都議選の“見かけ上の争点”は豊洲問題となると思う。この問題をめぐる疑問は、小池さんが「安全安心が確保されていないから移転しない」といった10カ月前と、豊洲の状況が変わらないにもかかわらず、今移転を表明した点。小池さんは安全宣言を出すと言っているが、そうであれば10カ月前に宣言は出せたのではないか。

もうひとつの疑問は、築地市場を再生させれば、戻る人がいるかもしれないという点。戻るのか戻らないかをはっきりしなければ関係者の迷惑となる。10カ月前に築地市場についてどうするか決めればよかったが、これまでの10カ月間何をしていたのかが疑問。


きょう告示の都議選の争点は、小池さんの実行力を信用するかどうか。その小池さんが動くべきは禁煙条例。自民党が厚労省案を骨抜きにしようとしているが、都民ファーストと公明が議席を獲得し、厳しい条例案を作れば、国で止まっている禁煙法も国が都に追随してやることができる。小池さんの手腕が問われている。これが都議選の本当の争点となる。


選挙情勢は、現状では自民と都民ファーストが接戦といわれていたが、加計問題で自民党がやや落ちている。都民ファーストがやや強いだろう。公明は堅調だが民進と共産は苦戦している。皮肉だが民進と共産が加計学園の問題で自民を攻めた結果、自民票が減っているが、その票はなぜか小池さんの所に行っているという不思議な状況。情勢が変わらないのであれば、おそらく都民ファーストが優勢なまま選挙戦が進むのではないか。

ただ、都民ファーストの支持者のほとんどは無党派層で投票に行くかわからない。大勝、大負けもある、その辺で風が吹く選挙だが、現状ではまだ小池さんの優勢は揺るがないと思う。
 

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ報道局上席解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。