強いぞ、相撲界最小、最軽量級力士!

大相撲初場所へ向けた稽古総見が両国国技館で行われた。新関脇正代が相撲記者たちの注目を集める中、ホウドウキョクが注目したのは自称元悪ガキの相撲界最小・最軽量級の新十両、照強だ。

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  • 大相撲稽古総見、相撲記者たちの注目力士は?
  • 新十両照強は元悪ガキ、相撲界最小・最軽量級
  • 強いぞ、新十両照強

「バチン!」「ドン!」。肉塊と肉塊がぶつかり合う音。飛び散る汗。激しい息遣い。巨体の力士同士が目の前で激しく体をぶつけあっている。

12月28日、大相撲初場所へ向けた稽古総見が両国国技館の相撲教習所で行われた。八角理事長をはじめ相撲協会幹部の親方衆、横綱審議委員や評議員のお歴々が見守る中、力士総出で稽古を披露した。
この日、相撲記者たちの注目を集めたのは、横綱白鵬に十番近くも連続で稽古をつけられ、無残に全敗した新関脇正代。正代は先場所11勝4敗で敢闘賞を獲得、初の3役入りを果たし、赤丸急上昇中だ。初場所は、白鵬、正代、先場所優勝の鶴竜、そして日本人として久しぶりの横綱取りに挑む稀勢の里と豪栄道あたりが話題の的だろう。

さてそんななか稽古総見で私が注目したのは、こうした「幕内」力士ではなく、その下のクラス「十両」の力士だ。「十両」はサッカーで言えば、J2。J1昇格へのステップでもあり、J1からの降格組の強者もゴロゴロいる。もっと下のクラスの「幕下」から「十両」に上がると、初めて給料がもらえ、付き人がつく。「十両」からは○○関と敬称がつき、いわば一人前の“お相撲さん”になるのだ。

そんな新十両にあがったのが先場所、幕下で全勝優勝した照強(てるつよし)21歳だ。中学卒業後、15歳の時に相撲部屋に入って7年。ようやくつかんだ関取の地位だ。照強は身長168センチ、体重116キロ。幕内・十両の最小・最軽量級だ。日本相撲協会によると、12月27日現在、幕内・十両の最も背が高い力士は勢と魁聖の195センチ、最も重い力士は逸ノ城の212キロ。十両の平均身長が182.7センチ、平均体重が154.8キロ。平均と比べても身長で14センチ、体重で40キロも違う。相撲教習所の土俵を囲む大きな十両力士のなかで、まるで一人小学生が混じってしまったような違和感さえ覚えるほど、照強は小さかった。そんな照強が巨漢ぞろいを相手にどう戦うのか。

照強とは、実は数年前からの知り合いだ。かつて同じ伊勢ケ浜部屋の兄弟子、宝富士の付き人をしていた頃からだ。おっとりして優しい宝富士と正反対に、陽気でおしゃべり、負けん気の強いおニイちゃんという感じだった。小学生のころから喧嘩早く、地元、淡路島で有名な悪ガキだったらしい。しかし、宝富士と並ぶとその大きさはまるで大人と子供。この体では、この先なかなか厳しいかなと内心思っていた。ところが…。

この日の稽古総見では、小さな体を生かし低く下からもぐりこんで、並み居る巨漢力士を相手に、投げる、押し出す、突き落とす、さらには足に手をかけるなど、多彩な技を繰り出して次々と打ち負かした。この日の稽古相手には、元幕内の北大樹、旭日松、11月場所で十両に上がったばかりで髪の長さが足りずマゲの結えない小柳などがいた。16番取って、11勝5敗と堂々の成績。十両勢の稽古では一番目立っていたと言ってもよいだろう。

稽古が終わって同じ部屋の兄弟子、安美錦関と帰る道すがら話を聞いた。
「十両として初めて参加する稽古総見。かなりいい感じだったんじゃないですか?」
「いやいや、もっと前に出ないと。まだまだです」
照強は十両の稽古が始まった瞬間、真っ先に名乗りを上げ、1番に申し合い稽古をした。こうした稽古では勝ち残りのため、次の相手に指名してくれるよう何度も何度も手を上げ続け、最も多く稽古をしたのではないだろうか。初場所に掛ける思いが伝わるようだ。
初場所の目標を聞いてみた。
「まずは勝ち越しを狙います」。
しかし今日の様子ならもっともっと上を狙えるかもしれない。小さな体で(といっても身長186センチ、体重137キロだが)、鋭く低い当たりと抜群の反射神経を武器に戦う勝負師、横綱日馬富士を尊敬しているという。これから、陽気な最小・最軽量級力士が相撲界に新たな旋風を巻き起こすかもしれない。