マララさん単独インタビュー 「多くの日本人が私を支えてくれる」

17歳でノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさん(18)に聞いた。

カテゴリ:ワールド

  • 「普通の女の子」「人権活動家」どちらも自分。
  • テロに遭ったが、故郷にまた帰りたい。
  • 「スピーチ術」や「日本の印象」についても独占取材。

故郷パキスタンのスワート渓谷でイスラム原理主義勢力の銃撃から奇跡的に生還し、史上最年少の17歳でノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさん(18)さん。2015年12月にはマララさんのドキュメンタリー映画「わたしはマララ」が公開され、話題となりました。

マララさんに2015年10月単独インタビューを行ない、「女性が教育を受ける権利」を訴え続ける彼女にテロやイスラム、スピーチ術や日本への印象などについて聞きました。

“2つのマララ”

佐野:
映画「わたしはマララ」の中にいる自分を初めて見たとき、どう感じましたか?

マララ:
私にとって映像の中の自分自身を見るのはとてもつらいことでした。自分が話しているのを見るなんて、あまり気が進みません。でもこの映画はとても力強く作られています。デイビス・グッゲンハイム監督が加えたアニメーション、それから私たち家族の物語やこれまでの出来事についての描写にはとても勇気づけられます。だからこの映画を気に入りました。

佐野:
マララさんは「自身の中に2つの側面がある」と言っていますよね。1つは『学校に通う普通の女の子で愛情に満ちた家族の娘』。もう1つは『人権活動家』です。この2つをどうやって切り替えているのですか?

マララ:
ええ、結局は両方ともやらなければならないのは私です。ですから、両方のバランスを取るよう最善を尽くしています。学校の勉強に十分時間をとって普通の生徒でいようとしています。宿題をやって試験でいい成績をとるように。

一方で、「教育のための活動」も私にとって非常に重要です。世界の指導者や世界中の人々に「教育は基本的人権で、いかなる子どもにも否定されるべきではない」と気付いてもらう活動の時間をつくるよう努力しています。

活動を続けたい。故郷に戻りたい。

2012年10月タリバンがマララさんを襲撃(当時15歳)

佐野:
パキスタンのスワート渓谷に帰ってふるさとの家をもう一度見たいと言っていますね。いつになったら帰れると思いますか?また危険にさらされるのではと怖くないですか?

マララ:
私は自分の教育課程が終わったら、いつか帰りたいと思っています。スワートとパキスタンは私の故郷です。家に戻りたいし、そこで教育の活動を続けたいです。なぜならそこが、私がキャンペーンを始めた場所だからです。

キャンペーンするマララさん(2011年カラチ)

テロや女子の教育禁止が私を立ち上がらせました。私は女性が教育を禁止されるのを見たくなかったんです。そして活動を続けたい。だから私は故郷に戻りたいんです。

私もイスラム教徒です。

佐野:
世界中で多くのテロが発生し、中東では「イスラム国」が勢力を拡大しています。イスラム教とテロについてどう考えていますか?それから、シリアの状況をどう感じていますか?

マララ:
シリアやイラクで起きていることはとても痛ましいです。非常に多くの人が難民となっていて、特に子供に影響が及んでいます。私は18歳の誕生日にヨルダンとレバノンに行き、そこでシリア難民の子どものための学校を建てました。そこでたくさんの子どもに会ったんです。彼らは家を追われ、学校に行けません。起きていることは悲劇的です。

マララ女子学校(2015年7月レバノン)

人々は世界中のテロに影響を与えているのはイスラム教だと思っています。世界には数多くのイスラム教徒がいますが、彼らはテロリストではありません。イスラム教は平和の宗教、博愛に満ちた宗教なんです。私もイスラム教徒です。私はいつだって平和や教育について、それから、他者への愛と思いやりについて話しています。

佐野:
私は2015年7月にレバノンのマララ女子学校に取材に行きました。生徒の皆さんが勉強熱心だったのを覚えています。マララさんは彼女たちと会って何を得ましたか?

マララ:
学ぶことに対する情熱を持った少女たちと会って、私自身が前に進むための強さをもらった感じです。まだ希望があることを知りました。彼女たちが変化を求め、社会に変化をもたらしたいと思っていることを知りました。祖国に戻りたい、勉強したいと思っていることを知りました。それを知って、私は強くなりました。私は1人ではないんだと信じられます。少女たちはみな学校に行きたいし、熱意を持っています。私は世界の指導者に会ったら、「私はこの少女たちを代表して話しています、彼女たちの言うことを聞いてください」と言うつもりです。

先生も生徒も女性

佐野:
現在の難民危機についてどう考えますか?日本を含む世界の指導者に何を言いたいですか?

マララ:
難民の人たちは私たちと同じ人間です。彼らは戦争や紛争のせいで祖国を追われ、苦しんでいます。残酷な状況のせいで祖国を去っています。ですから、彼らが他の国に来た時にはひどい扱いをしないでください。彼らはすでに残酷な状況やテロの恐怖を体験して、逃げてきているのです。彼らを受け入れ、優しくしてあげてください。そして、この問題の解決策を見つけるよう努力してください。私たちがあとどれくらい多くの人をホームレスにしたいのか、難民にしたいのかと考えてほしいんです。

あなたの話の要点を知りましょう。

佐野:
マララさんはとても印象的なスピーチをされるので、いつも感心します。

マララ:
ありがとう。

佐野:
良いスピーチを書く方法はありますか?自分の意見を『声』にするポイントは何ですか?

マララ:
もし誰かがアドバイスを求めてきたら、「あなたの話の要点を知りましょう」と言います。何があなたの一番言いたいことなのか、書き出してみましょう。どこから始めてどこで終わるかは心配しないでください。要点を書いて、それから文章を構成します。いったん要点が書ければ、簡単に構成できます。これは経験も必要です。

それから、ほかの人のスピーチを聞くこともいいことです。そうすれば彼らがスピーチをどうデザインしているかわかります。ただ、自分自身のスタイルを信じてください。ほかの人のスピーチが良く見えることがありますが、自分のスタイルでも良いのだと信じてください。

国連演説(2013年7月)

日本はいつも喜んで受け入れてくれる。

佐野:
日本についてどんな印象を持っていますか?

マララ:
日本はいつも喜んで受け入れてくれるし優しくしてくれます。日本からもたくさんの手紙をもらいました。著書「私はマララ」の日本語版もあります。どれだけ多くの日本人が私を支えてくれているか想像もつきません。

佐野:
日本に行きたいですか?

マララ:
はい、いつか行きたいです。光あふれる大きな都市やたくさんの人々、情熱的な人々を見てみたいです。

(取材日:2015年10月23日)