伝説のバンド「ザ・タイガース」復活秘話 奇跡の70歳、ピーの胸のうち vol.2

ザ・タイガースのドラマーだった瞳みのるさん。グループ解散後、芸能界を完全引退し、メンバーとの連絡も断った。それから40年、瞳さんは音楽活動を再開し、2013年にはザ・タイガース復活コンサートが実現。瞳さんの心を動かしたのは「もう一度一緒に演奏したい」というメンバーの想いだった。

カテゴリ:芸能スポーツ

  • ♪ロング・グッバイに込められた思い…瞳さんの心動かす
  • 「言葉にしないから、余計ぐっときた」…運命の復活
  • 「ザ・タイガース」で海外公演……奇跡の70歳、次の夢

伝説グループの解散と芸能界引退

ザ・タイガース――。

1960年代後半から70年代初め、グループサウンズ(GS)ブームの頂点を極めました。
メンバーは瞳さん(ピー)のほか、沢田研二さん(ジュリー)、岸部一徳さん(サリー)ら5人。
67年2月、『僕のマリー』でデビュー、『モナリザの微笑』『君だけに愛を』などの数々のヒット曲を放ちました。

しかし、1971年に人気絶頂で解散。
瞳さんは芸能界と完全に決別し、メンバーとも40年以上一切連絡を取りませんでした。

中国でみつけた音楽の原点

芸能界引退後は中国語を学び、中国に留学もした瞳さん。
中国滞在中に出会ったのが、「送別」という曲でした。

♪更け行く秋の夜、旅の空の~

日本では『旅愁』として広く知られている曲です。
しかし中国人はみな、中国の曲と思い込んでいる?
不思議に思った瞳さんが調べてみると、元はアメリカの曲でした。
明治期に日本で音楽教育に使われていたことが分かりました。
そのころの日本には清朝から多くの中国人留学生がやってきて、「和製の西洋文明」を学んでいました。
この曲も、そのころの留学生が中国に持ち帰ったものだったのです。

名曲の、思いがけない来歴を知った瞳さん。
もう一度、音楽の道に戻ろうか――こう考え始めました。

“ロング・グッバイ”に込められたもの

瞳さんにとって音楽の原点、それはザ・タイガース。
音楽を介して、再びメンバーと交わるかもしれない。
そんな予感もどこかにあったそうです。
 そんなある日、瞳さんは偶然、沢田さんが『ロング・グッバイ』という曲をテレビで歌ったことを知ります。

 ♪こんなに長い別れになるなんて あの時は思わなかった
 ♪僕らは綺麗な大人になれたかな 年ばかり重ねてきたな
 ♪30年以上 すきまは重いけど 今なら笑い合いたい

実は、この曲はグループ解散後、メンバー3人が瞳さんに再会を呼びかけるために作ったものなのです。
その長い封印を、沢田さんが解いたのでした。

同じころ、瞳さんのもとをマネージャーだった中井國二さんが訪ねてきました。
中井さんを通じ、ついにメンバーとの再会を果たしました。
2008年、メンバーは既に還暦を迎えていました。
しかしその時、沢田さんは歌のことには一言も触れませんでした。

後にこの歌を初めて聴いた瞳さんは、心を強く動かされました。
「口に出さないから余計にぐっと来た」のです。
ここまで思ってくれているのか、ならば戻ろうか……。
自然にそう思えたと言います。

プライベートで大きな変化があった時期でもありました。

ザ・タイガース復活へ。
40年以上の空白を経てメンバーの心は再び一つになりました。

夢はタイガースで海外公演

2013年12月、日本武道館で開催された復活ライブ。
団塊の世代を中心に10万人が集いました。

70歳とは思えない、パワフルなステージを展開する瞳さん。
熱心なファンは「元気をもらえる」と口を揃えます。
同じ時代を生きてきた団塊の世代は、運命共同体でもあります。

瞳さんはこの世代に支えられる一方で、次の世代とも新しい挑戦を始めています。
14年からは「22世紀バンド」で30歳以上年の離れたメンバーと共演。

「時間と空間に縛られず、それを超越していきたい」

奇跡の70歳、次の夢は――。
「タイガースの海外公演。一度もしていませんから」