言葉の応酬の裏で、さまざまな事態に備える米軍

アメリカ軍の数々の演習…その構築されたシミュレーションを掘り下げる

カテゴリ:ワールド

  • 米空軍B-1B戦略爆撃機が「今世紀に入って朝鮮半島・南北非武装地帯の最も北側を飛行した」と米国防総省
  • 米陸軍は韓国で高機動ロケット砲システムの緊急展開訓練を実施
  • 嘉手納には米特殊作戦コマンドのC-32B輸送機が飛来。在外米人脱出に備えたルートサーベイやパイロットの訓練か

北朝鮮は24日「我が国を破壊するということは、この世界を丸ごとなくしてしまうことだ。朝鮮半島に核戦争の危険が近づいている」との書簡を発表した。

対してアメリカ側は24日、ムニューシン財務長官が「トランプ大統領は核戦争を望んでいない」と強調する一方で、トランプ大統領は「北朝鮮を完全に破壊する」との警告もしている。言葉の応酬が止まらないという状態だが、現実の世界ではアメリカはあらゆるオプションに対応する準備を進めているようだ。

アメリカ軍は23日、グアムのアンダーセン空軍基地から離陸したB-1B爆撃機(写真下)と嘉手納から離陸したF-15C戦闘機×8機を合流させ、北朝鮮近くまで飛行した。
米国防総省は「今回、戦略爆撃機が今世紀に入って南北非武装地帯の最も北側を飛行した」として、「アメリカや同盟国を守るためにあらゆる軍事力を使う用意がある」と強調している。

F-15Cは、戦闘機に対する空中戦用のAMRAAM(アムラーム)空対空ミサイル6発以上を搭載していたとのことだ。

一方、アメリカ陸軍は韓国に「HIMARS(ハイマース)という高機動ロケット砲システムの緊急展開訓練を行っている。大型輸送機C-17(写真下、左奥)からHIMARSを降ろし、その飛行場で発射準備を見せる様子も公開(写真下)。

その後、海岸からロケット弾を発射し(タイトル写真)、海上の標的に命中するところまで公開した。HIMARSの射程は数10kmと言われている。

そして25日あさ、佐世保にはハワード・O・ロレンゼンという弾道ミサイル発射監視船が姿を見せている。ハワード・O・ロレンゼンは、弾道ミサイルを追尾するコブラキング・レーダーを搭載しており、複数の弾道ミサイルが同時に発射された際にもその飛行を監視・追尾し、ミサイルの性能を探るデータを刻々と収集していくことができる。

また23日午後にはアメリカ空軍特殊作戦コマンドの所属、C-32B輸送機が嘉手納に飛来していた(写真下「いらぶちゃー」さんからの投稿ツイート)。

航空軍事評論家の石川潤一氏からは「C-32Bは1年に1回くらいやってきている。パイロットが緊急事態に備え様々な飛行場と空路に慣れておく必要があるためだ。この機体を使っての“特殊作戦”として『在外アメリカ人の脱出』もありうるだろう。ただし今回は在外米人脱出用の実ミッションというより、それに備えたルートサーベイやパイロット訓練だろう」とのコメントをいただいた。

アメリカはこんな装備も持っているということだ。

23日に北朝鮮の核実験場付近で発生した地震は、核実験によるものではないとの見方が強まっているが、翌24日には核実験等監視機のコンスタントフェニックスが嘉手納から離陸している。自然地震だったのに、なぜコンスタントフェニックスが飛んだのかというと、上空に放射性物質が確認されれば、核実験場が被害を受けている可能性があると考えてのことかもしれない。

日に日に増す北朝鮮とアメリカの緊張…その裏でアメリカ側は様々な事態をシミュレーションしている。


(文責:松島 スタッフ:能勢・北原)

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