“脱毛”はつらい副作用の一つ
抗がん剤治療に伴う“脱毛”。
抗がん剤の種類や使用した量によっても異なるが、患者にとってはつらい副作用の一つとされている。
こうした中、抗がん剤治療に伴う“脱毛”を抑えるのを目的にした装置「パックスマン・スカルプ・クーリング・システム」が3月27日、日本国内で初めて医療機器として承認された。
この医療機器はイギリスの会社「Paxman Coolers Ltd」が開発したもので、医療機器専門商社「センチュリーメディカル」が日本における製造販売を担当する。
一体どのような医療機器で、なぜ抗がん剤治療に伴う脱毛を抑えることができるのだろうか?
センチュリーメディカルの担当者に話を聞いた。
抗がん剤治療の前後に頭皮を冷却し、脱毛を抑える
――これはどのような医療機器?
化学療法中とその前後に頭皮を冷却させることにより、化学療法の副作用として起こる脱毛を抑制させるための医療機器です。
――どうやって使う?
化学療法を受ける患者様に専用のキャップを着用して頂き、キャップの内部に専用の冷却液を還流させることにより治療中と前後の頭皮冷却を行います。
脱毛を抑制するためには、治療中に加えて、前後にも一定時間、冷却用のキャップを着用する必要があります。
頭皮の細胞に与えるダメージを軽減させる
――なぜ抗がん剤治療に伴う脱毛を抑えられるの?
頭皮を冷却することにより、化学療法中の頭皮への血流を抑えることができます。
化学療法による脱毛は、血の中の抗がん剤が、頭皮の毛母細胞にダメージを与えることによって起こります。
頭皮を冷却して血流を抑えることにより、抗がん剤が毛母細胞に与えるダメージを軽減させ、結果的に脱毛を抑えることが可能になります。
――効果は実証されているの?
日本における治験では、本製品を使用した患者の約3割は、結果として、医療用ウィッグが不要であると医師が判定しました。
7月以降、医療機関に導入されていく見込み
――いつ頃から、いくらぐらいの負担で使えるようになる?
7月以降、順次、医療機関に導入されていく見込みです。
医療費負担に関しては、現時点では回答できる内容はございません。
患者を悩ませる、抗がん剤治療に伴う“脱毛”。
脱毛がつらいために抗がん剤治療を避ける患者もいるというが、この医療機器ならこうした肉体的・精神的負担を軽減させられるように思われる。
7月以降に医療機関に導入されていく見込みだという。