今回が初の本番だった“北”の移動式発射機

北朝鮮の火星12型弾道ミサイル発射で初めて移動式発射機が切り離されなかった理由

カテゴリ:ワールド

  • 15日発射された北朝鮮の弾道ミサイルはグアム到達までの距離達成というだけでなく、移動式発射機が機能性を増した
  • 過去2回、発射台と発射機を分離していたのはミサイル発射時の炎と熱を逃がすための試験だったからで今回は「本番」だった
  • 金正恩委員長は、移動式発射機試験の成功を誇示する写真をリリース

北朝鮮は16日、火星12型弾道ミサイル3回目の発射の映像と画像を公開した。
今回は、弾道ミサイルを運搬し直立させ発射させる(Transporter Erector Launcher):移動式発射機にも注目したい。火星12型は今年の5月と8月にも発射されているが、いずれも移動式発射機で運んで来てミサイルを発射台ごと立てた後、車両を切り離して発射していた。

ところが今回は切り離さずに発射している。(写真下)

その目的は手順を簡略化して迅速に発射することにある。
移動式発射機の利点は突然出現し、敵の攻撃を受ける前にミサイルを発射することにある。発射準備に時間がかかると米韓両軍に叩かれるリスクが上がってしまう。秒を争う攻防の中、車両を発射台から切り離しミサイル発射時の熱から遠ざけるまでの時間は明らかにロスだ。

では逆にその前2回の発射では、なぜ車両を切り離したのだろうか?
もう一度5月の火星12型発射の瞬間の画像を見てみよう。

点火直後、炎が発射台の左右に勢いよく噴射され、前からは発射台のフレームが見えている。つまり左右に熱を逃がし、画面の手前方向にはあまり炎の熱がいかない仕組みになっているのがわかる(写真上左)。
火星12型の移動発射機の車体は合わせて50輌未満とされていて数に限りがあり、試験発射の熱で車体やタイヤがだめになっては元も子もない。

過去2回の試験により、確認あるいは改良ができたので今回は本来の機動性最優先の「本番」としたと思われ、炎のほとんどはまず台の左右に逃げ(写真上右)、その後前からも噴き出しているものの離陸するまでおよそ3秒しかかからず…
かくして車体もタイヤも耐えられたようだ。

金正恩委員長はミサイル発射後の移動発射機と思われる画像をリリースしてる。(写真上)
兵士たちの労をねぎらう朝鮮人民軍最高司令官の画像は、対外的には「移動式発射機も目標達成で“大成功”、ミサイルを載せればふたたび火星12型の発射が可能だぞ」ということを印象付けようとしているのだろう。


(文責:松島 スタッフ:能勢・北原)

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