岐阜城の背景の「満月」が巨大すぎない!? 幻想的な写真の撮り方を聞いてみた

カテゴリ:国内

  • 岐阜城の背景に巨大満月の写真が話題
  • 投稿者「月が大きいわけではない」
  • 満月を背景にした幻想的な写真の撮り方を教えてもらった

幻想的な4枚の月の写真

現在、スマホで簡単に撮れるようになったこともあり、写真を趣味としている人も多いだろう。
人物を撮ったり、景色を撮ったり、どんな対象を撮るのが好きかは人それぞれだ。

こうした中、満月をバックにした美しく、幻想的な写真が話題になっている。

それがこちら!

撮影:小林淳さん 撮影日:2019年4月20日

大きな満月の前にあるのは岐阜城。
だが、輝きを放つ、あまりに巨大な満月の存在感に城の模型かと見まがうほど。

この幻想的な写真を投稿したのは、建築士の傍ら、写真展や個展を開催している小林淳さん(Atsushi Kobayashi/小林淳(@atsushi_k_photo))で、5月22日現在、4万超のいいねが付いて話題を集めている。
撮影日は今年の4月20日だという。

さらにこの投稿には、似た構図で撮影された3枚の写真がアップされている。

撮影:小林淳さん 撮影日:2017年12月3日

2017年12月3日に撮影された写真は、1枚目に比べ、月が一回り小さくなり岐阜城が大きくなっている印象だ。

撮影:小林淳さん 撮影日:2017年12月2日

2017年12月2日に撮影された写真は、2枚目とあまり変わってないように見えるが、岐阜城が若干大きく見え、月が少し小さく見える。

撮影:小林淳さん 撮影日:2017年9月4日

2017年9月4日に撮影された写真は、はじめの3枚と比べて、月が小さく岐阜城が大きく見える。

ポイントは岐阜城までの距離

同じ岐阜城と月を撮影しているのに、なぜここまで写り方が違うのか。そして、そもそも月が巨大すぎはしないか。
その疑問を小林淳さんはツイッターで解説してくれていた。
 



「月が大きいわけではない。対象物の城を小さく写すから月が大きく見える。月はどこから見ても(撮っても)同じ大きさだが、岐阜城は離れれば小さくなる。月を大きく撮るには、城から離れて撮るってわけ。 」

写り方が違うのは岐阜城との距離だということで、先程紹介した写真はそれぞれ
1枚目ー6.5km
2枚目ー3.8km
3枚目ー2.9km
4枚目ー1.3km
岐阜城から離れた場所で撮影しているという。
言われると納得だが、誰でも簡単にこういった写真を撮ることができるのか?小林さんに撮影のポイントを詳しく聞いてみた。

 ーーシャッターチャンスとしては満月であればいつでも撮影できるのか?

満月に限らず、半月や三日月とどんな月でも(新月以外)雲に隠れてなければシャッターチャンスはあります。 撮影者が月の軌道を調べて、岐阜城と重なるポイントに移動して撮影します。

撮影:小林淳さん

 ーー月と城が重なる時間は大体どれくらいあるのか?

月の出の時間から、2時間程度です。例えば午後6時が月の出の時間とするなら、午後8時過ぎくらいまでは重なります。それ以降は月が上がり過ぎて、重なることはありません。

もう少し詳しく説明しますと、例えば午後6時が月の出の時間だとします。そうすると、だいたい午後6時20分くらいに城から6km離れた位置で重なるかなと。 
時間の経過とともに月は上がりますので、次に城と月を重ねるには、撮影者は城に近づいていきます。午後6時40分くらいに城から3.5km離れた位置で重なります。 次のポイントは午後7時10分くらいに城から1.5km離れた位置で重なります。 このように、月の出から月が上昇する軌道に合わせて、撮影者は遠くから城に近づく動きで、重なるポイントをいくつか探しながら移動するわけです。

ーー距離は6.5kmならどこでも1枚目のような写真が撮れるのか?それとも撮影する際に高台で撮影しなければいけないなど条件はあるのか?

高台から撮る必要はありません。岐阜城は金華山という標高329mの山の山頂に建つお城です。ですので6.5km離れた位置からも岐阜城は目視できる場所は多くあります。 従い、撮影ということになると、6.5km離れた位置でそこから岐阜城が目視できるポイント、かつそのポイントで月が城に重なる。この条件で撮影可能ということになります。

離れれば離れるほど“ブレ”にはシビア

  ーー撮影する際に気をつけるべきポイントは?

それぞれ、かなり離れた場所から超望遠レンズで撮影するわけですから、ブレにはかなり気を使います。それはどの距離も共通して言えますが、離れれば離れるほどブレにはシビアで、例えば5km以上離れた場所では、ほんの少しブレただけで、お城の描写がかなり甘くなってしまいます。 次に、特に離れて撮影する場合は、空気がいかにクリアか、空気の揺らぎはないかがポイントで条件が悪いと綺麗な描写は困難です。 また、離れれば離れるほど、月の動きは早くなりますので、一瞬を逃さない集中力が必要となります。


ーー月を大きく見せる方が撮影する際に大変ということ?

ブレの問題、空気のクリアさや揺らぎの問題、月の動きの速さの問題から、お城から離れて月を大きく見せる撮影の方が難易度は上がります。


ーー ブレの問題、空気のクリアさや揺らぎの問題、月の動きの速さの問題の3つの条件を満たす撮影に適した時期は?

撮影しやすい条件がそろう時期というのは特にないのですが、空気の澄んでいる冬季は、遠くからでもクリアに撮りやすいというメリットはあります。 逆に、霞みやすい春などは厳しい条件になることも。

しかし霞みの原因となるチリやホコリ、花粉などの影響で月が赤っぽく見えることがあります。特に月が地平線に近い位置にある場合、つまり、月の出の直後、沈む直前は色が付きやすいです。
あと、今回ツイートした写真は全て晴天の際に撮影したものですが、実は月にほどよく雲がかかった時の方が幻想的に撮れたりするので、雨雲が出やすい梅雨の時期や夏季は、意外と名作が撮れたりします。 あとはジンクスみたいなものですが、中秋の名月の日は毎年よい写真が撮れているようです。

撮影:小林淳さん

小林さんによると、このような幻想的な写真を撮るためには、カメラは高解像度機であるに越したことはないが、一眼レフ、ミラーレス一眼(レンズ交換式のカメラ)であれば入門機でも撮影可能だという。
また、月と城のみをダイナミックに切り取るためのレンズは、焦点距離600mmの超望遠レンズ推奨だが、200mm程度で空や周りの風景を含めて、広く撮影することは可能とのこと。そしてブレ対策には、剛性が高くブレに強い三脚と、シャッターは手押しではなくレリーズリモコンの使用は必須だという。

今回の取材で、さまざまな条件をクリアして、一瞬を逃さない集中力がないと幻想的な写真は撮れないとわかった。
難しいとは思うが、写真が好きな人で岐阜を訪れた人は一度挑戦してみて欲しい。
ちなみに次の満月は6月17日(月)だ。