「月面レースで優勝間違いなし!」 『宇宙資源』でも日本はリードできるか

<Special Interview> Googleが賞金総額3000万ドルをかけて仕掛ける宇宙ビジネスのイノベーションに日本企業が挑戦。HAKUTO袴田武史代表に話を聞いた。

田代尚子
カテゴリ:テクノロジー

  • 世界初の月面探査レースに日本が参加。
  • 「月に到着すればレース優勝は間違いなし」と代表。
  • 宇宙の資源開発は宇宙輸送を変える。

優勝賞金2000万ドルをかけたレース

世界初の月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」。世界中から16チームが参戦する中、日本からは、唯一民間月面探査ロボットを開発したHAKUTOが参戦する。

そのミッションは3つだ。

(1)民間開発の無人探査機を月面に着陸させること。
(2)ローバーを着陸地点から500メートル以上走行させること。
(3)ローバーに搭載されたカメラで撮影した高解像度の月面の動画や静止画を地球に送信すること。

この3ミッションを最も早く実現した優勝チームには、賞金2000万ドル(約21億円)が贈られる。
レースに勝算はあるのか?HAKUTO代表の袴田武史氏が「ホウドウキョク」へ出演し、意気込みを語った。

月面に降り立てば優勝間違いなし!

ローバー開発のポイントは、軽量化との闘いだ。HAKUTOは世界最小となる重量4キロのローバーを実現した。 

それだけではなく、「耐震性」「耐熱」「通信」「電力」「耐放射線」といった、あらゆる側面に日本のテクノロジーを凝縮・結集させている。

ロケット打ち上げ時の激しい振動に耐える為ボーイング787に使用したCFRPやウルテム素材を使用。最大100度になる月面温度に耐えるため排熱と断熱を工夫。
 
通信は2.4GHzと900MHzを組み合わせたハイブリッド通信。太陽光を最大限受け取る斜面70度でソーラーパネルを設置。100~1000倍の放射線に耐え得る工夫は民生品を活用した。

1枚3gまで絞り込んだ刃はホイール1個につき15枚。4つのホイールそれぞれにモーターを備えた総輪駆動。映像撮影の為には360度の視野を確保可能な4台のカメラを装備。

これだけの機能を備え、ローバーは打ち上げを待つばかりだ。

ライバルチームはアメリカ、ヨーロッパ、チリ、イスタンブール、インドなどひしめく。月に向かって数チームが同じロケットに乗り込むのだが、アメリカ・チリ・ハンガリーと一緒に搭載されるのが、日本のHAKUTOだ!

月面に降り立つと同時に4か国がF1レースのようにスタートを切るのだそう。「月面着陸さえ成功すれば、間違いなく優勝できる!」と袴田代表は余裕の表情で胸を張る。

次なる夢は宇宙資源開発

彼の夢はむしろその先へ向かっているようにも感じられる。

「月の資源は今後の宇宙ビジネスの発展の大きな鍵を握っているんですよ。水は水素と酸素に分けてロケット燃料になるんです。月からの輸送が確立すれば、宇宙の物資輸送のコストが、地球からの輸送に比べ100分の1に減らすことができるんです」

宇宙ビジネスの市場拡大は、宇宙資源の所有権の問題にも直結する。

宇宙資源の所有権をめぐっても国際レジームを確立すべきという動きが世界的に大きくなってきているようだ。世界20か国からなる会議には、日本からは唯一袴田代表が参加し、この領域においてもグローバルリーダーとしての重要な役割を担っているのだ。

かつてリンドバーグが変えた飛行機産業。そして現代、袴田武史が宇宙産業を変えるかもしれない。