ではなく、生産者のために農産物を消費者に届ける道を選んだ。そのことに関して父・守さんはどう思っているのだろうか? 

児玉さんの父 守さん:
地元のものをいかに売っていくか、農業の活性化につながればいいが、今大変な時代、いろんなところと競合していかなくちゃいけないし、この片田舎でアピールできるか、私たちも期待はしてる。まあ頑張って売ってもらいたい。

児玉さんの父 守さん

農産物の魅力を広め「地元をいい感じ」にする。それを信州から発信することに児玉さんは価値を見出している。 

地元カンパニー 児玉光史社長:
やっぱり可能性を示したい、別に山のふもとでも出来るよみたいな、東京じゃなくてもやれる事実を示していきたいと勝手に思ってる。誰かの励みになればいいなぐらいですけど。売り上げも伸びてるし、働いてくれる人も増えてるし、自分の中では少し手ごたえ昔よりもあります、全然ですけど…

東京一極集中が加速し地方の過疎化や人手不足が進む中、みんなが幸せになる「働き方」は長野に芽生え始めている。
 
 (長野放送)

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