13億人の心を掴むテクニック! Canon(=佳能)式『浸透法』

2005年から13年ごろまで年30%成長を続けたキヤノン中国。中国経済が減速する中でも着実に売り上げを伸ばしています。キヤノン(中国)有限公司を率いる小澤秀樹社長に中国市場での成功の秘訣を聞きました。

カテゴリ:ビジネス

  • 13億人にCanonを知らしめる……中国名「佳能」をプラス
  • 笑われてもいいから中国語で……距離を縮めて心をつかむ
  • 中国パワーに負けない……最後は人間力で勝負
鴨下ひろみ Reporter Nov 06, 2016

「Canonって何?」知名度ゼロからのスタート

小澤さんが中国に赴任したのは2005年。中国で外資系企業が販売を認められるようになって間もない頃でした。当時の中国では「Canon」を知っている人はほとんどなく、小澤さんは衝撃を受けます。

「もうびっくりし、がっかりした」

でも、それが逆にエネルギーになったといいます。

「よし、これはもう13億人全員にCanonを知らしめてやろう」

13億人にCanonを知らしめるため、浮上したのが中国語の導入でした。しかし、キヤノンのロゴは世界統一で白地に赤のCanonと決まっています。
小澤さんは「中国語をいれれば費用も時間も半分以下になりますよ」と本社を説得。Canonに中国名「佳能(Jia neng)」を併記すると決め、中国での知名度アップに成功しました。

お手本は「ヒョウ・ショウ・ジョウ」

中国のイベントではできるだけ中国語を交えて話すという小澤さん。お手本にしたのはパンナム航空東京支社長です。そう、大相撲の千秋楽で「ヒョウ・ショウ・ジョウ」と言いながら大きなカップを渡していた、あの方です。

言葉はたどたどしくても多くの日本人に親しまれ、パンナムの名前は一躍有名に。小澤さんはこれにヒントを得ました。

「私は中国であのパンナムの支社長になればいいなと思ったんですよ」

それで吹っ切れたといいます。

「下手でも、笑われてもいいから、中国語で通してしまう。決して悪い印象は持たれないなと」

まずはアイスブレーキング

中国語でもジョークを飛ばす小澤さん。笑えば緊張感がほぐれ相手との距離がぐっと縮まります。

ビジネストークもしかり。まずはアイスブレーキング、氷を溶かすことで相手の心をつかみます。

「笑うと、気持ちが楽になり、緊張感が緩和されて、仲良くなる。アメリカに居た時に私は随分学びました。これを使うとアジアでも非常に有効だなと」

ビジネスキャラクターを演じる

謙虚で控えめ、恥かしがりやで人付き合いがあまりうまくない人が多い日本人。
小澤さんはビジネスキャラクターを演じることを意識しています。
性格は簡単に変えられませんが、演技なら苦手意識も克服しやすくなるからです。

「会社に入った時は舞台に上がった役者と同じ。舞台に上がっている以上、演技でもいいからしなさい。性格上、出来ないとか、恥ずかしがり屋だとか、というのはダメです」

中国パワーに負けないエネルギー

「一番やりがいがある、挑戦しがいのある市場」

それが13億人市場。そこで勝負するには、中国パワーに負けないエネルギーが必要です。

「中国って、人もみんな元気だし、熱気がある。情熱大陸だと思うんですよね。いろんな問題もありながら、経済は着実に成長している。相当エネルギーが必要ですよ。元気じゃないとこの国で仕事できないし、中国人と付き合えません」

最後は人間力で勝負

品質の高さを誇る日本製品。でも、それを世に出すのは人間。最後は人間力が物を言います。

「どんなに良い物を作っても、それを世に送り出すのは人間。そこで活動している人たちに魅力があるかが大きなポイントじゃないかと思います。ブランド力があり、いい製品ならば、あとは人間力の勝負じゃないかなと」