史上最大のデモ、退陣圧力強まる 朴大統領にとっては運命の1週間に

ソウル中心部が朴槿恵大統領の退陣を求める市民で埋め尽くされた。主催者発表で100万人、警察発表で26万人。史上最大規模の抗議集会に朴大統領は「国民の声を厳重に認識している」としつつ、退陣はしない考えを示した。現職大統領初の検察捜査が迫る中、退陣圧力は強まる一方だ。

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  • 韓国史上最大規模の抗議デモ…高まる朴槿恵大統領退陣圧力
  • 学生から家族連れまで…韓国政治を動かす“大規模デモ”の威力
  • 今週が大きな山場…検察聴取は? 大統領の決断は?

学生から家族連れまで…韓国の“デモ文化”とは?

先週末、ソウル中心部・光化門。

労働組合や市民団体だけでなく、子供連れの家族、制服姿の中高生なども多く見られました。
スマートフォンで記念写真を撮ったり、朴大統領の退陣を促す歌を歌ったり。
デモというよりイベントに参加しているような雰囲気でした。
これまでの韓国の反政府デモでは、警官隊とデモ隊が激しく衝突するのが恒例でした。

しかし、この日は参加者が自制を呼びかけ、警察も衝突を回避しようと努めたことから、大きな混乱なく終了しました。

異例の平和デモが実現したのです。

市民が個人の意思で参加する傾向は、2008年以後に目立つようになりました。
この時は李明博大統領(当時)が牛海綿状脳症(BSE)への懸念が残るのにアメリカ産牛肉の輸入再開を進めたころでした。
自らの生活が脅かされると感じた市民らが反発し、積極的にデモに参加したのです。
市民参加が増えるにつれ暴力的な行動は減り、今では国民の声を理性的にアピールする場=韓国独特のデモに変貌しました。

なぜ、デモに参加する人が多いのか?

韓国では、これまでも大規模デモが政治を大きく動かしてきました。

1960年、不正選挙で勝った李承晩大統領が学生の抗議デモによって下野し、ハワイに亡命しました。
1987年には、大規模な反政府デモによって、大統領直接選挙制が認められ、民主化が実現しました。
独裁・軍事政権と市民の対立だった構図も、民主化以後は「保守派」対「左派系進歩政党」に変化しました。

ただ、今回のデモでは「朴大統領退陣」の一点に市民も政界も共感して結集したことから、史上最大規模にまで膨れ上がったのです。

今後のシナリオ

現職大統領として初めて検察の聴取を受ける朴大統領。
四面楚歌となった今、国民の信頼を取り戻し、従来のように国政運営を続けるのはもはや不可能です。

今後のシナリオとして
(1)内政を首相に任せる
(2)首相への全権委譲
(3)弾劾
(4)辞任
などが挙げられています。

(1)では、大統領が与野党推薦の人物を首相に任命します。
その際、内政は首相に任せ、外交・安全保障は朴大統領が引き続き担う構想のようです。
ただ、野党は「内政、外交は区分不可能」などと拒否しています。

(2)首相にすべての権限を明け渡すことを意味します。
「大統領権限代行」体制といえます。
朴大統領は国政の第一線から退くことになります。
日中韓首脳会談や慰安婦問題など外交への影響が避けられません。
 
(3)の弾劾には難しさがあります。
国会議員の3分の2以上が賛成する必要があり、今の野党だけでは届きません。
仮に与党の一部が賛成して成立しても、憲法裁判所が弾劾を棄却する可能性もあります。
04年3月には当時の盧武鉉大統領に対する弾劾訴追案が国会で可決されました。
職務が一時停止されましたが、憲法裁判所は2カ月後、訴追を棄却しています。

(4)現時点では朴大統領が退陣しないとの見方が大勢です。
しかし、退陣を視野にいれた対応がなければ、国民の反発は収まりません。
野党も大統領を退陣させられなければ厳しい批判にさらされます。
仮に退陣した場合、検察の捜査、訴追の障害はなくなり、朴大統領が起訴される可能性も出てきます。
また、60日以内に大統領選を実施する必要があり、混乱を招く可能性も指摘されています。

どう動くのか、今週がヤマ場といえます。