DMMが金沢に仮想通貨のマイニングファームを開設

ショールームとして一般公開も予定

カテゴリ:ビジネス

  • 国内に仮想通貨のマイニングファームが誕生
  • ビットコイン以外もマイニングする
  • ショールームとして閲覧も可能に

コインチェック社の大規模な流出事件後、日々話題の絶えない仮想通貨。そんな最中に、昨年9月に仮想通貨のマイニング事業へ参入を表明していたDMM.comが、金沢でマイニングファームをオープンする。

積雪1メートルを越える北陸でも記録的な大雪のなか、まさに設営がリアルタイムで進行する施設内を取材した。

DMM金沢マイニングファーム外観

石川といえばDMM創業の地でもある。金沢駅から車で10分程度、これまでオフィスとして利用していた建物を丸ごと仮想通貨のマイニングファームにリニューアルする。

ファームの中では、数名のエンジニアによりマシンのセットアップが進んでいた。この4日間で230台の設置を完了し、3月にはワンフロアに1,000台を並べて稼働する。

ASICマシン

多くの仮想通貨はブロックチェーンという仕組みで構築されたデータベースに取引を記帳する。ブロックチェーン上に新たなブロックを追加し、その作業の報酬として仮想通貨を得ることを、マイニング(採掘)と呼んでいる。

DMMのファームでは2種類のマシンが設置されていた。ASIC(application specific integrated circuit)と呼ばれる、特定の目的に特化したマイニング専用マシン(写真上)と、本来はグラフィック処理用のGPUをマザーボードに複数設置する自作のGPUマシン(写真下)である。

GPUマシン

ASICマシンは中国製のものを購入。いくつかの初期設定をすれば稼働できる。

一方GPUマシンは、リグと呼ぶフレームの組み立てから始まり、マザーボードに12台のGPUと2個の電源を接続、ソフトウェアの設定と、1台のセットアップに3時間ほどを要していた。

マイニングラボ 平澤健太さん

DMMの勝算は?

ところでビットコインの場合、すでに中国やアイスランドに大規模なマイニングファームが存在し、熾烈な競争を繰り広げている。

後発で参入するDMMの勝算はどこにあるのだろうか?

DMMマイニングラボ リーダー 高口晋一さん

マイニングラボの高口晋一リーダーにその疑問をぶつけると、「我々はビットコインにこだわってはいません。ASICマシンではライトコインを、GPUマシンではイーサリアムをマイニングしています。もちろんビットコインもマイニングします。

市場環境や我々が持つ設備に応じて、実際に検証を進めながら、利益が出る仮想通貨を選定してマイニングしていきます」と、いわゆるオルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨の総称)のマイニングにも対応する方針が示された。

クリプトマイニング事業部 PR 林亜佳根さん

金沢マイニングファームは3月中旬以降、ショールームとして一般への公開を予定している。

「仮想通貨に不信感を持たれないようにしたい。実際に実物のマシンを見ることで、安心・安全だとわかってもらえるのでは。マイニング事業の取り組みを、エンタメ要素を入れてDMMらしく発信していけたら」(クリプトマイニング事業部 PR 林亜佳根さん)

まずは国内で開始することにより、DMMのエンジニアチームが直接運営に携わりクオリティを担保し、国内ユーザーへの信頼を勝ち得る。以降は、より利益率を高める為、海外での展開も視野に入れているという。

スペックやパフォーマンスは?

仮想通貨のマイニングに際しては、「ハッシュパワー」と「電気代」という2つの指標が重要になる。ハッシュパワーとはマシンの計算能力を示す数値で、マイニングに必要なハッシュと呼ばれる計算を1秒間に何回演算できるかを示す。

DMMファームでは一台あたり、ASICマシンで650MH/s(メガハッシュ/秒)、GPUマシンは300MH/s弱ほどであった。一方、消費電力はASICで750W、GPUは1900〜2000Wだという。(現段階では機材のほぼデフォルト値を設定、今後チューニングを施すとの事)

マイニングラボ 高口晋一さん(左) 坂井勇人さん(右)

この値をどのように評価すればよいのか? 

マシンは別会社が運営する「マイニングプール」と呼ばれる、ファームや個人マイナーのマシンパワーを集約する仕組みに接続されているが、すでにDMMファームは接続先プール内で上位にランクイン、採掘は軌道に乗っているようであった。

なぜ仮想通貨に参入?

そもそもDMMが仮想通貨の領域に参入するのはなぜか?「DMMはまずは何でもやってみようというカルチャーがあります」マイニングラボのエンジニア小田芳明さんはGPUマシンを手際よく組み立てながら答えてくれた。

マイニングラボ 小田芳明さん

今後は、DMMの独自プールの運営を開始し、夏頃には一般ユーザーがマイニングの権利を購入できるクラウドマイニングの展開も予定している。

採掘が成功した時は、どんな気持ちですか?と尋ねると「そうですね、ここで獲得した資産は、スマートコントラクト事業に投資していくので、マイニング事業でしっかりと収益を出していきたいです(高口さん)」と、すでに次の展開を見据えている。

テクノロジーの現場を支えるエンジニアたちの姿は、仮想通貨とその周辺に拡がる未来に向かって、とても素直に、着実に歩んでいるように見えた。

スマートコントラクト:ブロックチェーン上で動作する自動取引や決済の仕組み