深刻な中小企業の人材不足…解決策は“脱・新卒信仰”

カテゴリ:ビジネス

  • 深刻な中小企業の人手不足に朗報か?
  • 大学新卒者の内定率が94%、多くが大企業に流れる中、脱・新卒信仰で人材確保に成功する中小企業も
  • ただし、既卒者を積極的に採用している企業は、まだわずか…

深刻な中小企業の人材難。「新卒」、「既卒」、固定概念を捨てたら、見えてきた景色があった。

ここは既卒者、大学を卒業して就職経験がない人と、就職をしたものの短期間で辞めてしまった第二新卒と中小企業をつなぐ職業紹介所「 就職Shopきたせんじゅ」。 

この日訪れていたのはIT企業でプログラマーを志望する加藤さん(28)。
2017年に東京大学大学院を卒業した既卒者。

面接に訪れた加藤さん

「 就職Shopきたせんじゅ」担当者
具体的にどうゆうプログラミングの勉強をしていますか?パイソンについては?

加藤さん
基本的な文法と数学。パイソンは数学が大事なプログラム言語だと思います…。

大学を1年間休学し、アフリカでインフラ整備のインターンシップも経験。
卒業後はアルバイトをしながら生活し、卒業から2年経った今年1月に就職活動を開始したものの、エントリーシートを送った企業から返信がなかったこともあったという。

企業の約3割が“既卒者”は採用の対象外

実は大学新卒者の内定率が94%(2018年リクルートキャリア調査)に対し、既卒者の内定率はわずか45%(2018年度マイナビ調査)に留まっている。

2015年卒業後 2社経験の男性(26歳)
新卒よりはむずかしくなっていると感じていて自信がなくなっていた。

父の看病で2年ブランクがある女性(28歳)
他の人に比べて選別する時にブランクがあると初めにはじかれてしまう。

厚労省の調査によると約3割の企業が、採用枠で既卒者を対象にしていない。
こうした中、新卒や学歴に拘らず人材難を生き抜こうとする企業がある。

既卒の優秀な若者獲得へ

金融機関などにシステムエンジニアを派遣する「アテナ情報システム」。
この会社では数年前から既卒者や大学中退者を採用。
今年もすでに1人ずつ入社している。

「アテナ情報システム」

「アテナ情報システム」羽鳥恵子専務
中途採用で「自分は社会に出て仕事をしたい」としっかり思っている人の方が入社した後、頑張ってもらえる。
取引先から「新人離れしたプログラミング能力がありますね」と評価してもらったこともある。

「アテナ情報システム」羽鳥恵子専務

大企業に人材が流れ、人が集まりにくい中小企業が既卒の優秀な若者の獲得に乗り出していたのだ。

採用された既卒は…

2014年卒 2016年入社(30)
自分が気にしていたほど周りの人は気にしない。そこを引け目に感じることは働き始めて無かった。

大学中退 2017年7月入社(23)
開発をやっているが上流工程の設計なども自分で考えてやれたらいいなと思っている。

こうした企業は少しずつ増えているが、新卒信仰が根強く残っているのも現状。

リクルートキャリア 就職Shop推進部 阿部将太さん

リクルートキャリア 就職Shop推進部 阿部将太さん
新卒も既卒も正直そんなに能力は変わらない。長い目で見て活躍してもらえたらいいなと世の中が思えたら採用の幅は大分広がる。

新卒一括採用の見直しへ

今まで日本企業の特徴的な雇用制度というのは、終身雇用と新卒一括採用がセットで行われていたが、大企業でさえ終身雇用を維持できなくなっている中、新卒一括採用の見直しも指摘されている。

津田塾大学・萱野 稔人教授
この2つはセットなのに、終身雇用が揺らいでも、新卒一括採用が見直されず、多様な雇用形態の模索が始まっていない。
それが今回人手不足に直面して新卒一括採用が見直されてきた。
人手不足というのは人口動態に基づいた構造的な問題だから、長期に渡ることがある。そうなると大企業を中心に見直しが広まる可能性があり、 採用やキャリア形成の多様化に繋がる。

(「Live News α」5月21日放送分)

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